最高位戦Classicまとめ
謎の対局がたくさん配信された2023年初夏
2023年、最高位戦の独自スタジオの設立に伴って配信対局が激増した。
飯田正人杯最高位戦Classic(以下最高位戦Classic)もその一つである。
昨年配信されたのは決勝1日目及び2日目だけであったが(*1)、今年は4月末から6月末にかけては予選1組から3組のリーグ戦が、7月からは本選2日目以降が配信されている。
旧最高位戦ルールという独特なルール、予選と本選、昇降級点など、馴染みの薄い要素が詰め込まれているこのタイトルは、配信初期こそ視聴者からも慣れないコメントが散見された。
私も初期は雰囲気だけで観ていたが、実況解説は都度説明を挟んでくれるし、また独特の闘牌は新鮮で楽しませてもらった。
その仕組みを詳しくまとめたいと思った次第である。(*2)
*1 見落としてたらごめんなさい
*2 ただの一視聴者がまとめた自分用の内容です
最高位戦Classicルールとは
詳しくは最高位戦のHPに記載されており、これ以上簡潔に説明のしようがないが、とにかく現在一般的なルールにあるようなものが「ない」ルールである。
特異なものをかいつまむならば、
・ノーテン罰符 なし
聴牌していたとしても流局したときの収入は0点である。
このため、一発裏無しと相まって「リーチ」が他ルールより弱いとたびたび解説される。
供託1000点を出してリーチしたとして、それが和了できればいいのだが、流局したときにはその時点で他3人に対して1000点のビハインドを負ってしまう。
この1000点が着順に影響する度合いが罰符ありの通常ルールよりも大きく、いわゆる「Classicらしさ」と言えるような独特な選択を見ることができる。
・リーチ者はアガった時以外は手牌を公開しなくて良い
ノーテンリーチをしても罰則がないため、石橋伸洋プロが戦略的にノーテンリーチをかけたという話もある。(*3)
今期の石橋プロは予選1組に在籍しており配信機会もあったが、残念ながらノーテンリーチが繰り出される場面は見られなかった。
・リーチ後のアンカン 不可
第17期準決勝の2回戦東2局では、阿部亮プロがリーチ後に6mの暗槓をしてしまい、チョンボ扱いとなって△16が課せられた。
また同年予選では醍醐大プロが危うく暗槓しかけた場面もあった。
*3 詳細はよく分からないが、たびたび話に挙がるので本当らしい
なお、麻将連合の公式ルールにおいても同様のルールが存在する
予選と本選
予選を勝ち上がった選手が本選を戦い、優勝者を決める。
と書いてしまえば簡単だが、予選と本選にはそれぞれ段階が存在する。
予選
予選は実績により1組から5組まで組分けされており、特に上位の組には他団体の有力選手も揃う。
1組から3組はリーグ戦を行い、成績上位者が本選1日目に進出する。
予選組のランクが優秀なほど、本選シードが得られやすい。
各予選対局は毎週火曜日にyoutubeで配信された。
4組と5組はワンデー大会を行う。それぞれ日程に応じて卓分けされ、各卓上位数名が本選1日目に進出する。
ちなみに第17期の5組はA~Gの7日程が組まれたようである。
https://twitter.com/saikouisen/status/1671444104650305536
最後にリバイバルマッチが行われ、上位数名が本選1日目に進出する。
村井諒プロは4位で、沖中祐也プロは8位からの補欠繰り上がりで本選に出場し、見事ラストチャンスをものにして決勝に進出することとなった。
https://twitter.com/saikouisen/status/1672908186632724480
本選
本選は以下からなる。
本選1日目
本選2日目トーナメント1
本選2日目トーナメント2
準決勝
決勝
・本選1日目(最大6半荘、配信なし、60分+1局打ち切り)
A~Gの7ブロック各16名、合計112名で行われた。
https://twitter.com/saikouisen/status/1677150448812281858
5回戦終了時に各ブロックの1位が2日目に進出する。(7名)
その後2~9位で6回戦目を行い、2~5位が2日目に進出する。(28名)
また各ブロック6位のうち、惜敗者3名が2日目に進出する。(3名)
よって38名が1日目から2日目へ。
・本選2日目トーナメント1(3半荘、配信あり、60分+1局打ち切り)
本選1日目からの38名に加え、シード選手が参戦。
シードは予選1~3組の6名、前回決勝3~5位の3名、
Classicプロアマリーグ、グランドチャンピオンの1名。https://twitter.com/saikouisen/status/1677661515267309569
各卓4名の12卓に分かれて3半荘を行い、各卓上位2名が本選2日目トーナメント2に進出する。(24名)
・本選2日目トーナメント2(3半荘、配信あり、60分+1局打ち切り)
トーナメント1から24名、シードは予選の3名、前回決勝2位の選手が参戦。
https://twitter.com/saikouisen/status/1677936505468370944
各卓4名の7卓に分かれて3半荘を行い、各卓上位2名が準決勝に進出する。(14名)
・準決勝(最大6半荘、配信あり、6回戦以外は60分+1局打ち切り)
トーナメント2から14名、予選1組1位、そして前回優勝した下出和洋プロが参戦。
https://twitter.com/saikouisen/status/1680559532047474689
5回戦終了時に1位が決勝に進出する。
2~9位で6回戦目を行い、2~5位が決勝に進出する。
・決勝(5半荘+5半荘、配信あり)
2日に分けて行われる。
1日目に5名で5半荘を行い、5位は敗退し、残った4名で2日目を戦う。
1日目のポイントは2日目に持ち越される。
昇降級ポイント
最高位戦Classicには「昇降級ポイント」(以下昇降級P)なるシステムが存在する。
通常のリーグ戦であれば、上位者は上位リーグへ昇級、下位者は下位リーグへ降級するが、ここでは昇降級Pによってもリーグ(組)が変動する。
以上は2組が全3節を打ち終わった結果である。
来期、1位矢島亨プロは昇級して1組に、18位曾木達志プロは降級して3組になる。
それ以外の選手は昇降級と関係ないのかと言えばそうではなく、4位平林祐プロは昇級し、17位谷翼プロは降級する。
これに絡むのが昇降級Pであり、持越しのポイントと今期のポイントを加算し、10P以上で昇級、-10P以下で降級となる。
選手たちは本選出場を目指すほか、昇降級Pのためにひとつでも上の順位を目指のである。
その他雑感など
他団体選手が参戦してリーグ戦を行う様は最高だった!
挙げればキリがないが、言わずと知れた多井隆晴プロ、旧最高位戦ルール時代に21期最高位を戴冠した協会の五十嵐毅代表、ラッキーハゲでお馴染みかつClassic優勝経験のある木原浩一プロなど、Mリーガーやタイトルホルダー、団体Aリーガーが集い圧巻の面子。
最高位戦からは新津潔代表に、嶋村俊幸プロ、土田浩翔プロと、最高位戦リーグから退いた選手が参戦するのも醍醐味だった。
3組第1節の配信、土田プロが大トップを取った半荘は印象深い。摸打も鋭く、Mリーグで日吉プロと漫才をしている人と同一人物とは(失礼ながら)思えないくらいかっこよかった。
嶋村プロは途中休場となってしまった。4半荘はきついと本人も仰っていたので来期は分からないが、対局するお姿が見られたらうれしい。
平賀聡彦プロは対局でも解説でも大暴れをみせてくれた。
1組第3節では親の倍満8000オールを決める。
第4節は開始時首位(60.9pt)ながら終了時に8位(6.2pt)となり本選が叶わなかった。1組首位は準決勝シードが得られるので狙う価値は大きいし、周りも実力者揃いであるので大負けも不思議ではないが、平賀プロらしさの出る節だったと思う。
そして解説で時折挟まれるクラシコクラシコ。定番になったらどうしようかという思いと、他の実況解説勢にもやって欲しいという思いが混在して複雑な気持ちである。
本選2日目は渋川難波プロの高速の打牌が光った。
60分+1局の打ち切りなので、どの選手もできるだけ素早く打牌を行うのだが、渋川プロが本当に早い!
惜しくも敗退してしまったが、終了時インタビューで仰っていた、なんとしても半荘をやりきりたいという意思には勝手ながら敬意が湧いた。
準決勝では阿部プロが痛恨のリーチ後暗槓をし、△16ptのペナルティを負ってしまう。
阿部選手は46期後期入会の若手(2023年現在は48期)で、おそらくClassicルールなぞ慣れていないであろう、リーチした手はドラドラ3面張の勝負手で昂っていたであろう矢先の出来事だった。
この△16ptさえなければ決勝進出で来ていたかもしれない(*4)と思うと痛恨だが、間違いなく今後の糧になるのではないかと思う。
(*4 所詮たらればであって実際は卓組から条件戦の打ち方まで変わるので分からない。実際川上プロは優位ポジションから敗退してしまっている)
各支部からの応援の声には人と人との結び付きを感じた。
最高位戦は北海道から九州まで支部本部が存在する。普段は支部内でリーグ戦を行うライバルであるが、本選に出場した仲間に激励を飛ばしたり、コメントで応援する。
Mリーグでもそうだが、仲間を応援をする姿は本当に尊いと思う。
決勝1日目では麻将連合の小林剛プロが解説で登場。
小林pは21期に最高位戦に入会しており、Classicルールでリーグ戦が行われていた時代を知る人である。(22期までClassicルール)
1日目の配信で印象的だったのは
・現行の一発裏ルールに規定を変更する際に小林pが非移行派となって揉めたこと
・現代のリーチ麻雀に食い替え無しルールが付随していることの考察
・目無しを作りづらく、終盤でも局が荒れにくい昇降級ポイントの制度がよくできていること
・昇降級ポイントの考案は佐藤崇プロであること
・入会当時の新津代表は發王位と王位の2冠でW王位と呼ばれていたこと(2期發王位、19期王位)
などなど。
第17期は東海支部の伊藤プロの戴冠で幕を閉じた。
優勝後のインタビューでは今後活動拠点を移すこと、東海にタイトルを持ち帰りたかったことなどをはにかみながら語った。そしてその横で感極まったまさし(坂本プロ)が泣きだすというほっこりする場面もあった。
前日には同じく東海支部の新榮プロがシンデレラファイトを優勝し、2日連続で東海にタイトルがもたらされることとなった。
残った謎
決勝順位等の成績により付与される昇降級P
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