見出し画像

七里屋茶房 in 落語寄席 LIVE 「立川只四楼」ひとり話で笑いまSHOW 6.9(金)

私は音楽と精神医療について書くことをメインワークにしているただの落語好きである。落語だって、月の家圓鏡師匠が橘家圓蔵を襲名した時の火焔太鼓に惚れて、末廣鈴本池袋演芸場と梯子したのが最初というのだから、底は知れている。もちろんそのあとそれなりの「勉強」はしたのだが…

人間の「業」を肯定し、それを笑う立川談志の血を引く立川只四楼。私がその芸に接するのはこれが二回目だ。ヒューモアというよりエスプリの感の強かったその笑いが、どう変わっているかいないか、私は楽しみに高座に向かった。

七里屋茶房 in 落語寄席 LIVE 「立川只四楼」ひとり話で笑いまSHOW 6.9(金)

開演前、私はおやと思った。舞台袖で準備をする只四楼が、いい、男の顔をしていた。高座についた第一声がおとなの発声だった。たたみかけるフリも、くすぐりにも成熟が感じられた。専門的には何というのだろう、芸ができてきた印象。そうして禁酒番屋。話自体に膨らみがあり、登場人物が生きている。豊かなヒューモア。死神に至って本領のエスプリも出てくる。「私のギャグは筋肉痛(二日後に来る)」が私のお気に入り。鋭さのまま洗練された芸を感じた。

小休憩後、たたみかけるフリ、小話のあと、前回好評だった時蕎麦。

多少噛んでもフォローよく、景気がいい。最後は人情話中村仲蔵。十八番だという只四楼はこの大作を見事に演じきった。

終演後、自分と自分の芸にシャイで謙虚な只四楼と酒席をともにするのが柄にもなく恥ずかしかった私は、早々に席を辞し、この稿にかかった。そう、なんだかとても嬉しかったのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?