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野暮を承知で鹿鳴館キリコ様の話をする

・ごあいさつ

鹿鳴館キリコ様の、にじさんじスイーツパラダイスコラボへのご参加が決定あそばされた。

インディーズのセレブなのにである。
にじさんじ公式ホームページのタレント一覧には鹿鳴館キリコのろの字も載っていないにも関わらずである。本当にこんなことがあって良いのか。

昨年エイプリルフールのLive2D配信を皮切りに、ゲーム実況への挑戦、歌ってみた投稿、ライブでの歌唱、そして今回の外部コラボと、鹿鳴館キリコ様は昇り竜もかくやという勢いで活動の幅を広げている。
SNSのタイムラインを眺めていても、キリコ様ご本人に興味を持ってくださる方がいつの間にやらずいぶん増えたように思う。絢爛にして聡明たる彼女ならば、スイーツパラダイスコラボでもきっと多くの人を虜にすることだろう。

ここらで一度、鹿鳴館キリコ様の話をしておきたくなった。
厳密には、鹿鳴館キリコ様を通してリスナーは「何」を見ているのか、という話である。

それ単体で仕上がっているコンテンツに対して場外でああだこうだと言葉を重ねるのは野暮なのでは、という気持ちは正直あるのだが、それにしたってキリコ様の躍進がすさまじいのだ。
あの華々しい背中をこれからも追いかけていくあたって、今の感覚は今の感覚として書き残しておいたほうがよい段階に来たな、と感じている。

なんてことをつらつら書き溜めていたら直近の配信にてまさかの言及をされたので、大笑いしながらこれを書き上げた次第である。

ひとつ強調しておきたいのだが、私がこれから書き連ねるのはいちジョー児兼子獅子の個人的な感想であり、ファンの意見を代表するものではない。TLに流すのは憚られるが裏垢に閉じ込めておくのも惜しいな、という塩梅の覚え書きの連なりだ。ここに記載した内容を周知の事実として語ったり、ましてやお二方の配信内に持ち込むようなことはしないで欲しい。

また、私はお二方のファンではあるが全ての配信をしっかり見ている訳ではないため、何かしらの取りこぼしや覚え違いが起きている可能性がある、ということはご容赦願いたい。

・そもそも鹿鳴館キリコ様ってなに?

おそらくこれが、キリコ様について語るうえでの最大のハードルである。その出自や背景に関して説明するのがシンプルにややこしいのだ。

「キリコ様とは別にジョー・力一さんて人がいてぇ……」がスタート地点な上にデビュー前のオーディションでの出来事にまで言及する必要があるためとんでもなく時空が錯綜する。

鹿鳴館キリコ様とはどこから出てきた何者であるのか。順を追って語るにあたっては、ジョー・力一さんの存在を切り分けて説明するのがおそらく最も手っ取り早い。
今回は便宜上、デビュー前から存在していた力一さんをジョー・力一(すっぴん)、デビューにあたってバーチャル世界に発生した力一さんをジョー・力一(ピエロ)と呼び分けさせていただく。ここで重要なのは、素顔は化粧に覆われはすれど塗り潰されるものではない、ということだ。すっぴんとピエロは並列して存在しうる、と認識したうえで読み進めて欲しい。

【時系列に沿った整理】
◎ジョー・力一(すっぴん)、生を受ける。

◎どん詰まっていた時期の力一(すっぴん)の執筆していた小説の構想として、「キリコ」という名前の少女が誕生する。


◎力一(すっぴん)、にじさんじのオーディションに「鹿鳴館キリコ」として応募する。鹿鳴館キリコの発生。
無事オーディションには合格したが、協議の結果鹿鳴館キリコとしてのデビューは見送られる。

◎2018年、ジョー・力一のデビュー。ジョー・力一(ピエロ)の発生。
ここで世間がジョー・力一を認識する。

◎力一(ピエロ)、オーディションの思い出動画を投稿。

ここで世間が鹿鳴館キリコを認識する。あまりにも印象的な存在であったため、キリコ様はその後じわじわとバーチャル世界に根を張ることとなる。シスター・クレアさんとの突発的な交流が記憶に残っている方も多いだろう。

◎2022年、鹿鳴館キリコ、満を持してLive2D配信。

いつ見てもビジュアルと表情が天才だと思う。
この辺りからちらほらと、「鹿鳴館キリコって一体誰?」というもっともだが答えづらい疑問や、鹿鳴館キリコ様に魅せられてインターネット迷子になる初見の方が散見されるようになる。

そして冒頭で述べたようにこのエイプリルフール配信からキリコ様の活動範囲は広がっていき、現在の大活躍へと至っている。

・鹿鳴館キリコ様とジョー・力一さん

上に記した流れを総括すると、鹿鳴館キリコとは根本的には、力一(すっぴん)にとっての広義の「自キャラ」、いわゆる「うちの子」であると位置付けられる。
力一さんがキリコ様の魅力に自信を持っていることは配信内の様子から伺い知ることができ、さらに直近の雑談内でも「プロデューサーのような立場で推している」という旨の言及がある。

それと同時に、オーディションへの応募を契機に、キリコ様は力一(すっぴん)がバーチャル世界に踏み出すにあたって一番最初に被った仮面としての側面を持つようになる。
結果的には力一(すっぴん)は力一(ピエロ)としてデビューを果たすのだが、そうした側面においては鹿鳴館キリコ様はジョー・力一(ピエロ)の先輩あるいは同僚と言えるのだ。

と、綺麗に説明して終わることができれば簡単なのだが、配信内でのお二人の間柄はより複雑なものとなっている。

何故ならば、上で一度述べたように、力一(ピエロ)は力一(すっぴん)を内包した存在だからだ。つまり力一(ピエロ)は厳密にはキリコ様の後輩であると同時に創造主である。この一見相容れない属性は力一さんの配信内で平然と両立している。

そしてさらにややこしいことに、力一(ピエロ)の中に力一(すっぴん)が存在しているように、鹿鳴館キリコ様の中にも力一(すっぴん)はきっと混ざり込んでいる。

こうなるといよいよ、誰がどこまで誰誰が誰の何なのか解らない。

こういったややこしさを土台とした結果、配信内でみられる力一さんとキリコ様との関係性には頻繁に揺らぎが生じる
力一さん単体の配信、キリコ様単体の配信、お二人が共演する配信といったパターンごとの立ち位置の変化だけではなく、一回一回の配信においても彼らの距離感やメタ視点への言及度合いは絶妙に異なってくるのだ。

(キリコ様宛ての連絡が全て自分に来ることを不思議がる力一さん)

そして配信を視聴する我々リスナーは(ほぼ無意識にではあるが)配信ごとに提示される文脈を読み、コメントという形でそれに同乗することになる。

この配信における二人、あるいは三人の位置取りはどうなっているのか。力一さんとキリコ様は相手のことを、そして自分自身のことを現在どう認識しているのか。
そんなことを都度考え込んでいると、普段は隠されているピエロのメイクの下を、もしくはセレブの輝きの裏側をどうしても意識してしまう。キリコ様の関与する配信は、そんなスリルを伴っていると私は感じる。

こういったゾクゾク感はVtuberを追いかける醍醐味のひとつだと私は思うのだが、力一さんの場合はキリコ様という別存在を介してそれが顕在化している部分があるのが面白いところである。
(他のVtuberを推している方がどういった時にその手のスリルを感じるのか、少し話を聞いてみたくもある。)

ここまで長々と書き連ねてしまったけれど、つまりまあ何が言いたいかといえば、ジョー・力一も鹿鳴館キリコもそれ単体で十二分以上に魅力的なライバーだが、Vtuberたる二人の間柄を勘ぐることで独自の噛みごたえが発生する、ということである。

(お二人のハイコンテクストな距離感がある種のエモさとして結実したデュエット。歌唱前後のやり取りも大変味わい深いため是非ライブ本編の該当箇所も視聴して欲しい。そしてあわよくば全編通しで視聴して欲しい。)

それと同時に正直なところ、こんな面倒くさいことを考えずとも、このお二人のかけあいや独特のバディ感は大層アツいので素直にそれを楽しめば良いのだ、とも思う。そもそもの話、人間同士の距離感が場合によって揺らぐのなんて、現実世界でもよくあることなのだから。

(それぞれの台詞読み、お二人のかけあいやコメントの相違などあらゆる面で非常に完成度が高いので、全二週に渡るIbの実況配信は是非視聴してみて欲しい。)

・ひとりのジョー児兼子獅子の感想

さて。冒頭からここまで布教も兼ねて回りくどい説明を続けてきたが、最後にお二人を推しているいち視聴者として、鹿鳴館キリコ様に関する所感を手短ながら述べておきたいと思う。

ここで断言しておきたいのは、このバーチャル世界においては、ジョー・力一が存在するのと同様に鹿鳴館キリコも確かに存在している、ということだ。
そしてそれと同時に鹿鳴館キリコの存在もまた、バーチャル世界におけるジョー・力一の実在性を担保している

被造存在であると断言されながらも闊達に振る舞うキリコ様とそれに付き添う力一プロデューサーとの関係図はおそらく、にじさんじ所属のタレント「ジョー・力一」を含む何らかの構図と相似形を描いている。
この入れ子構造はきっとその気になりさえすれば、Vtuverというコンテンツそのものを収容するまで膨らませることだって出来るのだろう。

だからこそ。
鹿鳴館キリコ様の正体を消費せず、避けられない揺らぎに決着をつけず、彼女は「いらしてる」という前提のもとに流れる時間は非常に心地良い。

ジョー・力一さんが配信において、鹿鳴館キリコ様のことを「この人」と親しげに呼ぶ瞬間を愛おしく思う。
スポットライトに照らされて、ありったけの愛を受けとめて微笑む鹿鳴館キリコ様の姿にこの上なく安心する。

画面の中の存在を推す私にとって、鹿鳴館キリコ様は約束であり夢なのだ。

キリコ様にはこれからも、気高く愛らしく賑やかしく、バーチャル荒野を縦横無尽に駆けずり回っていて欲しい、と願っている。

【追記】

この文章を書いている間にスイーツパラダイスコラボのメニューが発表されましたが、思いのほかお二方の表裏一体感を強調したメニューが飛んできたため大変動揺しています。
なるほど、今回はそういうコンセントなのだな了解した。
チャーハン二杯、美味しくいただきに行く予定です。


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