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インドに落ちた愚人ども。。。3    ここから始まるサルナート 

 サルナートは「初転法輪の地」ですね。お釈迦様が解脱された後、初めて教えを説いた地です。ここは、お参りする場所が限られています。6世紀に建立された仏塔「ダメーク塔」がメーンです。近くに考古学博物館があります。お近くにお出かけの際は、せっかくなので見学しておきましょう。

***悟ってしまったのだけれど

 ブッダガヤの菩提樹の下で悟りを開いたお釈迦様は、しばらく心地よき感覚をゆっくりと味わっていたようです。チョー気持ちいい、って感じですかね。みんなに教えたいけど、なかなか難解だよね、取りあえずは自分だけも仕方ないよね、という具合でした。

 その様子を雲の上から「梵天(ブラフマン)」が見ていたんですね。バラモン教の神様です。お釈迦様のもとへ向かい「せっかく悟りの法を体得したのだもの、多くの人々に伝えてよ」と説得したといいます。で、初転法輪となるわけですね。

 とはいえ、この説話もお釈迦様の誕生の場面と同様、後世の作です。バラモン教の最高神「梵天」が教えを乞うというストーリーですから、仏教の圧勝だよこれは、と言いたいわけですね。

***いざゆかむ

 いざスタートとなったお釈迦様は、「遊行」という活動に入ります。いろんな土地へ赴き、説法をするのです。その手始めに選んだのがサルナートというわけです。出家以降、共に苦行荒行していた5人の仲間たちを訪ねるんですね。この場面こそが、「初転法輪」なんです。

 厳しい修行をやめたお釈迦様を、堕落したと考え、受け入れようとしなかった仲間たちも、その説法を聞いてみると「確かにこの人悟っているわ」と確信し弟子入りしたんです。

 その場には、たくさんの鹿がいたといいます。だから、サルナートのことを「鹿野園(ろくやおん)」とも呼びます。

***鹿の謎

 奈良公園に多くの鹿が暮らしているのも、この説話と無縁でないようです。もっとも、春日大社のご神体が鹿の背中に乗ってやってきたという話もありますんで、「諸説あります」というところでしょうか。お坊さんとしては、「鹿野園」の日本版が奈良公園である説を推したいですね。

 お釈迦様の話をおとなしく聞いていたはずの鹿たちも、最近はかなり図々しくて、うちの子がまだ小さかったころ、おやつをあげなかったことを逆恨みした鹿に体当たりされて吹っ飛んでいきましたよ。神様の一派のはずなんですがね。鹿も人も生まれじゃないですよ。その後の行いこそが大事ですね。

                  南無釈迦牟尼仏

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