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今月の読書 3/9 「可燃物」

 今月読んだ本は米澤穂信の「可燃物」。国内現代ミステリというジャンルから次に読む本を探していた時、多くのウェブサイトから薦められ、「氷菓」古典部シリーズの作者ということもあって2月下旬に購入。長編小説ではなく、5つの短編小説で構成されている。
 ブックスタンドから当本を抜くとき、帯の部分を傷つけてしまったことや単行本に付属されているしおりの跡がページにくっきりついてしまい、ちょっとショック。

 今まで読んできた本はどれも長編小説であったため、短編小説は新鮮な読み心地。短編小説の利点は、一つの話を一気に読むのが容易な点、話が明瞭である点などが挙げられる。一方、ミステリというジャンルにおいて短編という形式はあるデメリットを有していることに気づいた。それは、結末が予測しやすくなることである。ミステリにおける結末とは、謎の解明である。ミステリの読者は、この謎の解明を至上の命題として本を読み始める。常に、作中の登場人物やその行動・言動を疑い、事件の状況・背景を読み進めながら頭の片隅に置いておくのである。
 それゆえ、短編小説の文字数において登場人物やミスリードの配置が制限されていることになる。また、いくつかの伏線間の距離が近いため、読者は真実に近づくことが容易になる。

 …とまぁ、デメリットを挙げているが、「可燃物」はいい本だったなぁ。面白かった。「崖の下」と「ねむけ」は予測が外れ、逆に「可燃物」結末が容易だった。

 葛刑事というキャラは、既存の探偵役と対極な人物像である…気がする。自信をもって主張できないのは、ミステリ本の読書歴が少ないので実は葛刑事みたいなキャラって結構いるかもしれないしね。言語化しようと思ったけど、根拠薄そうだしやっぱやめた。正直、ミステリ本って無数にあるし、その数だけ探偵役いるしね。


 

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