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今月の読書 2/15 「兇人邸の殺人」


 今回、読んだのは<剣崎比留子>シリーズ第三作目「兇人邸の殺人」。このシリーズかなり好きで、「兇人邸の殺人」はシリーズ最新作というのもあって追い付けて嬉しかったな。「屍人荘の殺人」、「魔眼の匣の殺人」どちらも文庫本で買っていたので、今回単行本を買うの不揃い感があってちょっと躊躇いましたが、早く読みたいので買っちゃいました。単行本ってサイズも大きいし、値段も張りますが背表紙を並べたときや表紙が大きいとテンション上がりますね。

 本を買った翌日に凡そ、半分くらいまで読み進め、「明日には読み終わるかなー」と思っていた矢先、コロナにかかり、間隔が空いてしまいました。軽く前の内容を確かめつつ、すぐに読み終えちゃいました。やはり、クローズドサークルものって現在進行で事件が進んでいきますから、終盤は勿論、序盤、中盤も緊張感があって読めるのが魅力的ですね。

 上記にもありますが、「兇人邸の殺人」はクローズドサークルモノです。というか<剣崎比留子>シリーズが「虚構×クローズドサークル」って形式なんですよね。この虚構ってのは、「屍人荘の殺人」でいう「ゾンビ」、「魔眼の箱の殺人」でいう「未来視」、そして本作品の場合は「巨人」。
 そうした、現実の世界では存在しないというか有り得ないものとして扱われている事象を物語の軸、ミステリーのトリックとして巧みに組み込まれているのが本シリーズの魅力ですよね。

 前置きが長くなりましたが、「兇人邸の殺人」の感想について書いていこうかな。すぐ読み終えたと書いてるあたり、お察しですが、今回も面白かったなぁ。「魔眼の匣の殺人」もそうだったけど、犯人はかなり分かりやすかったですね。本作はミステリーのトリックを自力で解き明かすことはできませんでしたが、犯人自体は消去法で絞りやすかったって感じですね。あと、舞台となる兇人邸の間取りがちょっと覚えにくかった。横に間取りをコピーしたものを用意しながら読むと考察しやすかったかも。巨人の首を切るという性質や「生き残り」の回復力を利用したギミックは面白かったですね。これぞ、<剣崎比留子>シリーズって感じです。

 巨人の正体はなんとなく、ケイなんだろうなって思ってました。生き残りが分かりにくかったのは、傭兵たちが全員コードネームであるせいで名前から考えても意味なさそうと思っていたからですね。しかし、目次を読み返すと裏井は下の名前書いてないんですよね。なんか秘書や執事みたいな偉い人の右腕ポジって苗字だけのほうがしっくりきませんか?そのせいで違和感が薄かったのかも。あとは、剛力京の「京」の字が「ケイ」とも読めるのがミスリードだったのかな。読者としては巨人と生き残りは、ケイ、ジョウジ、コウタから予想するのが自然ですから。

 ただ、本作の最後はかなり焦らされて終わりましたね。巨人のその後の処遇や葉村くん、剣崎さん含め救助された人たちのその後、なにより「屍人荘の殺人」に登場したゾンビ映画マニアの重元さんのことが気になりますね。まぁ重元さんが登場したのは彼が拾った班目機関の情報が書かれた手帳が関係しているんでしょうけど。

 こうやって待っているのにもかかわらず、今村先生の最新作は「ディスペル」。これからは気長に待ちつつ、「ディスペル」や古典的ミステリー作品を読んでいこうかな。まずは、すでに買っている「可燃物」から。



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