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総合内科専門医試験対策 コラム(様々な受験生の背景を知っておく)

先生方、日々の試験勉強お疲れ様です。

今回は、総合内科専門医試験ならではの特徴でもある「さまざまな受験生の背景」についてお話ししたいと思います。この点を一度確認しておくと、今後のハードな試験勉強の際に、頭が整理されると思います。


「①もともとの知識」+「②試験対策として上乗せした知識」 ≧ 合格ライン

これで合格なのですが、この総合内科専門医試験というものは、もともとの知識量も試験勉強に費やせる時間も受験される先生によって多種多様です。当たり前ですが、先生によって年齢も診療科も職場環境も生活環境も家庭環境もすべて異なるからです。

自分がこの試験を受けたのは、大学院で臨床の役には立たないニッチな研究をして、そのあと専門性に特化しすぎた診療を行っていた時期でした。こんな生活を何年もしていると、「自分の診療科の中であっても少し分野がちがうと全くわからん」という状況になっていました。当然、他科のことなんてもう無知としか言いようがなかったわけです。

そんなところからの試験勉強スタート。

自分のベースの知識がなさすぎたためか、普段から市中病院で総合診療的な内科全般の仕事をしている先生はこの試験に有利だろうなーと思ったりしたことがあります。各診療科の中で、どの科の先生が試験に有利なんだろう、みたいなことも考えたりしました。

自分のまわりには、全身管理はしているけどケモ関連が全くわからないという循環器内科の先生もいれば、他科から見ればこんなん知らんわっていう内視鏡画像は瞬殺、癌もみてケモもしているけど、全身管理からは最近遠ざかっているという消化器内科の先生、実際には糖尿病ばっかりで自科の内分泌疾患ですらほとんどみる機会がない内分泌・代謝内科の先生、などさまざまな先生がおられました。子育てしながらで勉強時間がなかなか確保できない女医の先生もおられましたし、もう開業していて総合病院にはいないという友人もいました。

私は最終的に本試験に合格したわけですが、「①もともとの知識」というスタート地点は確かに多少の差はあれど、こんな差は「②試験対策として上乗せした知識」に比べれば大した問題ではなかった、とはっきり言えます。

膨大な試験範囲と要求される知識レベルの高さから見れば、「①もともとの知識」なんてものは、自分が専門の分野に限ればなんとか解ける、という程度であり、全体から見れば微々たるものです。結局は、「②試験対策として上乗せした知識」がほぼすべてを占めます。

そして、「②試験対策として上乗せした知識」に関して言えば、勉強の方法や効率だけではなく、十分な勉強時間を確保できるかという問題があります。

ここが本試験の受験生の背景として興味深いところで、この記事で書きたかったことです。

総合内科専門医試験に合格するには、相当な勉強時間が必要です。すでに勉強を始めておられる先生は、あまりの量と難易度に絶望されているのではないでしょうか。

ただ、この試験、学生時代の国家試験みたいに、国試に向けて一律にヨーイ・ドンという感じでみんなで並んで試験勉強をするのではないのです。皆様、もう立派な大人、社会人になっているがゆえに、それぞれの生活の中で勉強時間を「捻出」しなければならないのです。

ここに人生のドラマを感じます。

まず、受験される先生の年齢です。
30歳代から50歳代(もっと上の先生もいたように感じます)と幅広いです。実際に試験会場に行ってはじめてわかるのですが、本当に年齢差がすごいです。同じ世代の人ばかりではないことに驚きます。当然、皆様医師ではあっても人生におけるステージが変わってきます。

そして、それぞれの先生で職場の環境がちがいます。
そもそもの日常臨床の忙しさや帰宅時間が異なります。忙しい日が続いて遅くまで病院に残っていた時、「あー、今日も勉強できなかったわ」と思うこともあるでしょう。一緒に受験する友人は定時で帰ってたから勉強進んでるのかなーと。試験が近づいてくると、勉強の時間が確保できなかった時にはこんなことも考えたりするのが人間です。

ただ、一方で、こんな時期に急に上司から国際学会で発表するよう言われてそっちに時間を取られた先生もいれば、大学院の実験が連日深夜までかかって勉強時間が取れなかったりする先生もいます。他の専門医試験とかぶってしまってそっちの勉強をしなければならない先生もいます。開業してご自身のクリニックの経営や人間関係で頭を悩ましていてなかなか勉強時間が取れない先生もいるでしょう。皆様、職場環境は多種多様なのです。

また、家庭環境もちがいます。
家庭があったり子供がおられる先生は、独身の先生は勉強時間を自由に確保できていいなーと思ったりするかもしれません。

ただ、独身の先生でも結婚式の準備で毎週の週末はつぶれたり、そんな中勉強すると配偶者とちょっと険悪になったりしている友人を知っています。定時で帰った先生は子供の保育園の迎えに行っているかも知れません。そのまま夕食から寝るまで子供の面倒をみているかもしれません。休日は子供を遊びに連れて行かないといけなかったり、今週末こそは勉強しようと思ったら子供が熱を出して勉強どころではなかったり。そもそもママの先生で毎日の勉強時間の確保自体が難しくて、早朝に短時間しか勉強できなかったりされることもあります。

いろんな先生を見て感じるのは、受験される先生方の背景はばらばらすぎて、逆にもうこれはこれで関係ないなってことです。
自分より勉強時間の確保がしやすい先生もいれば、自分より忙しい先生もいる。同じ先生でも生活は一定ではなく、いろんなイベントが起こって波は生じる。受験する数千人単位で見ればそんなそれぞれの背景は一周まわって考えても仕方ないって感じになります。

学生時代とはちがって、皆様もう大人になって、それぞれに人生があって、いろんなものを背負って勉強しているのです。どんな背景や環境であろうが「とにかく自分自身がやるべきことを準備して合格ラインに到達すればいい」と思うようになっていきました。

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