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内科専門医試験について③(受験生の背景)

今回も内科専門医試験についてです。

現在、内科学会は、内科専門医試験と総合内科専門医試験の2つを実施しています。認定内科医試験は内科専門医試験の開始によりすでに廃止となりました。

内科専門医試験と総合内科専門医試験。
この2大巨塔とも言える試験はどうしても比較されることが多いです。

内科専門医試験を受験される先生も、余裕があれば総合内科専門医試験についての情報を少し持っておいてもらった方が強いです。それは、制度上の都合で別々に行われてはいるものの、同じ内科学会が並行して毎年行っている大イベントとも言える大きな試験だからです。どちらも、対象の受験生は全科の内科医であり、医師が受験する専門医試験の中で最大規模のものです。同時進行している総合内科専門医試験についても少し知っておくことで、視野が広がります。

今回は、2つの試験を受験される先生のちがいについて書いてみたいと思います。
雑談的な感じで読んでいただきたい、ごく当たり前の内容ではありますが、これが意外と重要で、次回の話に繋がる内容でもあります。


さて、この2つの試験の違いについては、過去の記事でも書いてきました。
今回は、受験生の背景についてです。特に大きくちがうことは、受験生の「年齢分布」です。J-OSLER導入前と導入後なので、年齢層がちがうことは当然ではありますが、年齢の分布も大きく異なります。

まずは総合内科専門医試験についてです。

総合内科専門医試験の受験生は、過去に認定内科医試験を合格していることが必須条件です。そのあと一度認定医を更新すれば、いつ総合専門医専門医試験を受けてもいいわけです(もちろん受けなくてもいいです)。そのため、受験生の年齢幅がかなり広いです。
試験会場には30歳代の先生からおそらく50歳代(さらにはそれ以上)の先生もおられました。30歳代の先生は、認定内科医に合格し、その後、王道的な流れで総合内科専門医試験を受験している先生です。では、なぜ年配になった先生が今になって総合内科専門医試験を受験するのでしょうか。それは、新内科専門医制度が導入され、J-OSLER指導医には総合内科専門医が必要になったこと、また試験を受けるにあたり病歴要約の提出が免除されるのが2026年までとされたためです。詳しい制度については内科専門医試験を受験される先生は知らなくても大丈夫ですが、このような制度になったことで、改めて今のうちに総合内科専門医を取っておこうと、今まで受験していなかった比較的学年の上の先生も駆け込みで受験するようになりました。

試験会場を見渡せば、明らかに風貌から見て年齢層がバラバラで、試験前にはiPadで復習をしている先生もいれば、紙版の分厚いyear noteに色々と書き込んだものを見直している先生もおられました。年齢がこれだけちがうと、勉強の仕方も変わります。なかなか風情がある光景です。


一方で、内科専門医試験はどうでしょうか。

これは皆様がよくご存知のはずです。専攻医の3年間でJ-OSLERを完了されて、そのままストレートにすぐに内科専門医試験を受験される先生がほとんどです。専攻医が終わって、医師6年目で受験する流れです。内科専門医試験に合格していないと、ご自身の専門科の専門医試験も受けることができませんので、特別な事情がない限り、わざわざ受験を延期する理由はありません。つまり、受験生の年齢は医師6年目、つまり30歳ちょっとの先生が大半を占めます。

総合内科専門医試験と比較して、年齢層が低いことに加えて、その年齢分布も極めて小さいことが特徴です。そして、総合内科専門医試験の受験生と比べれば、若くて、記憶力もある、J-OSLERも乗り越えている、まだご自身の専門科だけに染まりきっていない。さらには、SNSを含めたあらゆるツールや情報源を使いこなせる世代。ここも、総合内科専門医試験の受験層と異なる点ではないかと思います。

最近はyear noteもアプリですし、クエスチョンバンクもオンラインとなりました。勉強しなければならない内容自体は同じですが、勉強の仕方が現代化しています。この記事をご覧になっているということは、noteの存在もご存知なわけです。総合内科専門医試験を受験する先生はnoteという存在自体を知らない先生もおられました。時代が変わり、受験される先生の世代も変わってきていると感じます。

本試験において、情報は大きな力です。いろいろな情報が入手できる時代になりましたが、それと同時に、適切な情報であるかどうかを自分で判断するリテラシーの高さも必要です。内科専門医試験を受験される先生は、これも当たり前にできる先生が多いと思います。

一方で、結局は自分で勉強をして、知識の地盤を固めて、細かいところまで暗記する必要があることに変わりはありません。ツールや方法は変化していっても、頭に詰め込む知識に変わりはありません。これだけ重要な資格試験であり、その勉強は本当に大変です。

前回の記事で触れましたが、本試験は相対試験です。合格のしやすさは年々容易ではなくなっています。

第1回内科専門医試験は合格率が94%。つまり、落ちたのは20人に1人。
第2回内科専門医試験は合格率が90%。つまり。落ちたのは10人に1人。
第3回内科専門医試験は合格率が85%。つまり。落ちたのは6-7人に1人。

内科学会は、同じ90%の合格率を想定したとは思えないボーダーラインを作り出しています。ご自身の今のレベルと合格に必要なラインを客観的に判断して、どれだけ勉強すれば確実に一発で合格できるのかを見極め、勉強する必要があります。

次回は、内科専門医試験の受験生の背景を考慮した試験対策について書きたいと思います。

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