気遠な一日

「ほっとしたと思ったのだけどね、とんでもなかったわ」
「どんな罰を受けたんですか、予想がはずれたんですね」
「もう笑っちゃうくらいおお外れよ、信じられないくらい」
「天使のあなたが想像できないなんてどんなことか興味いっぱいですよ」

「この天秤よ。人間界で丸一日、均衡を保てって罰。簡単と思うでしょう」
「そんなに難しいんですか、とても思い当たれません」
「欲がでた方に傾くのよね、無欲になっても均衡にはならないの」
「まさか無欲も欲のうちなんてことないですよね」

「この天秤は欲と欲を量るの、貪欲と貪欲でも均衡になるのよ」
「われわれ人間にはとても理解できませんね」
「天使の身だってそうだわ、なんのことだろうかって」
「なるほど、それで天使であるあなたがまだ地上にいるわけですか」