移りゆく拠り所

「このように陽光院正門に向かって右側に影の塔が立っています」
「違う、いぜん社会科けんがくで見たのは左側だった」
「勘違いや覚え違いはいくらでもあることですよ」
「じゃあ先生の間違いってことだってあるでしょう」

「先生は間違わないのです。だからみんなに教えることができるのですよ」
「調査したものや学説が違っていたらどうなのですか」
「もちろん修正されれば訂正します」
「それが三十年後だったらどうなるのでしょう」

「学校を卒業しても勉強はつづきます、生涯勉強なのです」
「教わったことがころころ変わっていくからですか」
「知識が積み重なると知らなかったことが次つぎと現れてくるのですよ」
「なあんか一生悩めと言われている気がするのですが」

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