ううんええと

「やっと見つけたわ、この大木がララスの街への入り口になっているのよ」
「ララスの街って本当にあったんだな」
「さあララスの街がこの上ない歓迎でお出迎えしているわ」
「なんか変だとは思わないか、これまで長いあいだ隠れていたんだろう」

「ちょっと教えて欲しいのですが、ここはどこでしょうか」
「ううんええと、百一年前から実験が始まった都市ララス」
「それにしては最近できたばかりのように綺麗で手が行き届いていますね」
「ううんええと、自動で保守管理がなされているからです」

「ここの人たちは変だわ、尋ねるたびにみんなこめかみに指をあてる」
「その上ううんええとって言ってから問いに応えるよな」
「自分で何ひとつ考えないのかしら、答えをどこからか教えて貰っているのね」
「便利になりすぎたんだよ。便利さには代償がつきものだから」