百重の音

「変ねえ雲ひとつない青空なのに雷かしら」
「この頃よく鳴っているよな、昔はこんなじゃなかった」
「そうかしら、今ほどしょっちゅうじゃないけど雷雨はあったでしょう」
「そこだよ、最近はなぜか音だけなんだ」

「今なんておっしゃったの、雷の音がうるさくて聞こえなかったわ」
「ええなんだって、もう五月蝿いなあ」
「うるさいですって、失礼しちゃうわね」
「雷の音が大きくてこれじゃ話しにならないよ」

「これって本当に雷が鳴っているのかしら」
「疑うのか、みんな雷音だって言ってるぞ」
「みんなが正しいのかしら、間違っているかもしれないでしょう」
「意見が揃うってことは何かに流されてんかな」

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