集まった私

    自分集め
「へえっ、ここがお隣の世界かぁ、なるほどそっくり」
「だ、だれあなた。どこから入って来たの」
「ほうほう、姿形あたいとそっくりだわね」
「だからあなた誰、何者なの鏡の国からきたなんて言わないで」

「あまりにも似ていたのでびっくりして失礼しました」
「平行世界ってほんとうにあったのね、いまでも信じられないわ」
「あたいもね、理屈さえ解らない。でもね気にしてもしょうがないのよ」
「理解できなくても差し支えなく動き回れるかな」

「いっしょにお隣の世界へ行ってみないかな」
「お隣の世界でわたしを誘うのね、そして隣からとなりへ誘いの旅をする」
「あたい達の集団ができたら面白いでしょう」
「同じ容姿の軍団が平行世界を旅するのかあ、ぜったい奇妙だわ」

   あり得るのかな
「見ろよ向こうから来る女たち」
「かなりの美人ぞろいのようだが、いったい何人並んでいるのだ」
「みんな同じ顔をしているぞ、ロボットの集団かな」
「それなら道を占領しないで欲しいよ」

「圧巻というか壮観というか、人数に圧倒されるよ」
「それもみな同じ顔、同じ体つきだものな」
「なにが起こっているのか理解できないぞ」
「ここって夢か仮想現実かそれとも妄想なのか」

「あいつらが攻めてきたら恐ろしいだろうな」
「武器は持っていなさそうだが」
「人数だよ、それも同じく見えるきゃしゃな女の子だ」
「手出しできない圧倒的集団だよ」

   別世界の私
「やだあ、みんな別世界のわたし?」
「そうよ、いっしょにお隣の世界へ旅しましょうよ」
「でもこの人数だと楽しいたびにはなりそうもないわね。多すぎるわ」
「意外と発見があって未知の面白さがあると思うけどな」

「やめて、わたしは行きたくないわ」
「どうして、同じあたしじゃないの」
「世界が違えばわたしも異なる考えを持つのよ」
「残念だなあ、何人集まれるものか確かめたかったのに」

「平行世界といってもどこか異なっているものね」
「みんな同じようで実はそれぞれ違う」
「それじゃあここらで解散としましょうか」
「自分では帰れないわ、責任もってよ」

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