嘘 百 回

「見劣りのする集落ね、どうしたのかしら」
「むかし盗賊だったらしい、それで近くの人たちに疎まれているんだとよ」
「でも以前の事でしょう、いまの住人に関係あるのかな」
「先祖が被害にあってたら好意的な付き合いはしたくないだろう」

「あのみすぼらしい集落の人たちは現状に甘んじているのかしら」
「先祖が盗賊だなんて濡れ衣だって言っているんだ」
「でも周りの住民たちが盗賊だったって言い張っているのでしょう」
「彼らはあやふやな言い伝えで確かな証拠はないって言っているよ」

「両者の見解が平行線なのね、これではいつになっても分かり合えないわ」
「先祖が被害にあったと主張し、もう片方は冤罪だと訴えているからな」
「盗賊だったって意識がないのかな、それなら否定するのも無理ないわよ」
「いや示された証拠が確かな根拠のないものなので冤罪だってんだな」

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