小杉さん①遅刻

 水尾です。喜劇研究会という同志社のお笑いサークルに入っています。リッケンジョリーナというコンビを、1つ上の代の小杉さんと組んでいます。僕は人間としてダメな方なのですが、小杉さんは人間の範囲外のダメさです。怪物です。その小杉さんの奇っ怪な話を忘れない為にnoteに書くことにしました。


 小杉さんは遅刻が酷い。もっとも自分も遅刻をする側の人間だ。小杉さんに会う以前は人の遅刻で腹が立ったことは無い。

 ただ小杉さんは次元が違う。平気な顔をして4時間遅刻したりする。5時開演のライブに5時に来て、「ごめん」と連呼する事もザラにある。
 ちなみに小杉さんは、謝罪は質よりも圧倒的に量だと考えている。本質的には反省をせず、ごめんの量で相手が許す確率を上げている。

 
  2021年の1月1日に僕は小杉さんの遅刻した時間を記録していく事にした。そして2月1日のネタ合わせ時点で、遅刻が丁度24時間になった。嘘だと思った。

 2月1日、3時間遅刻した小杉さんに「遂に1日超えましたわ。」と言った。するといつも通り小杉さんは「ごめん」と軽く10回ほど唱えた。その後にヘラヘラして小さな声で「すごっ。」と言った。

これがとにかく許せなかった!「すごっ。」の言い方も腹立つ言い方やった。これの何が凄いとこあんねん!

このままでは自分の時間を、無限に蝕まれると焦った。
 そこで解決策を考えた。1時間遅刻するごとに1000円払って貰うことにした。
 
小杉さんはお金が無い。だが未来を予想する力も、限りなく無い。「ええよ」と即答。アホや。 
 何回確認しても「大丈夫、大丈夫」しか言わない。
「払う気ないでしょ。」と聞くと「いや、それは絶対払う。」と言う。「絶対遅刻せーへんからええよ。」とも言った。
 金払うってなったら、遅刻もうしないと言い出すのも腹が立った。じゃあ初めから遅刻せんといてくれ!


次のネタ見せの日。予定の4時間後に4000円を握りしめた小杉さんが現れた。
「お前凄いな。」
初めて小杉さんの事をお前と呼んだ。

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