知らないことに対する恐怖

昨日、世界のママの集まるオンラインカフェでVBAC(Vaginal Birth After C-section)帝王切開後の経腟分娩体験談をお話するおしゃべり会を八王子のゆうこさん、大阪のれなさんと開催した。

選択の自由

私は2015年に緊急帝王切開で息子を出産し、2018年に経腟分娩で娘を出産した。なので、息子の時にも陣痛を経験し、帝王切開に切り替えるまで無痛分娩の麻酔も体験した。

そして息子を出産した後、産科のお医者さんから

「2年経てば経腟分娩にトライできるから。」

とあっさり言われた。

そして二人目を妊娠した時に、産科の先生に

「前回帝王切開だったから、今回も帝王切開にすることもできるし、VBACに挑戦することもできる。前回、陣痛まで体験してるから、もしVBACに挑戦するなら、おそらく出産は迅速に進むと思うよ」

と言われ、予定帝王切開とVBACのリスク、メリットの一覧を渡され、統計学的な数字もそこに並んでいた。その数値を見た時の私は

「あ、そんなにリスクは変わらないんだ」

という印象を受けた。元々経腟分娩を体験したい思いがあったのもあるが、確かに子宮破裂の可能性が帝王切開よりも多いというのが数値でも出ているが、大差がある、という感じではなかった。

体験したからわかること

帝王切開で息子を出産した後、その傷が何をしても痛くて、痛み止めを飲めばめまいがして、結局飲めなくなって痛みと長く戦う羽目になった。陣痛は、逆に麻酔で抑えられることを知った。

ただ、これはきちんと医療現場の専門家が選択肢として提示してくれたから、選ぶことができた。VBACについてもしかりで、「お母さんがやりたい方法で産んでください」と選ばせてくれた。

これは、日本で出産する場合は、無痛分娩をするなら無痛分娩をする病院を探さないといけない。VBACも同様で、お母さんが必死にそれを受け入れてくれる病院を探さないといけない。

「その情報、ソースは何でしょうか?」

おしゃべり会のなかで、VBACを考えているお母さんが「その話をすると、”なんでそんな危ないことを”ってマイナスなことを言われることがある」とおっしゃっていた。

確かに、VBACは子宮破裂のリスクがあるが、帝王切開も手術であることには変わりはない。つまり手術に伴う出血などのリスクはついて回るわけである。

人間は自分が体験したことがないことに対して、持ってる情報で物事を判断する。そして知らないことをきちんとどれだけ調べるのかは、その人に依存する。

物事には両面性があるので、どちらのメリット・デメリットをみて、自分で判断する必要がある、と私は思っているが、それが常にできるとは限らない。

ただ、出産に関していえば、二度と同じ出産体験はできない。そのなかでVBACや無痛分娩の選択肢をお母さん自身が選ぶことができるか、そしてその選択肢を尊重する環境が必要不可欠だと思う。

自分の課題・他人の課題

VBACの話を否定するコメントをした方は、”あなたのためを思って”、きっとそんな風に話をしたんだろう。それも愛の形ではあると思う。ただ、悪気がないから言っていいのかどうかは別である。

またその会話の切り出し方にもよる。もしその会話が「VBACについてどう思いますか?」で始まっているのか、「VBACをしたいんです」で始まっているのかにもよる。

「VBACをしたいんです」に対して、一方的に否定的なコメントを頭ごなしにするのであれば、きちんとしたデータを提示したうえで、冷静にそれを説明する必要があると思う。

私が今回のおしゃべり会を通して感じたのは、VBACを含め、様々な選択肢があるにも関わらず、実施病院の少なさから経験がなく、マイナスなところだけを切り取る傾向があるということである。

どんな出産であっても、命がけなのである。それを医療側の人たちも理解しているからのVBACに対する意見なのかもしれないが、お産はお母さんと赤ちゃんだけのもの。その思いを尊重してほしいな、と感じた。

中庸である必要はない。偏っててもいい。ただ、思いを受け取ることは忘れずにやってほしいなと思う。すべてのお母さんが望んだ出産の形になるとは限らない。それでも、せめて挑戦する権利だけは与えてほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?