7686 カクヤス グループ

今日は、カクヤス について調べてみます。
この会社は、
酒類販売店「なんでも酒やカクヤス」を運営している会社で、
主に、飲食店、個人向けに販売している会社です。
酒類を飲食店向けに販売しており、コロナ禍でかなりダメージを受けていた会社です。
その中でも、家庭用に活路を見出して、酒類以外の商材の販売に力を入れたり、エリアの拡大などを進めていました。
またこの会社は東京23区を中心にドミナント戦略をしていますが、
店舗の商圏を半径1.2kmに定めて、カニバリを起こさないように、23区をカバーしているビジネスがかなり興味深いと思っていたので、この会社を書いてみようと思いました。
また、アウターコロナからの脱却が本格的に始まり、飲食店などの業務用の復活が期待される中で、業績修正を発表して、急騰した銘柄だったので、みてみたいと思いました。

まずは、直近で発表した修正内容から見てみたいと思います。

業績予想及び配当予想の修正

に関するお知らせ
発表したのは、4/18です。

今期の売上を1140億から9億円増の1149億
営業利益は4億から3.8億円増の7.8億円
修正理由:コロナ5類への移行を受けて、酒類需要の増加が、2~3月の売上
伸長に繋がる。

配当修正も発表しています。
今期の業績修正を受けて、期末配当を20円を発表しています。
合計で、30円の配当になります。

月次報告(2023 年3月度)

直近の月次を振り返りたいと思います。


飲食店向けは97.8  家庭用向け114.4   合計102.8
上期:飲食店82.7  家庭用136.3  
下期:飲食店93.5  家庭用114.4
通期:飲食店88.1 家庭用117.5
3月の実績でみると、
飲食店向けはコロナ前に対して、97.8 とほとんど戻しています。
家庭用は好調で114.4 になりますが、
コロナ前は飲食店向けが7割を占めていましたので、合計102.8に着地しています。
2月の飲食店向けも98.5になりますので、かなり戻していることがわかります。
月次の数値に変化が出ていたのは、9月ぐらいからですね。

コメントを見ると、取引客数は 2019 年3月期(コロナ前)水準を上回るも客単価は同水準を下回りと記載があります。
コメントを見る限り、苦しい状況のように見えます。

昨年と比較すると、家庭用はアウターコロナの中でも、健闘しているように思います。上期は少し落としていますが、下期は100.4とそれほど落ちていないのはすごいことだと思います。

せっかくなので、過去のコメントを振り返りたいと思います。

8月は新規感染者の増加で厳しい状況が続いていました。
業務用は73.8 一方、家庭用は115.0 と好調を維持しています。

9月は値上げの駆け込み需要がありましたで、家庭用は136.3と伸ばしています。業務用は、感染者が減少したこともあり、回復傾向になるも客単価は伸び悩んでいました。それでも91.4まで回復しています。

10月は価格改定の反動減がありましたが、家庭用は119.0と好調
業務用は客数は増加しているが、客単価は伸びず、90.6

11月は新規感染者が増えた状況でしたが、取引客数、単価も改善し、91.3
家庭用は、ポイント還元のキャンペーンの影響で、123.3
合計で100.2

12月は、新規感染者が増えたものの、業務用は客単価の戻りが弱い。
ただ客数は増加傾向で、業務用は90.0
家庭用は前月に引き続き、ポイント還元のキャンペーンの後押しがあり、115.8  

1月は、新規感染者が減少し、業務用は、客単価が改善し、回復基調に
かなりポジティブなコメントになってきました。
家庭用は宅配の客数134.2と好調を維持。客数・単価ともコロナ前水準を上回り122.4
家庭用・業務用とかなりいいコメントのように思います。
飲食店などの月次を見ると、この1月のタイミングで、かなりガラッと変わっている印象があります。
ずっと低迷していた飲食店なども 1月の月次を発表した2月辺りから、株価に反応するようになっていたと思います。
3月になるとさらに居酒屋系は強くなっていったと記憶しています。
5月にもあまり良くなかったヨシックス・鳥貴族なども強い動きをするようになっていますね。

2月は寒波、大雪の影響があったようですが、業務用はチェーン店の客単価がもう一段改善。コロナ前の水準に近づいているとコメント
家庭用も宅配の客数が129.2 と好調。

1月のコメントから、家庭用の宅配の客数が伸びていますと記載があり、
少し気になるコメントではあります。

業績


業績を振り返りたいと思います。
3Qの売上は309億+13.7  売上総利益70億+22.0  
販管費62.1億+12.1  営業利益7.9億になります。

2019年と比較してもかなりいい数値です。
売上総利益は家庭用のウエートが上がっている影響なのでしょうか?
粗利率は19.7%から22.6%まで上がっています。
ただ販管費は10億ほど増えています。
営業利益率は2.5%と改善はしていますが、かなり低いです。

3Qまでの累計です。
売上は847億+32.2  営業利益1億と黒字には転換しています。

その決算発表時に下方修正を出しています。
下期では、売上669億から602億  営業利益は15.9億から10.8億に
通期では、売上1207億から1140億  営業利益は9億から4億に修正しています。

2023年3月期連結業績予想の修正に関するお知らせ

修正理由は、12月の業務用の回復ペースが予想を下回ったことと記載があります。

この時の4Qの見込みを計算してみますと、
売上は293億 営業利益2.9億になります。
4月に発表した修正では、
売上302億 営業利益6.7億に修正していることになります。

10~12月の実績でみると、売上309億 営業利益7.9億になりますので、
ほとんど前四半期と遜色ない売上・利益を確保しています。
過去の実績でみると、コロナ禍の数値しかないので、比較は難しいですが、
かなりいい数値ではないかと思います。
まだ、業務用は戻り始めたばかりな上に、ニュースなど見ても、宴会需要が戻ってくれば、それなりに期待はできそうです。

ただコロナ後の数値しかないので、少し予想が難しいです。


外食市場調査(2023 年 3 月度)
リクルートがリリースした外食市場調査では、
3 月の外食市場規模は 2715 億円 +903億
外食市場規模はコロナ禍前比(2019 年 2 月比)79.5%で回復は足踏み
外食単価は 16 カ月連続で前年を上 回り、19 年比でも 105.8%と高い伸びです。
飲酒主体業態では、コロナ前比較で60.2%とかなり苦戦
前月より悪化しています。

外食市場規模を月別で公表しているので、それを参考してみます。
1~3月:7826億 4~6月:7359億 7~9月:7336億 10~12月:7966億
直近の数値で見ると、カクヤス の数値とそれほど誤差は少ないようなので、このデータは参考になるかもしれません。


これは、2018~2019年のデータです。
1~3月:10060億 4~6月:10003億 7~9月:10123億 10~12月:10572億
と四半期別だとそれほど大きく差はないです。
月別で見ると、12月と3月は高いです。
宴会需要なのだと思います。
1~2月、9~10月はやや下がっているようには見えます。

これでみていると、売上は300億程度は見込めるのかもしれません。
もちろん前月と同程度の回復状況であれば、
それ以上の客数、単価の上昇があるのであれば、もう少し上振れするかもしれませんし、
4月などは気温の上昇もありましたので、想定しているより、伸びている可能性もあると思います。
マスクの緩和で、どのくらい伸びているのかは予想は少し難しいです。

ビール会社なども月次をリリースしていますが、カクヤス の方が月次をリリースするのは早いので、先読みは難しいです。
外食の月次動向を参考にするのが、betterな気がします。

3Q決算資料


3Qのハイライトです。
旅行支援や海外旅行客の入国解禁等の行動緩和措置で人流が活性化し、飲食市 場は回復
インバウンド需要や 花見等宴会需要の回復に期待

決算概要
業務用:売上551億+213億 顧客数+21.1  単価+34.3
宅配:売上155.8億-3,7億 顧客数-5.5  単価+3.4
POS:売上126億-6.7億 顧客数-10.7  単価+6.3
卸:売上13.2億+4.1億 
合計847億+206億 +32.2

業務用は、飲食店などの注文が増加(全国旅行支援、海外旅行者の入国解禁など行動規制の緩和で人流が活性化)
宅配:今期は家飲みが減少
POS:コロナが落ち着いて、苦戦

業務用:客数は個人店を中心に回復傾向、コロナ前を上回る数値、客単価は、80%まで回復

個人飲食店はコロナまえを超えるも、チェーン店は客数は回復傾向にあるものの、大人数の宴会の減少の影響が残り、コロナ前の水準には届かず。


宅配は、外飲み需要の増加で減少しているものの、成長続く
単価は、大口注文の減少で、コロナ前を下回る。


最後に

個人向けのサイト

を開設しているのでみてみます。

首都圏、特に東京23区を主軸に、ラストワンマイルを手掛けているデリバリー企業
売上の85%は宅配の売上になります。

配達サービス


飲食店に対しては、配送センターからのルート配送
追加注文やスポット注文に対しては、店舗からの出荷、もしくは小型出荷倉庫からの出荷を行う
花見やパーティーなど、ご自宅以外の配達需要にも対応すべく、屋外の公園やバーベキュー場などにも配達
お届け商品は、酒類や飲料に限らず、氷やレンタルビールサーバーなど

自宅以外にも配達してくれるのはありがたいですね。

ブランド

ブランドは6つありますが、主にはカクヤス とKYリカーの2ブランドです。
なんでも酒やカクヤス
ピンクの看板で、東京都23区を中心に横浜や大阪等にドミナント展開
家庭用:店頭での販売の他にお客様のご自宅をはじめとしたお客様が指定する場所に「1時間枠」で無料で配達。
店舗・小型倉庫で、183箇拠点があります。
KYリカー
神奈川県を中心に東京都下や埼玉県の川口市などの郊外に「酒の大型専門店として出店 29店舗

会社の強みについても書いてあります。

株主向けイベントも開催しています。
飲食店向け酒類総合展示試飲会「KAKUYASU DEXPO」を毎年開催していますが、今年は4年ぶりの開催になるそうです。
飲食店様のみを対象とした展示会である「KAKUYASU DEXPO」に、今回株主の皆様に特別にご案内しているようです。
こういう取り組みはいいですね。
全国の酒類、飲料等のメーカー・酒蔵、インポーターなど200社以上が集結し、3,000種類以上の酒類が無料で飲めるようです。



レポート

少し古いレポートですが、数値だけ見ておきます。
来期予想では、売上1365億 利益は18.1億
25年期では売上1488億 利益27億の予想になります。

四季報では、来期は売上1300億 利益16億の予想になります。

四半期別で見ると、売上300~350億程度の範囲内で、利益は4~6億程度なのでしょう。
今の直近の数値状況を見ると、いっても20億ぐらいなのではないかと見ています。
飲食店の動向次第になるのだと思います。
そこは月次の動きで判断すればいいのかと思います。

ただこの会社の場合バリエーションが難しいです。
コロナ前は10倍ぐらいでしたが、今は20倍前後になるのですかね?
比較する会社がないので、判断は難しいです。
そもそも利益率が低いので、この収益性があがるので、あればもう少し調べる価値はありそうです。
レポートや四季報の数値からはそれは感じられないです。

ビジネスモデルで見ると、非常に面白い会社だとは思います。

 






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