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アップルの利益率が、何%か知ってる人居る?

2024年1~3月期決算を経理屋が深掘り

半導体大手N V I D I A(エヌビディア)の四半期決算を分析したのに続き、時価総額が巨大であるアップル社について興味を覚えたので、その内容を分析してみた。

アップル社と言えば、時価総額世界ランキングでマイクロソフトと首位を競う巨大企業で、時価総額は3兆ドル弱というとてつもない規模の会社である。

筆者は、40年近く電機メーカーの経理の立場で、予算編成、業績管理、年度決算など様々な業務に携わってきた。その経験を踏まえて、話題の会社の業績内容を公正中立かつ冷静な立場で分析してみたい。


四半期業績の分析 (その答えは、営業利益 「何と!30%」)

apple社の2024年1~3月期の決算発表のニュースリリースを受けて、四半期業績推移をグラフ化した。


1年前の2023年1~3月期に比べて、直近の2024年1~3月期は、営業利益額はわずかな減少。

営業利益率はやや増加し、30%を超えた。

売上高の推移を見ると10~12月は高く、1~3月期は落ち込むという季節性がみられる。

営業利益率は、安定して30%前後をキープしており、巨大な売上高に対して安定した利益を稼げている。iphoneやmac bookといったapple社の製品に対する信頼性やブランドイメージなどが、その背景にあるのだろう。

コスト構造に目を向けると

売上原価比率は、徐々に引き下げられていて、2022年10~12月の57.0%から、2024年1~3月期の53.4%までに3.6%の低減である。

開発費・営業経費は、ほぼ横ばいで、合わせても16%程度で、効率の良い開発や組織が維持されていることが推察される。

カテゴリー別の売上高  (iphoneが半分。全体売上横ばい)

同じ四半期別のカテゴリー別売上高は、以下。


iPhoneからWearables,,までは、ほぼ横這い。

サービスについては、着実に売上拡大中。

セグメント別売上高と売上原価 (iPhoneの原価は、何%?)

同じ期間に対するセグメント別の売上高と売上総利益の推移は以下の通り。


Apple社は、プロダクツとサービスという形でセグメントを分けて報告している。

iPhoneは、プロダクツに含まれているので、答えは「60%強」と考えて良さそう。

この上に開発費と販売間接費が12〜16%程度乗るので、営業利益率は多分20%前後ですね。

プロダクツ売上は10~12月期は、1年前に比べて微減だったのに対し、1~3月期は10%弱の落こみである。売上原価比率は、概ね63%程度を維持しており、安定的な収益の源泉と言える。

サービス売上は、順調に伸びており、1~3月期で1年前に比べて14%の伸びを示している。プレスリリースでも過去最高の売上高と述べられており、注力している様子が窺える。

サービスの粗利率は、29%から25%と引き下げられている。プロダクツより利益率の高いサービスの方を収益の源泉として重視しているものと推測できる。

まとめ  (全体的な印象が「あれっ?」)

iPhoneやmacbookといった製品を世に送り出したapple社であるので、30%前後という極めて高い利益率を維持して、経営基盤が盤石であることが数字から窺える。

エヌビディア社の分析を行った後であることもあるが、apple社は安定していることが窺える一方、スティーブ・ジョブスという創業者無きapple社は安定期に入っているのだろうか、という疑問が湧く。

利益率が極めて高水準であること以外は、とても普通な感じがするのは、とても意外である。

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