『ハイン』

『ハイン』
(アン・チャップマン)

読み途中のまま長らく行方不明になっていた本がカバンの奥から発見されました。

ハインっていう南米部族の秘祭を研究したドキュメント。
これ白黒写真ですが、カラー写真だと紅白でよりキモいです(笑)

ハインとは、村の男たちが精霊に扮するお祭りです。長い時は数ヶ月もハインは続きます。面白いのが、その正体は女たちには決して教えてはならない掟があること。逆らえば死。
サンタクロース的なイメージが近いかも。
男系社会を守り抜くための儀式劇場のようなものなのですが、これがなかなか涙ぐましいのです。

分身を見立ててワープマジックをしてみたり、傷を治して(ヤラセ)みたり、巨人を召喚してみたり。村(の女性地区)を襲撃する際には男たちが身を呈して()女たちを守ったり。。

男たちは本気で「バレていない」と思っていて、現に女たちも「あれは精霊」と言っているのですが、その実やはり、というか案の定バレた上で女たちはその劇に参加しているのでは、というのが著者の仮説。そこを追求するのは野暮な気がしますが(笑)もっとも疫病などでハインの伝統は途絶えてしまったので確かめようがないみたい。

最後の最後まで掟を守り続けた男たちと、あえてそれに乗って共同体を維持した女性たち。
いつの時代も女性の方が一枚上手(笑)
タネがあるとか正体がなんだとか、そう言ったものを超越した結びつきと精神、魔力の豊かさとはこういうものなんだろうと実感した一冊でした。


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