「読書とは何か」

「読書とは何か」 三中信宏

“それはあなたがいつもしていることでは?”
という奥さんの言葉を受け流しつつ。
読書は旅であったり戦いであったり対話であったり食事であったり建築であったり、さまざまなものに例えられてきました。帯にもある通り、著者はここで読書を「狩り」として例えて論を展開していきます。

多くの人が想像するであろう本を読むという行為は、著者に言わせれば往路にすぎません。
イキハヨイヨイカエリハコワイ。
往路で集めた獲物(ノード、カケラ、断片)を
復路で仮説とともに再構築して自分のものにすることが読書の醍醐味であると主張しています。

あまり馴染みのない分野の読書:アウェイな狩りでは往路での獲物の質を見極めるのが難しく、戦利品で復路での再構築の精度は落ちてしまいます。だからこそ労力は大きく危険もありますが、得られるものは大きい。

自領域の境界は踏み出して初めて分かるものです。読み心地の良し悪しに囚われてはかえって自領域内の自覚も疎かになります。知的冒険の違和はためらってはならない、というところは、金言と思いました。

“各々の読書空間が交わる領域では、相手の読みの深度を探ろうとしてはならないという暗黙のルール”は、もっと常識として定着してほしいです(笑)


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