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自然を学ぶということ

御目通し頂きありがとうございます。Riesta(ライエスタ)と申す者です。
前回の河芸マリーナ(もしよろしければこちら「自然を体験するということ|Ri-estanote」もご覧ください。)に続いて、今回は銚子川にて実習を行いました。
今回のnoteについても頑張って書きましたので、読んで頂けると幸いです。
それでは始めさせて頂きます。

絶景と絶景、そしてそれら絶景に次ぐ絶景。
思わず「うわすげえ!!」と言いたくなるようなそんな場所、そこが今回の活動拠点、銚子川だった。
なお、今回の活動について、初日に行ったものは三重県の「みえアウトドアヤングサポーター育成事業」の一環として、三重県と連携して行われたものであった。

はじめに


今回の拠点の最寄り駅となる相賀駅へは、津駅から3時間程度と結構な距離があった。
それまでの間の景色について、初めのうちはコンクリートの灰色が多めの、よく見慣れた光景であったが、次第に地面の茶色や山の緑が多くなり、「リテラシーが始まったなあ〜」というような気分になった。

乗り換えの関係で一時停車をした駅の写真。
のどかな風景が広がっている。
上の写真の歩道橋から撮った一枚。
実習の拠点の最寄り駅から撮った一枚。
背景の山の深緑が大自然を感じさせる。

現地に到着し、全体の活動や「みえアウトドアヤングサポーター育成事業」についてのガイダンスを終えた後、実際に川に赴いての活動を開始した。初めの活動は川でのレスキューの訓練であった。

レスキューの内容は「川に流された人をどう救出するか」というもので、この時、レスキューの際には「人を助けるために自身が飛び込む」ということがもっともしてはいけないということを学んだ。川には流れが存在しており、その流れの中での救助活動は非常に困難であるといわれているからである。
実際、川の流れに身を預けていた際、存外体が持っていかれるような感覚があり、体制の保持に意外に多くの体力を消耗した。この流れの中で救助対象に接近し、状況によっては対象を担いで岸まで戻るという行動は、素人には到底不可能な芸当だろうなと痛感した。
また、レスキューの際に用いる浮袋を用いたレスキューの訓練も同時に行った。この浮袋は川に流された人に対して、陸上の人間が投げて使うものであるが、この浮袋の投擲が想像以上に難しい。
まず、この浮袋がうまく飛ばない。思ったよりも空気抵抗の影響を大きく受け、なかなか遠くに飛んで行ってくれず、また投擲後の浮袋の軌道が思っていたよりも下方向にブレる。思った位置まで飛ばせるようになるまで何度か投げなおしをしなければならなかった。
また、浮袋をつかむ側、すなわちレスキューされる側の動きも思うようにはいかなかった。目を通すよう言われていた事前資料には、あらかじめ目を通しており、ここで行うことについても頭では理解していたつもりではあったが、いざ実践となった時には頭が真っ白になってしまい、どうすればいいかわからず、事前の予習が生かせなかった。しかし何度か訓練を繰り返すうちに「こうすればいい感じに浮袋が体から離れなくなる…?」といった、コツのようなものが掴めたような感覚があり、その後はレスキューされる側としても、ある程度形になった動きができるようになった。
やはり頭での理解よりも、実地での身体の動きでの理解のほうが覚えやすいと感じられた。

また、訓練の際に川に入った時、想像以上に水が冷たかったことが印象的だった。例えるならば「少し季節の早い時期に始まった学校のプール」といったような様子だった。今回の活動においても、前回の活動と同様にPFDを着用していたのだが(PFD:PFD:救命に必要な要素を備えたパドリングスポーツ用に開発された救命胴衣。詳しくは前回のnote参照)、今回は前回の海よりも水温が低く、PFDの機能の一つの「保温性」の重要性を強く感じた。

ゆらゆら帯


レスキュー訓練の後は、透明度の高い銚子川だからこそ観察できる、「ゆらゆら帯」の観察を行った。
「ゆらゆら帯」とは、海水と淡水の濃度の違いによって川の中に発生する、紅茶の中にガムシロップを入れた時にできるような、もやのようなもののことである。言葉や文面のみだとどんなものかイメージが少し難しく、うまく見つけられるまでに少し時間がかかったが、一度実際に発見し、「これがゆらゆら帯か!!」となったその後は簡単に見つけることができるようになった。
ゆらゆら帯の見える川のエリアは川でありながらも海水特有の独特な匂いがほんのり漂っており、また、その水の味についてもなんだか海水から塩味を抜いたような、少し不思議な味がした。
また、ゆらゆら帯の水の温かさについて、前述のように、川の水は基本的に冷たかったが、ことゆらゆら帯が発生している場所の水は時折温かくなっていることがあった。

エビ取り


ゆらゆら帯が観測できる地点から1時間半程歩き、今回のリテラシー学の自習の拠点となる「キャンプin海山」へ移動した。
ここで、施設についての挨拶を行ったあと、施設内のある場所にて、天然のテナガエビの捕獲体験を行った。
初めは校長先生のようにうまく捕獲することができなかったが、周囲の仲間の「タモをもっと草むらに押し付け、素早く引く」といったようなアドバイスを受けて、その後、初めてなんとか一匹のテナガエビを捕獲することに成功した。

初めて捕獲したエビ(画面中央)!
エビの捕獲活動はこのような場所で行った。

このような自然が豊かな環境で、生き物、それもし自然に生息しているものを捕獲するという経験は初めてのものであったので、ある種感動のようなものがあった。
また、そのテナガエビの捕獲について、他の方々が捕獲した生き物を見ると、エビ以外にもイモリのような多くの生き物が捕獲されていたり、エビについても大小様々な個体がいたりと、同じ種類の生き物を取っても全く同じ個体は二匹といないということを改めて感じさせられた。

校長先生の話


テナガエビの捕獲体験の後、そのテナガエビ捕獲について教えてくださった方である、「キャンプin海山」の管理人さん、通称「校長先生」からお話を伺った。
ここでは、現在銚子川で進められている「銚子川フィールドミュージアム構想」やその発案に至るまでの変遷、加えて銚子川そのものについてなどを教えて頂いた。
まず、「銚子川フィールドミュージアム構想」とは、銚子川やその流域の町全体を博物館やその展示物とするというものである。
その構想に至るまでにはNHKスペシャルの取材対象への抜擢やそれに伴って銚子川にやってきた心無いマナーの観光客など、紆余曲折が存在していた。
この話の中で私が印象に残っているのは、「アウトドアにおけるバーベキューは本当に必要なのか」ということ。実際、バーベキューを行うと、炭や加熱された網、食材の生ごみ等、非常に多くのゴミが発生する。
それらの想像以上に出てしまったゴミは心無い者によって、現地にそのまま打ち捨てられる。あまつさえ川の中に網が捨てられていたこともあったそうだ。
この話を聞いて、今まで私も「アウトドア、とりわけ川や海といったらバーベキュー!」という印象を知らず知らずのうちに持っていたので、この話をきいてはっとさせられた。これからはしっかりとこのことを念頭にいれ、しっかりと考えた屋外活動をしようと思った。

また、今回の講義において、銚子川の特徴など、銚子川そのものについてということも伺った。
この話の中で、銚子川の水の流れが「瀬→淵→瀬→淵→…」となっていること、また、滝が存在することや、その滝の生み出す流れによって石が削られ、丸みを帯びるということ、そのような丸い石が集まってすき間を作り出し、その中を水が通ることから水がろ過されるということ、このような地下で濾過された伏流水は、陸上の水よりも冷たくなる、という話を伺った。
このとき、初めのレスキューの際に水が冷たいと感じた理由がわかり、銚子川での活動を経て得た、自身の経験から得た学びと、今回の講義のような座学から得た学びが繋がったような感覚があった。
今まで自分は、自然の中での経験のような、いわゆる「机から離れた学習」は「机に向かって行う学習」とは似て非なるものであり、ある程度別のものとして捉えるものだというような認識があった。しかし今回のこの感覚を経験して、それまでの自分のそれぞれの認識は、単純に今までの自分の学びのほとんどが座学のみであったためそう感じていただけであり、実際にはそれぞれは密接に関わりあっていて、それぞれをしっかりと「学ぶ」ことで、よりそこでの知識を自分のものにできるんだろうな、というように感じられた。
このような感覚は今まで生きてきて一度も実感したことのないものであったため、非常に新鮮で、驚きと感動に満ちたものであった。

就寝、テントにて。


私は前回のこのリテラシー学の授業にて、あえて寝袋を持って行かなかったことによって非常に痛い目を見た。(詳細については前回の私のnote「自然を体験するということ|Ri-estanote」を参照して頂けるとありがたいです。)
ということで、今回はしっかりと寝袋、しかもインターネットサイトで評価の高かった品を予算を顧みずに購入し、今回の実習に臨んだ。
そして迎えた就寝の場面。このリテラシー当日は非常に蒸し暑く、寝袋は必要ないんじゃないかと思われるような気候であったが、「せっかく買って持ってきたしな…」ということで、寝袋を広げて使用してみた。
ここで、寝袋がいかに素晴らしいか、身をもって痛感した。
まず内部の柔らかさ。前回のほぼ地べたの状態とはまるで違う中綿のやわらかい質感。中に潜り込むだけで自宅の布団の中にいるような気分になり、とても快適だった。
次に暖かさ。夏特有の湿りけを含んだ暑さとは違う、入った者を迎え入れるような暖かさが寝袋にはあった。
正直、寝袋に入るまでは寝袋について、少なからず侮っていた部分があった。その思いを非常に良い意味で裏切られた今回の就寝はとても快適で、ぐっすり眠ることができた。

二日目朝、テント格納


午前5時半、テントの撤去のために起床した。
というのも、昨晩の予報では本日は午前6時から雨という予報になっており、雨の中作業を行うよりも早起きして早めに撤去を開始した方が良い、と私は考えたためである。
しかし実際に5時半に起きてみると、既に小雨が降り始めていたため、小雨であったものの、結局雨の中テントの撤去を行うこととなった。前回同様、やはり自然というものは人間の都合の良いようには動いてくれないものだということを感じた。
そんなテントの撤去作業であったが、これもなかなか大変なものであった。撤去作業を行うのが前回の河芸マリーナ以来であったため、自分の想像以上にテント片付け方を忘れてしまっていた。そのため、周囲の仲間に助けを借りる部分が多くなってしまい、申し訳なく感じた。改善するべきポイントは山積みであると感じられた。
というよりも、次回以降はテント設営、片付け等、間違いなく使うであろう道具の使い方については事前に確認し直すべきだったと思った。

二日目午前、銚子川上流「魚飛渓」へ


雨天の中でのテント収納をなんとか済ませ、朝のブリーフィング「朝礼のようなもの」の後、銚子川の上流の「魚飛渓」に向けて出発した。
目的地までの道のりは決して平坦なものでなかったが、決して退屈というものではなく、色鮮やかな虫、成人男性の握りこぶし大程度の大きさのカエル、ヘビの抜け殻、10m近くありそうな背の高い木など、私の地元のコンクリートジャングルではまずお目にかかれないような自然がたくさん存在し、それら全てが私の目に新鮮に映っていたため、退屈するということはなかった。

道中で撮った写真。
なお、道中に川を見下ろすと、時折魚影が確認できた。

二日目昼、「魚飛渓」にて


目的地に到着した後は、一時間程度そのエリアの中での自由行動となった。
今回私の所持品の中にゴーグルがあったため、せっかくなのでそれを装着し潜ってみた。その直後、眼前にはたくさんの川魚が生き生きとそれぞれの生活を営んでいる光景が広がっていた。

川の中での一枚。
岩の近辺にたくさんの魚がいることがわかる。


今まで自分は海でしか魚を見たことが無く、川魚の存在はテレビでしか見たことのない、いわば「幻の生き物」のような存在だった。そのため、この川での光景は本当に感動的で、何度見ても飽きないものであった。
また、前述の「海で魚を見た」という経験も、もう10年近く昔のものであり、とても印象に残っている素晴らしい記憶であるため、今回の川でのその光景は当時の記憶と重なって、とても懐かしく、いつまでも見ていたい光景だった。また、ここで魚を観察するために使った水泳の技術も、同時期に水泳教室をやめて以来まともに使わなかったものであったため、その体の動きそのものも当時の記憶を呼び起こす支えとなり、初めて来た銚子川での、初めて見た光景であるにも関わらず、その光景が私には、以前見たことのあるような、とても懐かしく、それでいて新鮮で、感動的なものであるように感じられた。
そのため、この光景をずっとタイムスリップしたような気分で水中にもぐっていた。息と体力の持つ限り何度も潜って見ては浮き上がり、潜って見ては浮き上がり・・・を繰り返していた。手持ちの防水ケースに入れたスマホでビデオ撮影も行った。
また、川の水も本当に綺麗で、川の中の魚が少し遠くの個体であってもはっきりと視認できた。

ビデオ映像の一部を切り取った画像。
映像には収められなかったものの、
この他に大きな鮎のような魚も確認できた。


二日目午後、銚子川の中流にて


魚飛渓での活動の後、拠点に戻って昼食を済ませた後、銚子川の中流に向かった。
中流まではカヌーを用いて向かった。前回の実習において、私はカヤックには乗ったことがあったが、カヌーに乗るのは初めての経験であった。
カヌーは一見カヤックとよく似ているようで、乗船、操作人数や航行に用いる道具、またその構造など、多くの部分に違いがある。特に、前回のカヤックの操縦は自分一人で行っており、操縦は自分のみの判断によって行われたものであったため、今回のカヌーが三人乗りであり、前進、後退、進路の決定など、操縦の様々な場面で仲間との協力やコミュニケーションが必要であったことは個人的に大きな違いであるように感じた。

カヤックでの移動の出発点の写真。
なお、この写真から見て左側の川の端で、
前日のエビ捕りを行っていた。

また、その道中で強く印象に残っていたのは本当に水が澄んでいるということ。
今回実習にて向かった他の流域とは異なり、ここでは一部水深が深いエリアを通過した。
その際、カヌーからその様子が確認できたのだが、本当に内部の濁りが存在せず、川の奥まで見通せた。
実習後に行なっている、このnoteでのまとめ作業を行なっている際に、改めて写真を確認していると「川ってすごいな…」と感じることが多々あるため、ここでの光景を含め、今回の実習を経て、自分の中での「川」という場所の認識が大きく変わったということを強く感じた。

カヌーの上で撮影した写真。
時折、撮影に夢中になるあまり
パドル操作がおそろかになってしまったことがあった。

銚子川の水は石で濾過されたものがその隙間からしみ出したものであるということを前日の校長先生の講義にて学んではいたものの、実際に川のはじまりを見たことは一度も無かったため、その様子を見てみると「川って本当にこんな風に出てるのか…」という驚きがあった。

銚子川の水が出てきている様子。
このあたりにも独自の生物が生息していることがある。
伏流水の中での一枚。
本当に、驚くほど水が澄んでいる。

あとがき


リテラシーを終えて家に帰ると、二日間の疲れがどっと出て猛烈な眠気と空腹が起こります。
そんな中でコンロをつけてご飯を温め、給湯器のボタンを押してお風呂を沸かしていると、いつもは何も感じないそれらの行動について、「何これ…魔法じゃん…」と、どちらかといえば昨日までの方が自然な生活で、今のこっちの方が「非日常」なんじゃないか、というような不思議な気分になりました。

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