安部公房論ー全集第一巻から、小説の残低ー
安部公房論ー全集第一巻から、小説の残低ー
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安部公房論を書くにあたり、安部公房全集を購入して、読解を始めている。それに置いて、まずは、第一巻における、安部公房の初期小説に流れる、安部公房の意図を探ってみた。無論、全集の一巻毎に論ずるというのは、些か方法としては、少し特異な形式だろう。しかし今は、この方法によって、述べた様な、安部公房の初期の出発点を探っておくためには、必要な行動なのである。というのも、第二巻の冒頭から、『壁』が始まるため、所謂、『壁』までの、安部公房の小