【簿記2級学習・商業簿記】連結会計を解くフローチャート(手順)
結論
この動画で全てまとめられています。動画を観ましょう。
また、各論点の修正仕訳は、いぬぼきさんの記事が参考になります。
はじめに
私は簿記2級をまだ学習中です。知った口ではありません。ですがそれでも誰かの学習の助けに、そして何より自身の理解を深めるため、記事を投稿する次第です。
連結会計、難しいですね。
連結会計の総合問題を初めてみた時、多くの方が手も足も出ないと思います。でも、大問で出題されるので捨てるわけにもいかない。どうすればと悩んでる方に届く記事になればと思います。
このような方にオススメの記事にしました。
簿記2級を学習中である
連結会計を学習中である
連結会計の問題が手も足も出なかった
連結会計の問題の解説を読んでも分からなかった
連結会計の問題を捨てたくはない
連結会計をフィーリングで解いていて、確立したフローチャートが無い
前提として、この記事は日商簿記2級の大問2で「連結財務諸表(精算表含む)の作成」が出題された場合の自身なりのチャートのまとめです。
そして、この記事では各論点の「具体的な修正仕訳・その成り立ち・修正仕訳が必要な理由」などは説明しません。これについてはいぬぼきさんの連結会計の記事が参考になります。
どうぞよろしくお願いします。
連結会計を解く前に認識しておきたいこと
財務諸表の作成と連結会計は別物
大問3で出題される財務諸表の作成と連結会計は別物と考えたほうが良さそうです。
問題の形式も似ていますが、別物と考えないと混乱してしまいます。(私が実際にそうでした・・・)
財務諸表の作成
大問3で出題される財務諸表の作成は、「決算整理前残高試算表」から「財務諸表」を作成する作業です。与えられる資料は「整理前の残高試算表」。そして作成するものは「決算整理が完了した財務諸表」となります。
連結会計
一方、大問2で出題される連結会計は、「親子別で作成された財務諸表」から「親子会社を1つの会社と見た場合の連結財務諸表」を作成する作業です。与えられる資料は「親子別で作成した決算整理後の財務諸表」。そして作成するものは「親子会社を1つの会社と見た場合の連結財務諸表」です。
上記の説明で決算整理仕訳と別物であると理解いただけましたでしょうか?
特に重要なのが、与えられる資料は「親子別だと決算整理が完了」しているという点。
「開始仕訳が必要な理由」や「利益剰余金の求め方が難しい理由」は「親子別だと決算整理が完了」していることが関わっていると思って良さそうです。
以上のように、2つは別物と認識しておくと、問題の解説を読んでも混乱することなくスムーズに受け入れられるかと思います。
連結会計を解くマインド
満点は狙わない
連結会計の問題は「満点は狙わなくていい」という気持ちで臨んだほうが良いと思います。理由は、満点を取るのは難しくて時間がかかるからです。
ですが、満点を取れなくても部分点を取ることは十分可能だと思われます。分かる範囲で埋められる箇所を埋めていきましょう。
本番ではどこが採点対象になるかはわかりませんが、採点対象になりやすい箇所はあるようです。どこが採点対象になりやすいか、予想問題集などを通して把握しておくのもいいかもしれません。
修正仕訳を洗い出しきれなくても連結財務諸表に入力する
連結財務諸表を作成するためには修正仕訳を資料から洗い出す必要があります。しかし資料が理解できず、修正仕訳をすべて洗い出すことができないこともあるかもしれません。その場合も書き出した修正仕訳で連結財務諸表の入力を進めた方がいいと思います。なぜならそれでも正解できる箇所があるからです。
修正仕訳が1つ洗い出せないまま進めても、点数としては4~6点落とすだけで済むと思います。(「洗い出せなかった修正仕訳の科目」+「利益剰余金」)
もちろんその修正仕訳によってはもっと落とすかもしれないですが、そこは割り切って他の簡単な事項や大問1の見直しに時間を使った方が良いと思います。
満点は狙わないことにも共通しますが、部分点を狙っていきましょう。
事前にフローチャートを組んでおく
連結財務諸表の作成問題が出題されたときに問題を解くチャートを事前に組んでおいた方が良さそうです。というのも、連結財務諸表の作成問題はパターンが決まっているようです。なので、連結財務諸表の作成問題を解くチャートを組んでおく。そして出題されたらそのチャート通りに作成作業を進めていきます。これで出題されても焦ることなく解くことができるのではないかと思います。
チャートの組み方ですが、我流で組むのは難しいと思います。そこで、結論で紹介した動画を観て学習しておきましょう。
この後解説する私のチャートも動画で紹介しているものを自身なりにまとめたようなものです。どうぞよろしくお願いします。
フローチャート
話が長くなりました。本題に入ります。
今回のチャートは大きく4つの手順に分かれます。
問題文を読む
タイムテーブルを書く
タイムテーブル以外の修正仕訳を洗い出す
「2,3」の内容を反映して連結財務諸表に入力する
順に詳しく見ていきます。(ここから親会社とP社、子会社とS社と呼ぶことにします。)
1.問題文を読む
まずは問題文を読みましょう。
会計期間はいつからいつまでか
回答する金額の単位、資料の金額の単位
上記は確認しておきたいところです。
2.タイムテーブルを書く
問題文・資料を読んで、それに合わせてタイムテーブルを書いていきます。タイムテーブルとは連結会計を解くための下書きだと思っていただければいいです。これを書くことで、解くために必要な修正仕訳が省略できます。
タイムテーブルの書き方は紹介した動画に解説があります。動画を観て書き方を覚えましょう。
また、タイムテーブルはS社を支配してから当期末まで列を用意する必要があります。例えば、「当期:×2/3/31~×3/3/31、支配獲得:×0/3/31」の場合、「×0/3/31、×1/3/31、×2/3/31、×3/3/31」と4列分のタイムテーブルを書く必要があります。期間は意識しておきたいです。
3.タイムテーブル以外の修正仕訳を洗い出す
タイムテーブルを書くだけで連結財務諸表を作成できないのが連結会計をさらに難しくしているところだと思ってます。
連結会計ではタイムテーブルを書くだけでは出し切れていない修正仕訳があります。それらも洗い出す必要があります。
問題文・資料を読んで洗い出していきましょう。
洗い出すために注目したい2つの大きな論点があります。
取引高・債権債務の相殺消去
未実現利益の消去
資料の各事項は、上記2つのどちらかにほぼ該当します。
2つの論点について詳しく見ていきます。
■取引高・債権債務の相殺消去
資料に「P社とS社間の債権債務残高」が出てきたら特に注目したい論点です。
P社とS社間で発生した取引高・債権債務は相殺消去する必要があります。
要するに、「互いに対となる勘定科目同士を相殺させる修正仕訳」を書けばいいです。
買掛金 1,0000 ⇔ 売掛金 1,000
借入金 500 ⇔ 貸付金 500
売上高 10,000 ⇔ 売上原価 10,000
など、両社同士の取引で生じた対となる科目があれば、その残高分を相殺させる修正仕訳を書いていきましょう。
●相殺消去の修正仕訳を書くときの注意点
ここでの注意点が、「お互いの勘定科目の残高を揃えてから修正仕訳を書く」です。例えば、債権債務残高で金額が揃っていればそのまま修正仕訳を書けばいいです。でも中には揃っていないケースもあります。このときは残高を揃えるための修正事項がないかを確認してください。そして残高を揃える仕訳を書き、残高を揃えてから改めて相殺させる修正仕訳を書きましょう。
また、残高を揃えるときに「手形の裏書譲渡・割引」という別の論点が出てくることもあります。
この論点もいぬぼきさんの記事が参考になります。試験までには押さえたほうがいいでしょう。
■未実現利益の消去
下記のどれかが出てきたら注目したい論点です。
P社S社間でやり取りした商品を繰越した
P社S社間で発生した売掛金に貸倒引当金を設定した
P社S社間で土地の売買をした
(※貸倒引当金は厳密にはこの論点には含まれないかもしれませんが、今回は含むということにさせてください・・・)
未実現利益とは、「まだP社S社間での取引でしか発生していない利益」と考えればいいかと思います。これを消去する修正仕訳を書く必要があります。
この修正仕訳のポイントをざっくり上げると下記になります。
商品・土地の流れがP社→S社だと「ダウンストリーム」
商品・土地の流れがP社←S社だと「アップストリーム」
「ダウンストリーム」と「アップストリーム」で修正仕訳が異なる
修正仕訳を考えるときは、「ダウンストリーム」か「アップストリーム」かを意識
「繰越商品」については、期末商品と期首商品の2つ修正仕訳が出てくることも忘れずに(いわゆる「しーくりくりしー」のイメージが近い)
この論点に関する詳しい学習はいぬぼきさんの記事に頼りたいと思います。
なお、この論点を学習する際、まずは「ダウンストリーム」の修正仕訳をベースに押さえればいいと思います。そして「アップストリーム」の修正仕訳は「ダウンストリーム」の修正仕訳に「非支配に帰属する利益」を考慮したものと考えればOKです。
そして、この論点の修正仕訳は最悪丸暗記も視野に入れていいと思います。修正仕訳の成り立ちを理解するのは本当に難しいからです。
未実現利益の消去に関するいぬぼきさんの解説記事はこちらです。
話が長くなりましたが、これでタイムテーブル以外の修正仕訳を洗い出す解説は以上です。連結財務諸表の入力に移ります。
4.財務諸表の入力
ようやく連結財務諸表へ入力します。入力する額の求め方を解説します。
ちなみに、連結財務諸表の作成問題では、修正仕訳を洗い出してから諸表へ入力した方が良いように思います。残高の修正が決算整理以上に激しいためです。
★基本は『P社S社の残高を合計し、修正仕訳を反映した額』
各科目の求め方は、
『P社S社の残高を合計し、修正仕訳を反映した額』
がベースになります。確実に計算していきたいです。
★基本の求め方ではない科目
基本の求め方を説明しました。ですが基本の求め方ではない科目もあります。これは本来書かないといけない修正仕訳をタイムテーブルによって省略したためです。紹介するので押さえましょう。
ここから、S社の株式に対してP社が保有している割合を「支配率」。P社が保有していない割合を「非支配率」と呼ぶことにします。
■ のれん・のれん償却
のれん・のれん償却は確実に正解を埋めておきたいところです。理由は、タイムテーブルを書くことができれば正解できる。かつどちらか一方は採点対象になることがほぼ確実だからです。
連結会計で部分点を取るためにも、まずはタイムテーブルを書けるように練習しておきたいところです。
気を付けるべき点は、「のれん償却」は「販売費」としてまとめてることもあります。頭に入れておきたいです。
■ 資本金・資本剰余金
求め方が簡単な勘定科目です。P社の残高を写すだけです。採点対象になることもありそうなので埋めておきたいです。
■ 受取配当金
S社が配当を出している場合、P社が受け取った配当は打ち消す必要があります。「S社が配当した」という事項があれば、その額に支配率を掛けることで修正額を求めていきましょう。S社が配当を出している場合は採点対象になりやすいです。
■S社株式
確実に0になります。ですが採点対象になることはほぼ無いでしょう。
■非支配株主持分
純資産「資本金・資本剰余金・利益剰余金」の当期末を合計して「非支配率」を掛けたものがベースになります。
それがそのまま答えになるといいのですが、アップストリームが発生すると修正が入ります。注意してください。
■非支配株主に帰属する当期純利益
いかつい名前してますが、何も入力せずに捨てるのはもったいない科目です。(しかも連結損益計算書の下の方にあるし、「当期純利益」を求めないと出てこなさそうな名前もしてるしでなおさらタチが悪い・・・)
まずこの科目は「費用みたいなもの」と認識していいと思います。
ざっくりとした意味は「S社の利益のうち、支配できてない分は引かないとないといけないよね。」ということです。
なので「S社の当期純利益」に「非支配率」を掛ければそれがベースになるわけです。ただし、アップストリームが発生すると修正が入ります。注意してください。
注意点はありますが、次に紹介する3強と比べるとまだ求めやすい方です。押さえましょう。
■当期純利益
3強の1つ。
ここからは捨てることも視野に入れていいと思ってます。求めるためには連結損益計算書が埋まっていることが前提になります。
損益計算書の各勘定科目を集計していきましょう。気をつけたい点が、連結精算表の場合、収益も費用も同じ列にあることです。収益を+、費用を-で集計するように意識しましょう。
■親会社株主に帰属する当期純利益
3強の1つ。
当期純利益を求めていることが前提になります。「当期純利益」から「非支配に帰属する利益」を引けば「親会社に帰属する利益」になるよねという話です。言っていることは難しくないと思います。
■利益剰余金
3強の1つにしてラスボス。
まず大前提、この科目は最初から捨てるチャートを組んでも良いと思います。
他の科目が求まっていることが前提で、かつ時間がかかります。求めに行くぐらいなら他の問題の見直しに時間を使ったほうがいいでしょう。
それでも求め方は紹介しておきます。読み飛ばしても大丈夫です。
求め方は2通りあります。
●正攻法
①タイムテーブルの利益剰余金の行から、「当期末の利益剰余金」-「支配獲得時の利益剰余金」を求めます。
②「①で求めた額」×「支配率」を求めます。
③「②で求めた額」に、当期末までののれん償却額を引きます。
④タイムテーブル以外に洗い出した修正仕訳で、費用と収益にあたるものを全て利益剰余金に振替ます。(非支配株主に帰属する純利益含む)
⑤「③で求めた額」に④で修正した仕訳を反映させます。
⑥「⑤で求めた額」+「P社の利益剰余金」が答えです。
手順が多いです。ですがやってることは「損益」を「利益剰余金」に反映させているのだと分かれば理解できると思います。
決算整理で、「損益」を「繰越利益剰余金」に振替たことと近いイメージです。
気を付けたいのが、修正仕訳の中で「利益剰余金」を使っている仕訳もあります。それも漏らさず反映しましょう。
●貸借一致の原則を利用して求める
貸借対照表は、必ず貸借が一致します。これを利用します。
まず貸借対照表の「利益剰余金」以外を埋めます。次に現時点での借方貸方それぞれの合計を求めます。その2つの合計の差が答えになります。
貸借は一致するはずなので、「利益剰余金」以外が埋まれば残りも自ずと分かるということですね。
本来は正攻法で求めるべきだとは思います。ですが試験問題を解くということに限れば、こちらの方法が時間的にも現実的かなと思います。
以上が基本の求め方ではない科目です。
★入力に気を付けたい勘定科目
その他、基本の求め方だけど、注意しておきたい勘定科目を挙げます。
■売上原価
相殺消去+未実現利益の消去(期首・期末)と、修正仕訳が多い時で3か所ぐらいあります。注意です。
■商品
先ほどの売上原価に気を取られて修正を忘れてしまう科目です。ここも気を付けたいです。
■土地
土地の修正仕訳は大体最後に登場します。油断して修正仕訳の反映を忘れないようにしていきたいです。
今までの内容を基に、入力できるところを埋めれば晴れて連結財務諸表の完成です!
以上がフローチャートです。
大変ですが、狙うのは部分点ということを忘れないでいきましょう。
3強以外で修正が入った科目を正しく入力できると14~16点は狙えると思ってます。頑張りましょう。
おわりに
ここまでの長文を読んでいただきありがとうございました。
2級を合格して、合格者の立場からまとめたほうが説得力あると思います。ですが、合格すると多分書かなくなるので今書きました。
最初は動画を観ながら問題を解いて良いと思います。手を動かしてチャートの流れをつかみ、自身のチャートを組んでいきましょう。
一緒に頑張りましょう!
最後に、動画を上げていただいたこん@簿記コーチさん、簿記2級の解説記事を運営しているいぬぼきさん、とても参考になりましたありがとうございました!この場を借りてお礼申し上げます。
以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
参考
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