【簿記2級学習・商業簿記】貸借対照表の作成で、損益計算せずに税引き前当期純利益を求める
結論
貸借一致の原則を利用します。具体的には下記の手順です。
貸借対照表の「繰越利益剰余金」「未払法人税等」以外の科目を全て埋めます。
現時点での「資産合計」-「負債・純資産合計」を求めます。
2で求めた額に、決算整理前の「繰越利益剰余金」残高を引きます。
3で求めた額が税引き前当期純利益です
はじめに
簿記2級の大問3では、財務諸表のどれかを作成する問題が出題されるようです。子の大問は簿記3級の大問3と違い、「貸借対照表」「損益計算書」のどちらか一方の作成が出題されることがあります。
で、「貸借対照表」を作成する問題の場合、「未払法人税等」と「繰越利益剰余金」に苦労することになります。これらを求めるために損益計算をすることになり、結局「損益計算書」も問題とは別で作成する必要があるためです。仕訳を書かずに解き進め、最後に絶望するということもあるでしょう。
しかし、損益計算をしていない状況でも、貸借一致の原則を利用することで「税引き前当期純利益」を求めることができます。もちろん、これが分かれば「未払法人税等」と「繰越利益剰余金」も求めることができます。
この記事ではその求め方を解説します。
なお、あくまで日商簿記の大問3を解くことに限定して話を進めます。また実際に試験での使用は自己責任でよろしくお願いいたします。
解説
貸借対照表には、「借方合計・貸方合計」が必ず一致する貸借一致の原則があります。この原則を応用すれば、「借方の合計」が分かりさえすれば、「貸方の中で分かっていない残高の合計」が分かるはずです。
貸借対照表の作成だと、最後に埋めるのは「未払法人税等」と「繰越利益剰余金」です。先ほどの貸借一致の原則を使うと、損益の計算をしなくても2つの合計を求めることができます。
次に、「法人税等」と「繰越利益剰余金」を詳しく見ていきます。
繰越利益剰余金と法人税等には下記の式が成り立ちます。
で、②の式を変形すると下記の式ができます。
① + ②'をすると、
以上のことから、「繰越利益剰余金と法人税等の和」は、「繰越利益剰余金(決算整理前)と税引き前当期純利益の和」と等しいことが分かります。この事実から税引き前当期純利益を求めていきます。
仮払法人税等が無い場合
「仮払法人税等」があると考えることが増えます。そこでまずは「仮払法人税等」が無いケースから考えていきましょう。
この場合、「未払法人税等 = 法人税等」となります。そのため、「繰越利益剰余金と法人税等の和」は、貸借一致の原則で求められます。そして「繰越利益剰余金(決算整理前)」も問題の資料に載っているため、結果「税引き前当期純利益」を求められます。
これで税引き前当期純利益を求めることができました。
あとは「法人税等」「当期純利益」を求め、法人税等の仕訳を行えば「未払法人税等」と「繰越利益剰余金」が出てきます。
無事、損益計算することなく「税引き前当期純利益」「未払法人税等」「繰越利益剰余金」を求めることができました。
仮払法人税等がある場合は、一度資産に含める
仮払法人税等が無い場合は先ほどの節だけで「税引き前当期純利益」を求めることができます。しかし、仮払法人税等がある場合は注意が必要です。
貸借対照表を作成したときには、仮払法人税等が仕訳されているためです。
そこで、貸借対照表の合計に、仮払法人税等の残高を含めます。これで仮払法人税が仕訳前の合計が求まりました!
あとはやることは同じです。税引き前当期純利益を求めます。
税引き前当期純利益を求めたら、前節と同様に「未払法人税等」「繰越利益剰余金」を出していきましょう。
これで仮払法人税等があっても「税引き前当期純利益」「未払法人税等」「繰越利益剰余金」を求めることができました。
おわりに
いかがでしたでしょうか。ご不明な点はぜひご質問いただけると助かります!
そして注意点ですが、この方法で「税引き前当期純利益」を求めたい場合、本番前に事前練習しておくことを強くオススメします。練習しないと本番では混乱して失敗する可能性が高いです。
もしこの記事がどなたか1人でもお役に立てていれば嬉しい限りです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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