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50代のおばさんがうつ病になりました。①

あれは突然の出来事でした。

 自営業者という肩書きを持ってはいるが、経営的に順調とは言えず、自営業ゆえ、ある意味自由な働き方ができる環境なので、アルバイトなど計三つの仕事をしていた。
 経営方法を、もっと建設的に検討するなど頭が回らず、「とにかく生活のために稼がなきゃ」としか考えられずにいた。
 自営業者という肩書きの他に家では家事一切を担うワンオペ主婦という肩書きと、末期癌を患った母を介護するケアラーという肩書きも持つ。
 もう自分には余裕がなかったのだろう。余計なことは何ひとつ考えられずに日々をやり過ごす。
 別に何も悩みもない。私さえ円滑に日々をやり過ごしていれば生活は回る。

 そんなある日、いつものように子ども達のお弁当を作ろうと、誰よりも早く起きて台所に向かうためにベッドから起き上がると、高速回転で目が廻るではないか。
 目眩の経験は初めてではないが、これは異常な高速回転。お弁当どころではない。
 気を落ち着かせ、目を瞑って横になるも瞼の裏側でも高速で回転し続いている。吐き気をもようしたので、布団を汚したくない私はゴミ箱を引っ掴み顔を突っ込んだ。
 ありがたいことに、午後まで予定がないので、子ども達にはお弁当を用意できない詫びをいれ、落ち着くまで横になっていることにした。

家族はそれぞれの場所に向って外出していったことに気がついたのは、だいたい3時間後。私はそのまま眠っていたようだ。目眩も消えていた。
 念のため、耳鼻科で検査を受けることにした。
 近所の耳鼻科で今朝からの私に起きたことを説明し、メニエール病や聴こえの検査をする。
 検査結果は『異常なし』
「一過性のものでしょう」とのこと。念のため、また目眩の症状が出た時のために漢方薬ツムラ漢方苓桂朮甘湯エキス顆粒を処方してくれた。

 目眩は初めてではない。30代の頃にも一度あり、やはり朝の忙しい時間帯であった。くるくると天井が廻り立っていられず、ペタリとソファにもたれた。
 初めての目眩に恐怖を感じ、まだ眠っている夫を起こして病院に連れて行ってほしいと頼んだ。
 夫と二人、どこに受診したら良いかわからないまま、風邪などでお世話になっている近所の内科に飛び込んだ。
 「目眩は内科じゃあないよ」と医師は言っていたが、何らかの点滴をしてくれて楽になり帰路についた。
あまり頻繁にあるようなら、「耳鼻科で検査してもらうように」と
目眩=耳鼻科と覚えた。

 今回の目眩は、あの時ものとは比べ物にならない目眩だった。久しぶりの目眩。そのうえ恐ろしい高速回転の目眩。それでも一過性。

 更年期障害を疑うこともするべきだが、40代の中盤から婦人科にて更年期の治療を受けている。メノエイドコンビパッチを週に2回腹部に貼る。
 この治療により、更年期からくる軽い目眩、気分の落ち込み、倦怠感が驚くように改善された。すっかり自分には目眩の気があることを忘れるくらいハツラツと過ごしていたのである。

 その日は、午後の予定もキャンセルにして横になっていることにした。
 きっと疲れが溜まっていたのだ。

滋養強壮剤をここ最近、毎日飲んで体を騙していた。
 布団に入れば瞼は重くなり、あっという間に朝という具合。
 ぐっすり眠ると疲れが取れるというけれど、全く取れていない。

 そんなことを考えながら横になっていると、頭部左側から痛みが徐々に襲ってきた。
 寝方のせいかと、あれこれ態勢を変えてみる。
 体中あちこちが凝っているようで重い。
 ストレッチの要領で肩と腰を逆側に腕と脚をぐーんと伸ばしてみる。
反対も然り。
 その瞬間は気持ちが良い。何回か続けてみても気持ちが良いのはその瞬間だけ。そして頭部の痛み増す一方。
 どうしたものかと途方に暮れる。

これまた、今回の目眩同様、味わったことのない痛さ。
鎮痛剤を飲みたいが飲んで良いものか。
 いっそのこと眠ってしまいたいが痛みが酷く眠れたものじゃない。

耳鼻科医、処方薬局に確認という手もあったのに頭がまわらず、私がとった行動は#7119だった。

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