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夕焼けに励まされた日

今日の夕焼けは見たこともない
そう、泣けるほど美しかった。

残酷なほど美しいとはこの事だろうか。

絵の具では到底表現し難い
罪深いとも言える鮮やかなオレンジ色に
“畏敬の念〟すら覚える。
こんな経験は初めてだ。

遥か遠くに映る山並み、
次第に沈みゆく太陽に
吸い寄せられるように
愛犬の散歩がいつものコースを外れて
夕焼けに向かった。

すると、それに魅せられたのは
私だけではなかった。

BMWミニ クーパーS 
白ツートンに乗った若い男性、
多分30歳位の“赤楚衛二〟似のイケメン。

「夕焼け綺麗ですね〜
綺麗過ぎて見とれちゃって
写真撮りましたよ〜」と
大きな声で話しかけてきた。

「そうね〜私も思ったー!」と
私も大声で返した。

書店の駐車場に停めて
あの夕日を撮っていたのだろう。

その顔は優しく、ゆっくりと
ハンドルを切りながら
カーブを曲がって去って行った。

なんだか嬉しい出会いだったなー😉
心の中に燈が灯ったような瞬間。

たかが夕焼けごときに
それがたまたま綺麗だったからって
見ず知らずの人に
普通、話しかけないでしょうよ⁈
でも嬉しいもんですね。
同じ感動を共有できるって👍

たった数秒の会話・・
二度と会わないからこそ
こういう出会いはとても不思議で
優しくて尊い。

彼もあの美しさに圧倒されたのか
誰かに、たとえ他人でもいいから
話したかったのかもしれない。

漆黒の闇に向かい
あと少しで沈んでしまう。
心が洗われるような
光輝く朱色の見事なまでの美しさ。


武田鉄矢さんが26歳の時
新曲は売れない、
コンサートの仕事もない頃、
映画の仕事で長野に行った
帰りの列車から見た夕焼けを見て
呟いたあの言葉を思い出した。

私は夕焼けを見るたびに
この話を思い出す。
そして同じ事を呟いてしまう。

「きっと良い事がある」

今日の夕焼けはことさら
特別に見えたのは言うまでもない。

すべてが報われたような
労われたような
大きな優しさに包まれた。

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