傷

慣れないことがある。

聴覚障害は見えない障害。
でも家族は理解してると信じていた。

昔、まだ聞こえるふりをしていた時
お客さんの話が、友達の話が聞き取れず
聞き返した。
大音量だとまた聞き返す。

私のような人間が滅多打ちにされるのは
「もういいよ」
「ちゃんと聞いてる？」
という言葉。

今の補聴器は両耳で100万以上する。
落としてはまた購入。
360℃の音を拾い、最大7パターンまで聞こえを変えられる。
でも聞こえすぎて頭が痛い、もしくは
聞こえすぎを通り越して頭に響く。

2ヶ月ほど続いた耳の傷からウィルスが入って耳下腺含め耳の中も全体的に腫れて
膿んだことから
あの痛みが嫌で、若干腫れが残っている今まだ怖い。

お笑いのテレビをU-NEXTで観ていたけど、補聴器は装着できないし、字幕がないから部分的にしかわからない。

夫が爆笑した。
「なんて言ったの？」と聞いた。
結婚して初めて

「あー！後で観ればわかるよ」
と
テレビを観て笑い続けた。

涙さえ出ない。
私はテレビを観て、何を言ってるか分からなくても聞き返さなくなった。
傷つきたくないから閉じた。

息子が幼稚園の年少の頃、
若い男性の理事長からこう言われた。

「お母さん。耳が悪いなら息子さんの行事も送迎バスの乗り降りもお父様にやってもらってください」

1ヶ月ほど泣き続け、鬱状態になった。
人に会うのも怖い。

そんな私を見て、母が胸を痛め
補聴器を買ってくれたのだ(40歳近くになって親にお金を出してもらいたくないからお金は少しづつ返して完済した。)。
補聴器をはめてから世界が変わった。

昔の私に戻ったのだ。

私立幼稚園は管轄が無い。
だから私は都庁に電話をかけた。
管轄がないと逃げる職員に

「幼稚園を作り調査と認可をする課はあるのに、先代がお亡くなりになり新しく責任者が変わる際に調査をしないのはあなた方の怠慢では？新しい責任者候補が相応しいか、開園と同じように精査すべきです」
と譲らなかった。

私はこういう性格だ。

初めて子供が出る自分の世界・社会を牛耳る人間が障害者を差別する、
そんな所に通わせられない。ついでにその幼稚園に通うお友達とも付き合わせたくない、とも言った。

息子を休ませボイコットをしたら、都庁の職員が直ぐに理事地に電話をかけ
厳重な注意をしたそうだ。

正式な謝罪もあった。

母は強し。
補聴器を、するまでは弱かったけど。

このことも、昔から健聴者による傷つく言葉や態度を説明してきたはずなのに
無神経だ。

私には重ねて色んな問題がある。

1番キツイのは
右足裏の感覚麻痺で、着地した場所の感覚がないせいで
滑りやすいところだと転びかけて手首や
庇った時に打ったところを痛める。

最近は深刻な状態で
何度も大怪我に繋がる転倒未遂したが
切実です。

とうとう今朝
夫に打ち明けた。

その夜に、耳のことを忘れているのか
面倒臭いから説明せずに後で観てと……

癌も風邪も難病も精神疾患も、全ての病気は
患者は好きでなる訳では無い。
なのに病気により態度が変わる人が多すぎる。

私は
いつまでか分からないけれど
家族とTVは観るのをやめる