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修学旅行の未来に向けて

今年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案が、6月7日の経済財政諮問会議で政府から示しされ、教職員の処遇改善など教育分野の施策が数多く盛り込まれた、と報じられています。

教職員の負担が多すぎるのではないか?という指摘は前からもありましたが、少子化時代になってから政府の主要課題にされるとは、何か不可解なものを感じます。モンスターペアレント(ツ)という言葉が一般化するくらいに、学校の先生の権威は低下した訳で、クレマーに悩まされるのは市役所の窓口と変わりないのでしょう。

さて、教職員にとって負担のひとつは修学旅行。ツアコンでもないのに、群れを率いて旅行するのですから心労の数々、誠にお気の毒様です。この制度は、遠い昔、生活地を離れて旅行する機会など殆どない人が一般的だった時代、歴史教科書や著名文学作品に出てくる名所旧跡を見て、少しでも見聞を広める機会を与えようという意図で始まったと聞きました。鉄道活用の一環でもあったのでしょう。いずれにせよモータリゼーションが進む遥か以前のことです。

そして今、修学旅行の主要目的は、学友との思い出作り・・・スカイツリーや東京ディズニーリゾートが組み込まれていることについて是非は論じる気はないのですが、思い出作りに教職員が付いていく必要があるのでしょうか?よほどの特殊事情を抱えている人でなければ、東京観光やら京都観光などをする機会はあります。普通にバスツアーに申し込めばよい話で、幹事となった教員は、事前調査として時間を割き、旅行会社に旅先で接待されて嬉しいのかもしれませんが、他の教職員には何のメリットもありません。

近年では、修学旅行の目的地をどのような理由で選んだのかPTAに説明するところもあるそうで、説明資料は旅行会社の助けが入ります。他校でも通用したものを使いますから、説得力は十分!・・・そうなると、旅行会社とて商売ですから、資料を何種類も作るのは面倒で、絞られた定評のある場所に行かせることができれば楽です。結局、オトナたちの事情で行き先が決まり、仲間で思い出作りに勤しむ生徒たちの群れは新しい知識を得る訳でもなく、ほとんどの人は生涯2度と体験しないだろう大規模団体旅行で参加費と土産代にお金を使います。

隣国・台湾の場合、修学旅行は希望者参加制だそうで、これならば、仲の良くもないクラスメートと無理に行く必要はありません。オリジナリティが求められる時代にあって、画一的な学校行事は見直すべきときです。旅行会社主催の学びの旅メニューから生徒各自が親と行き先を選んで、旅行後に発表会をするといった形にすれば、教職員が旅行会社謹製の資料で職員会議やPTA会合で冷や汗をかきながら余計な説明をする必要はありません。

自由研究型の選択方式にすれば、友達と一緒に思い出作りに行く者あり、家族と行く者もあり、一人で申し込んで旅先で同好の士と出会う者もあり、部活の仲間と参加して奇跡のレッスンを受けるなんて企画があっても楽しいでしょうし、プロカメラマンと同行して自然風景写真を撮影しながら環境問題を考えるとか、一流料理人の協力を得て食材の収穫から始まり調理の科学と栄養学、盛り付けの美を学ぶとか、普段出会えない先達との旅は一生の思い出になります。教育補助金はこういうところに出すべきです。

そして、教職員も楽になります!



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