劇団夢幻 第11回 本公演 「humAn」勝手に考察

劇団夢幻 第11回 本公演 「humAn」
8/31 14時回、19時回を観劇して。

◾︎オートマタって。

心、紲、マホロ、ユイ。四人の「約束」

"いつまでも一緒だよ。"

離れていても、たとえ、いなくなってもずっと友達(一緒)だと伝えたかった心。それに対し、物理的な"ずっと一緒"を求めた紲。結果、オートマタが生まれる。

"オートマタは、言葉の原義としては「自動機械」のことであり、語源のギリシャ語「automatos」は「自らの意志で動くもの」というような意味合いを持つ言葉である。"
-wikipediaより引用

語源では「自らの意思で動くもの」と定義されていることに驚いた。劇場の壁やセットの柱に絡まる赤い糸。あれは操り人形に繋がる操りの糸?のように感じていたけれど、オートマタ達は元々、自らの意思で動く存在だったのか。

もしかすると、物語序盤、莉子博士が起こした一斉エラーは、オートマタ達に自意識を持たせるアップデートだった?(本来、莉子博士が行いたかった研究?)

思えば、展覧会でほたるや瑠璃達の対応をしている時とその後では雰囲気が全然違うようにも。(展覧会の時はあえて人形のように振る舞うよう命令されていたのかも知れないが。)

*衣装的には最初から宝石が付けられていたけれど、物語としてはあの時に付けた?だとしたら、紲博士に気づかれる?いや、もう、あの時点で紲博士はオートマタのことをしっかり"見ていなかった"可能性もありそう。

フライヤーにハッキリと書いてあった「私たち、自分の体で、意思で立ってるの。」あれは、誰の、、いや、みんなの気持ちなのか。

初めからみんな、自分の意思はあったけれど、それら全て「つもり」と思い込んでしまっていたのかも。オートマタなのだからと。

◾︎ 複数回観ることで見えてきたもの、余計気になっちゃったもの

初日に観て気になった3つのことを自分なりに考察してみた。

①マホロへの違和感
ヒスイに撃たれ、修復されたマホロを見て、ザクロが「あんたって、何か変だね。」というようなことを言ったり、コハクが「私たちが抱えるものをおまえからは感じない!」や「出来損ないのくせに!」というような事を言ったり。

それって何だろうと。

オートマタは互いに位置情報を確認したり(自爆したメノウ・アコヤに対して検索する場面)、言葉を発さなくても情報のやり取りが出来るような機能があるように見えた(発火装置である宝石の存在を、ザクロからサンゴへ言葉を介さず、瞬時に伝達した場面)無線通信機能?

作られた順番からして、ユイ、マホロは初期ロット。改良を重ねて生まれたのがヒスイやコハク達なのだろう。なので、機能的に他のオートマタよりも劣っているのかも知れない(出来ることが少ない?→出来損ない発言に繋がる?)

オートマタになったのは、ザクロはヒスイより後。瑠璃が冒頭で「ザクロは死んだよ。少し前に。」と言っていたと思うので、もしかすると、一番新しいオートマタかも知れない。(あ、最新は突貫とはいえ、莉子博士か。)

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(余談)
ザクロの衣装に一人だけ虹の模様が使われていなかったのは謎。もしかすると、人間の時のザクロが着ていた衣装そのものだったのか、他のオートマタと同じようなものを拒んで、自ら着替えたりしたのかも知れない。(中の人は、一人だけ無い...と、残念がっていたが(笑))
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ここからはとんでもなく飛躍、勝手な想像。

マホロ:初期ロット
ヒスイ、サンゴ、コハク:中期ロット
メノウ、アコヤ:中期ロット(量産型)
ザクロ:最新ロット
と、過程。

中期ロットからは"OSの同期"のような機能が追加され、それにより無線通信や位置情報の検索などが可能に。紲がマホロをバージョンアップしなかったのは、自分を理解してくれなかったことへの塩対応?(笑)

同期する事で、共通のプログラムみたいなものが各オートマタの中にあって、ハッキリしないモヤモヤみたいなものすらも、もしかすると共有していたのかも知れない。ただ、マホロとはその同期がなく、コハクはマホロに対して違和感を覚えていたのかもと妄想。

それか、壊れる度にバージョンアップはしていた。けれど、「マホロ」として起動し直しているのに、実際の中身(意識部)は「ユイ」だから、プログラム自体がおかしな働きをしていた?他のオートマタがマホロにリンクしようとしても、リンク出来なかった可能性も捨てきれない。

②マホロはどこへ?いつからユイはマホロの中で目覚めていた?

深読みし過ぎかも知れないのだけれど、それも考察の面白いとこ。

終盤、マホロの外見でありながら、意識はユイであることを告白した。

私は初見の時、告白するまで全く気がつかなかった。ユイの口癖だった「ケンカハ イケマセン!」は、そういうプログラムを紲博士が組んだんだろうと思っていたし、「スミマセン、ヨク、ワカリマセン。」は、CHOICEの時のユイも口にしていたけれど、それも、オートマタの基本プログラムだと思い込んでいた。

今思えば、マホロの中にユイがいるというヒントはたくさん散りばめられていたんだな。

"では、一体、いつからユイはマホロの中で目覚めていたのか?マホロの意識の行方は?"

マホロのふりや何も知らない機械のふりをしていた。と、ユイは語った。

初めてユイを生み出した時、マホロの体温を感じ、"生きたい"と願ったユイ。生への渇望。それをすることでどうなるかわかっていた(ユイがマホロに対して言った"ごめんね"のセリフから)けれど、成り代わりを実行してしまう。

それにより
・ユイの意識はマホロの肉体へ
・ユイのオートマタは空っぽに
・マホロの意識は、、、死後の世界?無?

あの瞬間からユイはマホロの中で目覚めていたと、考えるのが一番シンプル。けれど、途中でマホロが時折、頭を抱えるように何かを考え込んだり、思い出すような仕草をする場面があり、徐々に自分を取り戻してる?とか、思っちゃって。

なので、3度目の観劇の時は、ずーっと、マホロを目で追っていた。

結論は、"スミマセン、ヨク、ワカリマセンデジタ(笑)"

心が思い出話をした後に、今回の破壊(紲博士による銃撃)後のリセットからハッキリと目覚めたのかなぁというのが、個人的なユイ覚醒ポイント。

一度見た時は、成り代わりポイントでマホロはユイの中へ入ってしまったのかなとも思っていた。それだと、マホロが一番救われない!と。だって、成り代わりでユイの中に閉じ込められて、最後、自分の肉体に戻ったところで爆死。「そりゃあんまりだ!」と勝手にやるせなくなっていた(笑)

けれど、身体と意識が別物でも動ける(マホロの肉体 in ユイ)から、それは無いんだなと。ユイと成り代わった時点でマホロの意識はもう「死」を迎えていたんだなと。

③ユイはなぜ動いた?

今回のキーマンは莉子博士。彼女には分からないことがたっぷり。

ユイの遺体が消える → 捜索 → 紲博士の仕業と突き止める → 紲博士以外の誰かに報告しようとする → 紲博士に揉み消される

みたいな流れがあったのかなぁ。

紲博士の父は、オートマタを軍事利用出来るようにして、金儲けを考えていた?(サンゴがコハクに「ここにいるといつか兵器のように〜。」というセリフから。)

時間をかければ、もっとちゃんとしたものに、人類の役に立つような存在になれる可能性を秘めていたのに。間違った方向へ進もうとしているオートマタ達を破壊する事を画策する莉子博士。その為には銃まで手に入れるって、どういうルートで!?

それはさておき、今回、いくら考えてもわからない謎が。

ラストでマホロに身体を返したいと望むユイが何かを受信する。恐らく、莉子からの通信(ありゃ、マホロにも通信機能あったのね)
手を叩く莉子。それまで全く動かなかったユイが動いて、崩れ落ちるマホロ。

、、、ユイの原動力はなんぞ?
何で動けたとですか?

それが、どうしてもわからんのです。
莉子博士、教えて(笑)

それはね、ファンタジー!!と、言われたらそれまでですが(笑)

ユイを人の世界に連れて行き、新しい可能性を人間の手に委ね、自らは研究所に戻って自爆。なんという、、、。最後、どんな言葉をほたると瑠璃にかけたんだろう。

ほんと、謎多き存在。

そういや、オートマタダンサーズは、オープニングの時点でひっそり弄られてましたね。あれで、もう、壊されたんかしら。それ以降、白の衣装だったし、そうなんだろなぁ。

◾︎ まとめとか

初めて同じ舞台を三度観た。同じものを何度も観ても〜とか、思っていたんだけれど、視点を変えることで見えてくるものっていうのもあるんだなぁと実感。

特に今回は、第10.5回公演「CHOICE」との繋がりなどがあり、本編自体も考えたくなる部分が私なりにたくさんあって、複数回観ることで味わい深くなるというか、一度じゃ観きれない!と思った。

琴線に触れる脚本、演出だったってことだ。

ここまで読む人居ないとは思うが、これは私の勝手な想像、妄想でございますので悪しからず。

はぁ、来年の夏が待ち遠しい。

なんですと!?お気持ち感謝します!!