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お尻を出したあの子は、一等賞なのか?

むかぁし、むかしのことじゃった。

尻出し山と言うところに、一匹の小熊が住んでおった。

特別じゃない誰かさんの話

「まんが日本昔ばなし」は、1975年からスタートし、1994年まで本放送、以後再放送が定期的に行われているアニメーション作品群だ。

舞台はその名の通り、平安時代~江戸時代前半の日本である。

琉球と蝦夷を除く全国津々浦々の民話と、それを基にしたお伽草子をアニメ化したもので、誰しもが一度は見たことがある筈だ。

この数々の物語群は、いずれも「特別じゃない誰かが、どこかで体験した話」として語られる。

これまで地域に縛られていた民話の数々が、もしかしたら自分の先祖が体験したかも知れない話として、共通の「昔の日本って、こんな感じ」のイメージを造り出したのだ。

誰だって、かぐや姫の世界ってこんな感じ、とか、鶴の恩返しの寒村のイメージとか思い浮かぶ。

それはもしかしたら、この「日本昔ばなし」の効果も一翼を担っているのかも知れない。

なぜ、お尻を出した子一等賞なのか

さて、このアニメーションのエンディングテーマとして最も著名なのが「にんげんっていいな」だろう。

このテーマは、一番は熊の子、二番はもぐらの目線から語られる。

諸説あるが、曲の冒頭の、かくれんぼでお尻を出した子が一等賞という詞の解釈は、

かくれんぼのルールを理解していない動物目線からすると、一番に見つかった人が一等賞に見えるからではないか、と言われている。

では、何故それが「まんが日本昔ばなし」のテーマとして受け入れられたのか。

目を凝らして見れば、世界は輝く

まんが日本昔ばなしの世界は不条理で、決して優しい世界ではない。

紙切れのように軽く人が死ぬし、激しい恋は大抵が悲恋に終わる。

鶴は爺さんの所には帰ってこない。人の悪い部分が沢山出てくる。

見た後に何とも言えずばつのわるい、薄気味悪い気分にさせられるものも一杯だ。

でも、だからこそ。
明日はどうなっているか誰にも分からないこの世界を、目を凝らして丁寧に生きよう、とこのテーマはうたっているように思う。

かくれんぼで、かけっこで負けたかも知れんが僕の価値はそれで揺るがない。

全てひっくるめて「にんげんっていいな」と笑い飛ばしてしまえ、という強い意思と自己承認を与えるテーマなのだろう。

そんなこんなで、今シーズンの週1noteを締めさせて頂く。

また会う日まで。

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