432Hzの不思議?
最近気になっているのがA=432Hzで調律された音楽の話。
きっかけはオーディオ装置(俗にいうステレオ)の音が籠るとか、やけに高音部がシャリシャリするとか、低音部がモワモワするとかした場合、それを多少でも改善しようとしてイコライザーなるものをいじっていたときのこと。
一般にグラフィック・イコライザーの場合、ある一定の周波数の部分の音量を持ち上げたり、あるいは少し下げたりすることで全体の音の印象に変化をつけるのだが、どの周波数を上げたり下げたりしていいのか、私には理論的な裏付けがないのでいつも手探り。
そのとき基準にするのが、ピアノの「中央ハ(C)の5度上のイ(A)の周波数が440Hzだということ。これは一般的な調律の際の音高(ピッチ)の標準であり、A=440Hzとも表記される。
ほとんどの楽器がこのA=440Hzを基準として調律(チューニング)され、その楽器が音楽を奏でているわけだが、そういう意味ではいま私たちが耳にしている音楽の多くが「 A=440Hz の世界」ということだ。
私がたまたまこのA=440Hzを度忘れしてネットで確認したところ、実は今の音楽の基準ともいえるA=440Hzが国際規格として確立されたのは、1955年だというのだ。それまでは多くの国や団体で、オーストリア政府が1885年に勧告したA=435Hzを使用していたのだという。(これは1860年代からフランスの標準であったものでもあるそうだ。)
じゃあ何かい? クラシック音楽なんかはA=435Hzで作られて演奏されてきたってことじゃないか。それを現代はA=440Hzでせっせと演奏しているわけだ。「それって聴こえ方変わってくるのか?」それが私の率直な疑問だった。
それでネットでいろいろ検索していたら、出るわ出るわ。音(周波数)が人間に与える影響とか、A=440Hzは狂気の周波数であるとか、9種類のソルフェジオ周波数とか・・・。
因みにソルフェジオ周波数とは、グレゴリオ聖歌に使われた古代の音階だと言われており、174Hz、285Hz、396Hz、417Hz、528Hz、639Hz、741Hz、852Hz、936Hzの9つからなり、これらの周波数に癒し効果があるとか。
ただ調べていくと科学的な側面から離れてどんどんスピリチュアルな話になっていって、それはそれでちょっと困るわけで。
詳細は以下のサイトを参照していただきたいが、結論から言うと、A=440Hzの世界よりも、A=432Hzの世界のほうが人間本来の自然な姿に近いのかもしれないということ。
それならばいつも聞いている音楽をA=432Hzの調律に変換して聴いてみようというのが今回のテーマ。
しかしこれがなかなか簡単な話ではない。PCやデジタル技術の進歩で音楽をデジタルデータにして、それをA=440HzからA=432Hzのチューニングにピッチを変換すること自体はそんなに難しい話ではない。
Audacityという音声編集ソフト(フリーソフト)などを使えば簡単に変換ができる。
もし興味があれば、その具体的やり方がこちらにあります。ご参考まで。
ただしだ、それは1曲1曲変換作業を行わなくてはならないということ。そんな面倒くさい作業をする気にもならない。私はリアルタイムでピッチを変換して、いつでも簡単にA=432Hzの音楽世界に触れたいわけだ。できることなら、A=440HzとA=432Hzの聴き比べもできると嬉しい。
そこで頭に浮かんだのが、マルチ・エフェクター。私も1980年代にシンセサイザーを購入したときにこのエフェクターも買っていた。この中に確かピッチ・シフトというプログラムがあったはず。それをかましてやればリアルタイムで432Hz変換ができるのではないか・・・!?
私の持っているエフェクターはこちら。YAMAHAのSPX-90Ⅱ
ここで問題発生。この機械はインプットがモノラル1チャンネルしかない。そう、ステレオ音源を432Hz変換にするにはそれに対応しているエフェクターを新しく買うか、中古でこのSPX-90Ⅱをもう1台買うしかない。最近はメモリーなども安くなってきているから安いエフェクターがあるだろうと思って検索してみると、あるのはギターやヴォーカル用のコンパクトエフェクターばかり。微妙なピッチシフトに対応しているものはほとんど無いし、ましてやラックマウントタイプのものなど皆無に等しい。
新品はダメ。そこでSPX-90Ⅱの中古を探した。ヤフオクなどのオークションものはちょっと信頼性に欠ける。できたらちゃんとした楽器店が検品した中古品が欲しい。私の願いが天の上の存在に届いたのか、何とイシバシ楽器が販売していた。状態もすごく良い。値段も心づもりの範囲内だった。私はためらうことなく購入ボタンをクリックしていた。そして届いたのがこちら。
私が持っていたのが上段、今回購入したのが下段だ。
さあ、いよいよピッチ変換の設定だ。この機種の微妙な変換単位はセント!
Hzではない! セントとは1オクターブを1200分割したもので、100セントが半音分の上げ下げに相当する。つまり、ピアノの鍵盤で隣り合う鍵盤の音高比が100セント(cent)差ということだ。それはわかった。でも私がやりたいのは440Hzを432Hzに8Hz分下げたいのだ。それをセントでやるにはどうしたら良いのだ???
またネット検索だ。ヘルツ・セント変換。 あったこんな数式が出てきた。
ううう・・・・。自力で計算しなくてはならないのか・・・。
と思ったら、ネット社会のありがたさ。自動で変換してくれるサイトがあった。(誰も必要も関心も無いと思いますが、以下のサイトです。)
いろいろ調べてみると、一口に432Hzといってもどうやら微妙で、ジャストなのは432.186hzということらしい。先ほどのサイトで比べる二つの周波数を代入してやると、約31セントと計算された。今回は8Hz分下げるわけだから、マイナス31セントで設定してやれば良い。それが先ほどの写真だ。
これで私が望んだ「どんな音源でもリアルタイムで432Hz変換」が可能になった。今のところ80年代の機械だが順調に動いてくれている。あれから30年以上も経っているのに、あの頃のメイド・イン・ジャパンは本当に優秀だった。今のモノづくりしている経営者に爪の垢でも煎じて飲ませたい。
ということで、多くの人にA=432Hzの音楽世界に触れてもらいと思い、432Hzチューニングで配信などやっています。8Hzの差を体感してもらう実験もできます。もしよろしければ聴いてやってみてください。
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