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簡単でほめられる「だしを引く」から始めよう


レシピ通りに作るのが料理を習うことじゃないぞ、と気が付いた。
カラオケに乗せて気持ち良く歌えるても、ガイドメロディがないプロオケだと歌い出しも分からない、というのと同じ。料理のガイドメロディは「だし」。これは和食に限らず、世界の料理共通の大原則。洋食ではブイヨン、フォンドボーなどのスープストック、中華では鶏ガラスープとなる。我らが日本食のスープストックは鰹節と昆布でとるだしがまずは基本の「き」となる。
もちろん、顆粒だしやだしパックなど簡便に使えるものもある。
ではあるが、せっかく日本人の味覚のふるさとと言える「だし」を引くなら、ちょっとほめられてみようか。
洋食、中華のスープストックは手間がかかる。寸胴鍋に骨、野菜、鶏ガラなど放り込んで一晩煮込むとかね。それに較べて和食のだしときたら、こんな感じ。

・15分でだしが引ける

時短でしょ。だからといって手抜きではない。うまみも十分に出る。ちなみにだしは「引く」という。「取る」でもいいが、うまみを引き出すことから引くと表現するとかっこいい。用意する材料は以下の2つ。

・昆布
・鰹節の削り節

関東の水を使うならば昆布は日高産が合う。削り節はパックの花鰹。両者とも高くなるほど、いいだしが引けるが、まずはお手頃価格のものから始めよう。その先、だしに凝ったら古枯れ節と削り器など用意すると気分もあがる。こちら、いつでもだしを引けるよう、昆布は鍋幅に切り分けてジップロックに詰めて冷蔵庫へ。削り節は築地でまとめて仕入れてそれを30g単位で小分け真空パックして冷凍庫に常備している。
続いて道具としては次ぎの4つだが、リング盆ざる以外はすでに台所にあるかと思う。リング盆ざるは築地の道具屋が作ったと言われており、平皿のようにぺたっとしたステンレス製のざるである。ひとつ用意しておくとめちゃ便利なので、アマゾンなどで検索してみるといい。

・リング盆ざる
・ふきん
・鍋
・ボウル

だしの引き方の手順は以下のとおり。近茶流の引き方で濁りのない黄金色で、上品なだしが引ける。

■分量
・水6C (引きたい量+lC程度)
※お椀の場合、6人前4カップ半が基準
・昆布20cm (鍋幅の8割程度)
・かつお節20gから30g (l Cにたいして3gから59)

■出汁の引き方
・昆布を軽く洗い、水をはった鍋に入れる。
・中火でゆっくりと温めていく。
・鍋肌、昆布の切り口から泡が上がり始めたら昆布を上げる(約70度)。一度沸かして、火を止め、かつお節を全部入れる
・菜箸で軽く押さえて1分間置く
・リング盆ざるとフキンで漉していく
・フキンの四隅を持って茶巾状にして絞ってうまみを出し切って出来上がり

だしは引けた。その先、どうするのか。まずはみそ汁を作ってみよう。豆腐、わかめ、大根、なす、油揚げ、じゃがいもなど手元にある材料をだしで煮て、あとは分量のみそ(15g/人目安)を溶き入れればいい。簡単。顆粒だしで作ったものとの味の違いは明かで驚くに違いない。さらに、少ない味噌で味がでるので減塩効果も期待できる。
一歩進んで、だしからお清ましなど作れば、さらに株は上がる。200ccのカップ4杯半のだしを沸かして、そこに塩と淡口(うすくち醤油)をそれぞれ小さじ(5cc)1杯を加えれば、うますぎる清まし汁の完成。ここにみょうがの線切りを加えて、一煮立ちしたところんに溶き卵を回しいれればむら雲汁となる。これ、見掛けも味も料亭レベルの完成度。
言葉では伝えきれないところも多く、申し訳ないが、まずは手元の材料でお試しを。

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