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【RIZIN】那須川天心「胴廻し回転蹴りは閃き。堀口選手の試合を観て、自分以外にもああいうカウンターを打てる選手がいたんだと」=5.6『RIZIN.10』

5月6日、マリンメッセ福岡で開催された『RIZIN.10』で、中村優作に3ノックダウンによるTKOで勝利した那須川天心。無敗の30連勝を記録した“神童”が試合後、中村戦での驚異の動きと、立ち技トーナメントでの対戦も視野に入れる堀口恭司について語った。

──試合を終えた率直な感想を。

「本当に勝てて良かったなと。節目となる30戦目で無事、KOで勝ててホッとしています」

──試合前の予告どおり、蹴りもパンチも多彩な技が出ました。

「もっといろいろな技を出したかったのですけど、ちょっと向こうの作戦に乗ってしまったというか。タックルとか来るだろうと思っていたんですが、それでムキになったというか、『何だよ?』と思っちゃって(笑)。そこに惑わされないようにするっていうのが作戦だったのですけど。でもしっかりとKOで倒せて良かったなあと思います」

──中村優作選手のパンチはいかがでしたか?

「速かったですね。でも見える速さだなと。タイミングの取り方がうまかったです。ヤバいと思って、首ひねっていなしたんですけど。あと、今までのキックボクサーとやってきた距離じゃなくて、遠かったですね。それでちょっと蹴り技とかを出したら(カウンターを)もらうかなとか色々考えちゃいました」

──胴廻し回転蹴りは考えていたんですか?

「あれはほんとに閃きなんですよね。ワンツーを何回もやってきて、ストレートも打ってきて、このタイミングでフック打ってみたらどうかなと考えてやってみたらちょっと距離が遠くて。それでどうしようかなと一瞬、考えた時に、『胴廻しがあるじゃん』と。普通の胴廻しは思いっきり体を預けながら蹴るんですけど、なるべくコンパクトに速く当てたくて、初動を小さくして相手の動きに合わせて回りました。後ろ蹴りとかは練習でやってたんですけど、胴廻しの練習はあまりやってなかったです。本当に閃きです」

──メインの堀口恭司選手の試合は見ましたか?

「見ました。ヤバイですね。自分も相手が出してきたらすぐにカウンターを打つんですけど、自分以外にああいうカウンターを打てる選手はなかなかいないのかなって。もし試合をするならカウンターの打ち合いになるかなって思いますね」

──その堀口選手から対戦表明がありました。

「いやあ嬉しいですよね。本物の選手にそう言ってもらえる、そう思ってもらえるっていうのは。本当に嬉しいです。自分もモチベーションがめちゃくちゃ上がりますね。格闘技ファンだけじゃなくて、日本中を巻き込んで盛り上げていきたいと思いました」

──中村選手の飛び込みを体験し、“仮想・堀口”的な考えもあったのでしょうか。

「多少はあると思いますけど、違う選手なので。でもMMA選手と戦っておくというのはいい経験になりました」

──フィジカル面ではどう感じましたか。

「そこまで組み力が強いな、とは感じませんでした。組んでも大丈夫かなと思いました。組んでくることは頭のなかにあったので対応できるイメージはできてました」

──リングサイドで観戦していた大雅選手のことは気になりませんでしたか

「気には……いたのかな、と。最初はわからなかったです。大雅選手も強い選手ですし、みんなで盛り上げて、団体をひとつにまとめたいです」

──いずれ世界の舞台に出たいという考えも?

「日本も盛り上がっているんですけど、ゆくゆくは世界に出ていきたいですね。まだ19歳なので、まだまだ可能性はありますし、22、23歳のときはどういう舞台で戦っているのかなとは思いますけど、いまは与えられたところでしっかりやっていきます」

──6月17日の『RISE 125』幕張メッセ・イベントホール大会でのロッタン・ジットムアンノン戦も待っています。怪我などは?

「怪我も無いですし、勝てていい形で6月に繋げられたと思います。ダメージもないので、このまま追い込みをかけていきます。世界最強をRISEで証明したいと思います」

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◆中村優作「次は総合で結果を出したい」

──那須川選手との試合を振り返っていかがでしたか。

「やっぱり凄かったですね。でも、今までの試合も観て、僕の右が一番効いたんちゃいます?」

──「ヤバいと思っていなした」と言っていました。

「ちょっと効いたと思いましたもん。やっぱり僕の右はすごいなと(笑)。効いたからこそ(那須川が)前に出てきたんかなとちょっと思いました。そういう意味でもうまいなと思いましたけど。あとは、だいたい自分から行けたんで。総合でやるときはやっぱりタックルもあるし、ちょっと待ってからカウンターで狙うスタイルというのが多いんですけど、今回は自分からガンガン倒しに行ってやろうという思いがあったんで、そこの部分では自分から仕掛けられたっていうのが、この試合をやったプラスかな、良かったかなと思います」

──胴廻し回転蹴りが来た時はどう感じましたか。

「ビックリしましたよ。僕が右ストレートを打った瞬間に回ってきたじゃないですか。やっぱり総合やったらありえへんじゃないですか。下見てもうたんですよ。そうしたら横から来たんで。その時に鼻が曲がっちゃったんですけど、効いたっていうよりかはビックリしてもうて、そのまま倒れちゃいました。まあ、すぐに立てたんで効くって感じではなかったんですけど。あまりにも、なんかすげえ回ってたんですよ、下で(笑)。スローモーションみたいに、そこだけ早回しみたいな。『うわあ』みたいになって尻もちついた感じですね」

──動揺しましたか?

「鼻は持っていかれました(苦笑)。鼻が曲がっちゃいました。すげえなぁと思いました。あんなん、なかなか使う人いないじゃないですか」

──1Rが終わって、セコンドとはどんな会話を?

「ホンマゆうたらそこでちゃんと作戦を練り直さないと。やってきたことがあったんですけど、僕の中で絶対に倒したんねん、倒したんねんというのが強くて、作戦を忘れてしまって。右からの左とかも当たってたので、絶対に当てたんねんと、行きすぎたという。もしかしたらもっと面白い試合ができたかなと思うんですけど。もうちょっと駆け引きもできたんかなあというのはありますね。駆け引きが無さすぎたというか。いつもはもうちょっとフェイントとか出すんですけど、ちょっと当たり出した分、『いけんちゃうか、いけんちゃうか』って気持ちが前に出てしまって。ほんで、やってた練習があったのですが、そこを見せられなかったですね」

──やっていた練習の動きとは?

「カウンターを取ってくるので、右からのワンボディとかを結構、練習してきたんですけど、顔面がちょっと当たっちゃったんで、顔面ばっかり狙いすぎちゃって、上下の駆け引きとか。1R、最初の方はローとかも打ってたんですけど、2Rとかパンチのみになっちゃったんで、そこに関してはちょっと、気持ちだけが先走ってたというのがありますね」

──打たれた時にタックルに入るような動きは?

「それはもう癖で。申し訳ないなと」

──あのタックルは作戦として練習していたわけではない?

「そんな練習はしてなくて、もう反射ですね。でも胴クラッチとかはブレイクがかかるまで、そのままいっちゃってもいいかなとは思ってたんで。ただ、足をかけたりはいつもの癖ですみませんでした」

──想像していた那須川選手と、実際の那須川選手は違いましたか?

「うーん……正直言うと全く未知の世界って思っていたので、僕の中ではあのレベルが正直わからなかったので。自分には自信があったのですが、もしかしたら誰にでも当たる右が当たらんのちゃうかな、何も当たらんで終わっちゃうんかなと思ったりしたんですけど、そこに関しては“あ、通用する部分もあるんや”って思ったのと。やっぱり天性の当て勘とかは、スケェなと思ったんですけどね。そんなに甘いものじゃなかったですね」

──那須川選手に穴はあると思いましたか?

「穴ですか? ……うーん。フィジカル。総合的なことで言えば」

──効かせた中村選手の右というのは、日本拳法のパンチでしょうか?

「そうですね。あれは日拳のおかげですね。今までずっと日拳をやってきて、そこの部分で当て勘というのが身についてたんで。試合が終わって天心選手と話をさせてもらったのですが、『思ったより間合いが遠いところから来て困惑しました』っていうのは言ってもらったんですけど……」

──那須川選手の攻撃で一番効いたのは?

「効いたのは、やはり左ストレートをもらったと思うんですけど、あれはウワッってなりましたね。効いたけど、脳が揺れるほどではなかったです」

──キックルールでやりきったという満足感もありますか?

「そうですね……もうちょっとできたんちゃうかなというのもあるんですけど、通用した部分もあったし、次は総合で結果出したいですよね。ハイ。今はスッキリして、次のことを考え、早く総合の試合がしたいなという気持ちがありますね」

──MMAで戦いたい相手はいますか?

「戦いたい相手……誰でも強いやつはかかってこいという感じですね。あと、誰と戦いたいというのはないのですが、RIZINでフライ級トーナメントをやってほしいなって思っています」

──ボクシンググローブより、オープンフィンガーグローブの方が日拳の突きが活きるでしょうか。

「そこまで関係ないかもしれないですけど……今まで総合をやってきて、そこで結果を残してきたんで、今からキックルールでもう1回というのは違うかなと思っています。真面目な話になりますが……総合をやりたいです」

──RIZINのキックトーナメントのオファーがあったらどうしますか?

「いや、僕はこの1回こっきりで、あのグローブをつけることはないなと思っていたので、この一戦だけですね。これ以上、もうやるつもりはないです」

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【試合リポート&リング上コメント】
https://note.mu/gong_kakutogi/n/n493b3f85997f

【試合動画】

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