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【RIZIN】堀口恭司「KIDさんと並びたかった」=『RIZIN.10』9秒KOを語る

5月6日(日)『RIZIN.10』マリンメッセ福岡大会のメインイベントで、イアン・マッコールを9秒KOで降した堀口恭司。

試合後の会見では、「淡々と自分のやることをやると思ってましたから。いつも通り『勝てたな』と」とコメントでも淡々と試合を振り返った。「最初のワンツーが来たときに見切った」という堀口が語る、9秒KOとは?(試合写真=RIZIN FF・Sachiko Hotaka/GONG KAKUTOGI・Kamijima Yuji)

──試合を終えた感想を。

「(マッコールは)もっとテイクダウン、レスリングで来るのかなと思っていたのですが、相手が自分の距離を嫌がって詰めてきてくれたので、これはカウンターが入るかなと思い、カウンターを入れました」

──9秒間のなかでそこまで読み取れた?

「アレッ? 9秒でした? あー、もうちょっと早いかなと思ったんですけど(※当初、4秒KOと報道された)。ちょっとKIDさんと並びたかったなと(※2006年5月3日の宮田和幸戦で開始早々に走って跳びヒザ蹴りで4秒KO)。9秒間の中で読み取りましたね。でも、やっている自分からすると、見てるよりも体感としてはもうちょっと長く感じました」

──フィニッシュはマッコール選手がサウスポーからワンツーを打ってきた、その2回目のワンツーの左を外にかわしながら左フックを合わせました。あれは、最初のワンツーを見て狙っていたのでしょうか。

「そうですね。最初のワンツーが来たときに見切って、『あっ、もう1回たぶん来るな』って思ったんです。次のワンツーはいつのタイミングか分からないですけど、それが来たタイミングで(カウンターを狙って)打ちました」

──マッコール選手から感じた印象は?

「レスリングでタックルをもっともっとしてくると思ったので。威圧感というかプレッシャーをかけてきてくれたのでカウンターを……そんなに印象というのはないですね。淡々と自分のやることをやると思っていたんで」

──「もっとレスリングの展開になるかと思っていた」というのは、堀口選手がそうさせなかった、という部分もありますか?

「そうですね。距離が遠いんで無闇に突っ込んだら(テイクダウン狙いに)ヒザとかを合わせられるかもと、相手は思ったのかもしれません。それで、その距離を嫌がったから、無理矢理(打撃で)詰めてきた。あくまで自分の考えですが」

──マッコール選手は「レフェリーのストップがちょっと早かった」と言っていました。

「いやいやいやいや、早くないっすよ。だってもうフラフラだったじゃないですか(笑)。危ないっすよ、ホント」

──もうちょっと試合を見たかったという贅沢な声が上がるほどでした。

「それは単純に申し訳ないです(笑)」

──終わった時はどんな気分でした?

「いつも通り勝てたなと思いました」

──試合後、「立ち技最強トーナメント」での那須川天心選手との対決を表明しました。

「日本を盛り上げるにはやるしかないじゃないですか。それに個人的にも強い選手とやりたいんで」

──試合前でしたが、中村優作vs那須川天心戦はモニターでご覧になりましたか?

「見ました。やっぱり強いな。なんでも対応するなと思いましたね」

──自分だったら……とは考えましたか?

「そりゃあ思いますよ(笑)。『対戦する』って言ってるんだから。自分だったら、こうするな、ああするなって。まあ、そこは内緒で(笑)」

──キックルールでのイメージも?

「まあ、総合もだいたい打撃で戦ってるんで、同じ感じになると思います。それが自分のいいところなので、それを無くしちゃうともったいない」

──あらためてですが、グローブの大きさはあまり関係ないと?

「そこはあまり関係ないですね」

──(英語での質問)世界を驚かせたと思います。キックトーナメントでは誰と戦いたいですか?

「うーん、今は……アッ、大丈夫すか? 答えて(※英語での質問に通訳前に回答し)今は、那須川くんとやりたいと思っています」

──世界のファンから見ると、なぜバンタム級GPを制した堀口選手がキックルールで戦わなければならないんだ、という声もあると思います。

「世界的に見たら『何で?』と思うかもしれませんけど、キックで那須川くんは有名じゃないですか。総合では自分もちょっとだけ有名なので、それが合わされば。ファンのニーズができるじゃないですか。そういういい部分もあるので、自分はやりたいと思ったんです」

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◆イアン・マッコール「ここに、死にに来た感覚だ」

──試合を振り返っていかがですか?

「ホリグチからかなり激しいパンチを受けてしまったので、一発で決まってしまった。今、ここには死にに来た感覚というか、とても恥ずかしい思いです」

──9秒で終わってしまいました。堀口選手の強さをどう考えますか。

「もちろんホリグチは非常に強かったけど、レフェリーのストップがちょっと早かったと思っています。15分の試合をやる準備をしてきていたから」

──今後については?

「……とても失望しているから、今はただただ悲しい。次、どうするか考えられない」

──マッコール選手は、デメトリアス・ジョンソン選手と堀口選手の2人と戦った数少ない選手(ほかはアリ・バガウティノフ)です。いま堀口選手がDJと戦ったら、どうなると考えますか。

「DJもホリグチも、格闘技を離れてもいい人間だし、尊敬している。いまは団体もルールも違う。もし2人の試合が実現すればいいと思うよ。僕が言えるのはそれだけだ」

──試合後に、朝倉海選手がマッコール選手と戦いたいと言っていましたが。

「もちろん戦ってみたいけど、これからのことに関してはアメリカに帰ってから、家族と相談をして決めたいと思う。正直、『これからどうしよう? 自分はどれくらい強いんだろう?』ということを今は考えています」

【追記】

※帰国後の5月21日、イアン・マッコールは引退を表明。MMA13勝7敗1分。『The MMA Hour』に出演したマッコールは、「肉体的にはまだ競技を続けることもできるけど、世界最強に近づいていないし、そこから遠ざかっている。もし世界最高レベルで通用しないのなら、自分にとって戦うことに価値はない。僕がこれから真剣に取り組みたいのは、若いファイターたちにこの競技を終えた先に何があるのかをしっかりと見せること。自分はパイオニアの一人だろうから。全体的に振り返って、たとえ後悔していることがあったとしても、多くの楽しいことがあった。良い人生だったし、満足している。これまで仕事に対して誰にも負けない確固たる信念を持って取り組んできた。次の世界でもそれを実践していくよ」と今後について語っている。また、SNSでは娘が柔術を始めたことを報告。喜びのコメントを記している。


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