さらばゆりしーファンだった高校生の俺、暁に死す

それは遅くても08年の初頭で、

アイマスのMAD、ほら、perfumeのMAD、

あれを見て「うぉ!このボブカットの子かわいい!」

「えっ、ToHeart2のこのみの声優さんなんだ!!」

これが僕と雪歩との運命的な出会いだったのだ。

僕の高校生活のオタク的活動といえば、「アイドルマスター」がメインで、

初めて買ったオタクCDも雪歩のMAだったし、(僕は『Kosmos,Cosmos』よりも『津軽海峡冬景色』が好きだった)

その後のナムコ8bitも、貴音とコンビを組んだシリーズのやつも買った。

秋葉原のゲーセンに「アケマス」をやりにいったこともあった。

(友達と二人でやっていたところ、いきなり後ろから「その選択肢はこれが正解ですね…」と知らない人にアドバイスされて怖くなって300円分だけやって二度とやらなくなった)

『Do-dai』が発表された6月には実家の居間にあったWindowsXPの画面の前で興奮し、その次の『my song』で宇宙飛行士の服を着ていたドリル雪歩がラストに出てきたときは興奮した。

高価で買えなかった360に代わり、PSPが出たときは学校をずる休みして買いに行った。

雪歩のプロデューサーとして活躍していた僕にも一抹の不安があった。

それは、「どうやら声優のゆりしーがあんまり活動できていないっぽい」ということだった。

ゆりしーにまつわる悲しい噂は皆も周知のとおりだからここでは言わないけれど。

今日に至るまで、地球上のあらゆるオタク仲間の中では、この声優が好きな(今の言葉で言えば”推し”という言葉を使うだろう)ヤツと言えば、誰々、というのがあると思う。

ゆりしーといえば僕、だったのだ。あの高校の中では。

その僕にもたらされた明るいメッセージが「落合佑里香12か月連続CD発売!」だった。

やった! 友達の好きな水樹奈々のように、僕も好きな声優のCDを買って応援できる! それが何よりも嬉しかった。

4thシングルが出た後のライブには、友達の分のチケットも買って行った。

あの夏の高校生クイズのアンケートでは「願いが叶うなら、声優のゆりしーに会いたい!(^^)」とも書いた。(当然予選落ちした)

ただ、自分に声優を応援するというのは続かない行為だった。

結局CDも8作目までは買っていたが、それ以降は買うのを辞めた。amazonで買って封すら開けてないものもあったはずだ。

ゆりしーのために見てた『ヒャッコ』もつまらなくて最後まで見ていない。

アイマスで雪歩の露出も少なくなってきてるように”私には見え”、そのうちだんだんとアイマス自体にも興味がなくなっていった。

結局、10年に起こったあの918事件をきっかけに完全にアイドルマスターからは足を洗い、以来僕はデレマスも含め一切アイドルマスター関連のコンテンツには手を出していない。

アニメも918事件の前後にやっていたと思うが、真ちゃんが横浜の歩道橋を走る回ぐらいで見るのをやめてしまった。

覚めてしまえばこんなもんだな、と自分でもちょっと驚いた。

11年ぐらいには、萌えアニメ(もう萌えアニメという言葉自体は死語だと思うが、それに代わる語彙を見つけられないのだ)も声優というコンテンツにも積極的に関わっていくことが完全になくなった。

あれから10年経った今日、かつて応援していたゆりしーが昔のことを暴露して、色々と話をしている。

雪歩とゆりしーとの思い出は、慌ててふたを閉めたままずっと実家の押し入れにしまってあって、

その箱が今、音を立ててカタカタと鳴っているような気がしている。

雪歩が写った、アケマスの機械に読み込ませるカードが、ゆりしーのライブの半券がしまってあるダイソーで買ったあの入れ物が。

でも、こうやって雪歩とゆりしーを一体として語るファンが、彼女たちを苦しめたんだろうな。

ごめんよ。でも、それが正しいように見えていたんだ。

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