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【武満徹作曲賞】今日行ったコンサートの感想:令和04年(2022年)05月29日(日)【審査員:ブライアン・ファーニホウ】

室元拓人(日本)『ケベス─火群の環』
 ギリシャ語か何かかな? と思ったら日本語でした。大分県にケベス祭というのがあるそうです。
 絃楽の配置が特殊。左右対称で、コントラバスが左にもいた。チェロは奥まった位置にいました。
 クライマックスはダイナミックなユニゾンのパルス! 静かなシーンでは梱包材のプチプチを鳴らしていました。
 バス・クラリネットは目立っていましたが、バリトン・サクソフォンは、いたの? 用意した割には全然聞こえなかった。

アンドレア・マッテヴィ(イタリア)『円の始まりと終わりの共通性』
 ハーモニーが聞こえて来て、武満徹っぽかった。もしも武満徹がアレグロを書いたら、みたいな感じ。
 メロディを繰り返す箇所があって、ああ、反復するんだ、と思った。その際のハーモニーが、2度ぶつかってるねえっていうかクラスターっていうのかな? グチャッとした倍音が密集している感じだった。
 出たな! 管楽器に息を吹き入れるだけの音! 絃のスル・ポンティチェッロがキーキー言う。駒の向こう側も弾いていたかな?

オマール・エルナンデス・ラソ(メキシコ)『彼方からの冷たい痛み』
 呼吸する轟音。ひとつの有機体としてのオーケストラ。なんだかシルヴェストロフの難解なときみたいだったな。メロディと伴奏とか、トゥッティとソロとか、そういうことではない。常に全員が鳴っている。硝酸の霧があったらこんな感じだと思う。

メフメット・オズカン(トルコ/ブルガリア)『管絃楽の為の間奏曲「無秩序な哀歌」』
 まさかの調性音楽。いや、現代的でしたがね?
 ファゴットとフルートのソロで、指揮者が待ってる。カデンツァだったのかな? ピッコロや首席ヴァイオリンのソロも恰好良かったな。トゥッティではティンパニがドコスコ打っていました。

 1位は室元拓人さんの『ケベス─火群の環』だそうです。おめでとうございます! 私もこの曲が一番好きだったな。次はオズカンさんの『無秩序な哀歌』が良かったと思います。
 NHK-FM『現代の音楽』で放送するぞ!