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【伶楽舎】今日行ったコンサートの感想:令和05年(2023年)01月28日(土)【第十六回雅楽演奏会】

管絃『太食調音取』『仙遊霞』『合歓塩』
 パンフレットの解説がかなり詳しい。寺内直子なだけある。『太食調音取』だけで1ページ以上ある。中国の調式や教会旋法などを動員している。私もやった。まとめると、「太食調はホ長調に近いので、箏のGis音に注目してね!」ということ。
 『合歓塩』って『太平楽急』だったんですね。知りませんでした。「太平楽道行 = 朝小子」「太平楽破 = 武昌楽」「太平楽急 = 合歓塩」だそうです。

舞楽『春庭花』
 春の調子・双調の曲。新春に良いですね。今日は旧暦の1月7日で白馬の節会の日だそうです。すみません、寝落ちしました。心地良かった。

新作 桑原ゆう『歌虚言の場(うたそらごとのにわ)』(2023)
 芥川作曲賞受賞者。芥川作曲賞を聴きに行って、ノミネートされた3曲の中で一番前衛的だったのが桑原作品だった。騒音と轟音しか鳴らないような曲だった気がするんだけど、今回はそんなことはなく、人の「声」というものに着目した作品だった。中原中也の詩から採られた「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」というオノマトペが、演奏者によって「声」に出される。そのイントネーションを楽器でなぞって行く。「声」というものは本来的に旋律的であって、今回は前衛的な短9度跳躍などは無かった。個人的には声ネタって好きじゃないんだけど、全体として美しいと思った。箏が左手も使っていました。俗箏の技法! 手で絃をグッと押して音高を一時的に上げる技、使いたくなるよね。太鼓奏者が指揮をしていた。最後の方に現れた鉦鼓の連打が印象的だった。

新作 中川俊郎『天門楽』(2006/2023)
 演奏前の作曲者インタビューでのパフォーマンスが面白かった。愉快なおじさん。
 図形楽譜があるらしいというのはパンフレットに載っていたので分かったが、〈ハイパー逆残楽(さかさのこりがく)〉って何ですか? これも太鼓奏者が指揮をしていた。笙のフラッターが印象的。他にも、あれは不確定性の音楽だったのか、細かく音を切り替えたり、古典の笙とは趣が違う。篳篥が音高をズリズリと上げたり下げたりして、まるでサイレンのよう。琵琶が一瞬、持ち方を左右逆にしたんだけど、あれは何だったのだろう。シュトックハウゼン的な何かなのかな。琵琶はさらに絃を撥で擦っていた。俗琵琶の技法! 打ち物が星のステッキを持って楽器を撫でる。魔法少女か? 鞨鼓が撥を持たず、手で叩く。太鼓奏者がメガホンを取り出したので、叫ぶのかと思ったら違った。あれも何だったのだろう。よく見えなかった。曲目解説に〈新世界より(?)〉って書いてあったからドヴォルジャークが聞こえて来るのかと身構えていたら、シューベルトが聞こえて来たんだけど。