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今トイレを出るタイミングを見失ったあなたへ

「あぁ。今日も殺されないでよかった。」

人は誰しも汚くて儚くて埃のように小さな夢を、誰にも見られないように

大事に、大事に抱えて生きている。

まるで自分が抱き抱えているその夢が、皆が欲しがっているものだと思ってしまうから。

一つのパイを取り合っていると錯覚してしまうから。

しかしヒトである以上それを隠し続ける訳にはいかない。どこかのタイミングでそれを、無機質な声で、淀んだ手で、強引に剥がされる日が来るのだ。それは、面接で

「あなたの夢はなんですか」

それは飲み会で

「お前今何してんの」

やめろ。

そんな簡単に僕の命を見ようとするな。

そんな定型句で引き出せるほど軽いものではない。

これは僕が僕であり続けるための命綱だ。

これが切れたら僕は何になる。


そして今日も僕は誰にも見られないように抱えて。

死んで。




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