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メガシンカは「不完全なゲンシカイキ」 Z-Aを発売前から楽しむ!②

今回は「メガシンカ」に関して、おそらくだれもが驚くような仮説を提示したい。
つまり、「すべてのメガシンカは(不完全な)ゲンシカイキである」という説を立証していく(どやあ〜)。


筆者はこの仮説を閃いた時、まさにコペルニクス的転回を成し得たような気がした(うへへ)。
コペルニクスは、「天動説(あらゆる天体は地球の周りを動いている=地球・人間中心主義)」が真理とされた中世ヨーロッパにおいて、「地動説」つまり「地球の方が太陽の周りを周回しているんじゃん?=人間は宇宙の中心ではないのでは?」という発想の転換を行なった。


私はメガシンカについて「コペルニクス的発想」を思いついたのだ(偉そうに言うな)。


簡潔に結論を提示すれば「メガシンカ」は「進化」ではない。
「メガシンカ」は「古代の姿への回帰」であり、私たちは今作の告知までは、ゲームフリークによって意図的かつ巧妙に「進化の法則」および「時間の流れ」をミスリードされていた。


メガシンカの謎を解く鍵は「Z(現在)→A(始まり)」


私たちは「メガシンカ」という用語を誤って「メガ進化」と変換していた。
しかし、実は私たちがメガ「進化」と呼んでいた現象は、実は「退化」あるいは「古代の姿への部分的な回帰」、極言すれば「不完全なゲンシカイキ」だったのである。


前回の記事ではタイトル「Z-A」が二つの時間概念「Z=A」と「Z→A」を含有していることを取り上げた。
さらに過去の本編作品「XY」に登場するAZという人物の由来から、後者「Z→A」の意味するところは「現在から過去へ」という時間の流れであることを示した。


このように、レジェンズのタイトルは「Z(現在)からA(過去)へ」を示しており、この時間の流れは作中において何らかの要素によって回収されるべき事象だ。
そして、その要素こそが「メガシンカ」であると、私は自信(ほぼ確信)を持って主張する(外れたらごめん)。


我ながらなかなか悪くない発想だと思う。


だけども、発想するだけならだれだってできる(多分他にも似たようなことを考えた人はいたはず)。

私がここですべきことは、この仮説を証明することである。


実は、メガシンカが古代の姿への回帰であるという説は、SVにおいて登場した「パラドックスポケモン」とメガシンカを類似・比較考察することによってかなりの説得力をもって証明することができた。


何をいってもゲームフリークは天才集団だった



私たちが「メガシンカ」をメガ「進化」、つまり「最終進化を超えた、さらなる進化」と誤解してしまった理由は明確である。
それは、「メガシンカ」によってポケモンたちが「強く」「大きく」「見た目が派手に」変化したからである。


ご存知の通り、多くのポケモンは進化するにつれて強さを増し、サイズが大きくなり、体の部位が発達したり新たに付け加わったりする。
このことから、私たちは経験から暗黙のうちに「進化=能力・サイズ・体の機能や部位が、進化前よりも発達すること」と理解している。


ところが、私たちが何の疑いもなく習得してしまった進化に対する固定観念こそが、「メガシンカ」をメガ「進化」へとミスリードさせた要因だ。
敗北宣言をするならば、ゲームフリークが作り出した最高傑作級のレッド・ヘリング(ミステリーにおいて読み手を誤った犯人へと誘導するもの)に見事に騙されたのだった。


(ゲームフリークについてはなんやかんや言われるけれど、メガシンカについて考察する中で私は本当に天才的なクリエイター集団だと戦慄した。)


結論を提示しよう。


製作陣が考えている「進化」は、「強くなる・大きくなる・新たな部位を付け加える」ことではない。


むしろその逆で、「(戦闘能力を失い)、体を小さくし、余計な部位を削ぎ落とす」ことこそが、製作陣が考える生物の「進化」あるいは「適応」なのである。


つまり、「進化」の本質は、何かを付け加える「足し算」にあるのではなく、何かを減らしていく「引き算」にこそあるのだ。


パラドックスポケモンから読み解く「進化」の新法則


ポケモンはメガシンカすると、種族値が高まり(戦闘能力の向上)、体が大きくなり(一般的には体が大きい方が戦闘では有利)、翼や角などの新たな器官が生える(武器が増えるという意味でやはり戦闘力の向上)。



簡単に言い表せば、メガシンカはポケモンを強くする。
だから私たちはメガシンカをメガ「進化」と呼んでしまった。


だが、本当の進化は真逆の現象で、「(戦闘力を失い)、体を小さくし、余計な部位を失うこと」である。
つまり、「一見すると弱くなること」こそが本来の進化なのだ。


進化=弱体化という理路には、読者の皆様も納得いかないと思う。
だが、私たちはパラドックスポケモンの考察によって、「進化=強化」というマッチョな思考の枠組みを取り払うことを強いられたのであり、以後はそのことについてデータを用いながら証明する。


たとえとして、古代側のパラドックスポケモンであるサケブシッポと、現代の姿であると考えられるプリンを比較してみよう。


プリンはサケブシッポの半分ほどの大きさ
各器官が退化して見た目にも派手さがなくなっている


注目すべきデータは、サクブシッポはプリンに比べて「体(重)が大きい・種族値が高い・尻尾が長い」といった特徴を備えていることである。
おわかりだろうか。サケブシッポ(古代のプリン)は長い歳月を経てプリンになることで、見事に「弱体化」しているのだ。



古代ポケモンと現代のポケモンを比較によって得られる「ダウンサイジングと器官の欠落(と戦闘能力の喪失)」は、プリンとサクブシッポ以外にも全てに共通するデータである。
ハバタクカミ、イダイナキバ、ウネルミナモ…すべての古代ポケモンは現代の姿において体格の縮小と器官の退化(そして種族値の低下やタイプ変更)を招いている。


今度は逆を見てみよう。つまり、未来ポケモンのデータだ。
ここではテツノカイナを例に取り上げる。

テツノカイナは未来パラドックスの中で唯一の例外で体重が重くなっている。
しかし、高さは明らかに低くなっており、法則を乱すものではないと考えて良いだろう。
体内が脂肪に代わり機械化されたからだろうか?
なお他の未来パラドックスはみな高さ・体重共に減少している。


ご覧の通り、未来ポケモンと現代のポケモンを比較すると、古代ポケモンとの比較と同じことが起きている。
つまり、未来においてポケモンは、体が小さくなり、余計な部位が削ぎ落とされている。


ただ一つ異なるのが「種族値=戦闘能力の向上」なのだが、これは製作陣の思想や哲学を読み解く上で非常に重要な要素で、別記事にて解説する必要があるので今回は触れない。


ここまでの話をまとめよう。
ポケットモンスターの世界においては時間が経つにつれて、つまり未来において、ポケモンたちは「小さくなる・(戦闘能力を失う)・余計な部位がなくなる」ことを経験する。

過去→現在→未来


一般的に生物は時の経過と共に「成長」する。
ポケモンたちは「成長」という言葉の枠には収まらないほどの急激な変化を見せることがあり、それを「進化」と呼んでいる。
新たな技を覚え、空を飛べるようになり、言い換えれば「できなかったことができるようになる」ことを私たちは「進化」と称していた。


ゲームフリークにとってのZ-Aにおける「挑戦」とは、ポストモダン(近代以後)に生きる私たちが自明と見做している「進化=できない→できるへの変容」すなわち「不可能から可能へ」という先入観・固定観念に亀裂を生じさせる、ポケモン思想史上のパラダイムシフトを成し遂げることなのである。


「新たな挑戦」
その中には進化についてのパラダイムシフトを起こすことが含まれていると予想する。


メガシンカとパラドックスの関係


テツノブジンは「スマホ」だった


ここまでで、ポケモンたちが時間を経て「小さくなること・余分なものを減らすこと」を成し遂げてきたことはご理解いただけたと思う。
そして勘のいいガキである読者の皆様は、「これって、『効率化』じゃん?」と気がついたはずだ。


そう、現実の世界においてPCやスマートフォンの計量化が進むことを「退化」と捉える人はいないはずだ。
むしろ、「進歩」や「発展」と呼ぶのではないだろうか?



分厚いブラウン管TVも、固定電話も、一部屋を埋め尽くすほどの巨大コンピュータも、時代とともに消えていった。
それらは「大きすぎた」から、人間は「小さくする」ことで、つまり「効率的にする」ことでより便利にしてみせた。


ここにテツノブジンという未来ポケモンのデータを示す。
エルレイドとサーナイトという2匹の異なるポケモンを融合したような姿で、能力においても2匹のいいところを合わせたような種族値をしている(AC両刀)。


2匹の性能を合わせながらもよりコンパクトに
まるでスマホのように効率化されたポケモンだ


にもかかわらず、テツノブジンはエルレイドよりも、そしてサーナイトよりも小型なのだ。
まるで携帯電話・PC・音楽プレイヤー・その他様々な機能を小さくて薄い四角形の箱に詰め込んだARE(あれ)みたいではないだろうか?


スマートフォン。人類史に残るであろう最大の発明であり、人類が成し得た最高傑作レベルの「効率化」の象徴である。
同じようにテツノブジンは、「ポケモンを戦闘に特化・効率化させた未来パラドックスポケモン」の「象徴」なのである。


つまり、テツノブジンはパラドックスポケモンにおける「スマホ」なのだ。


トドロクツキとメガボーマンダはほぼ同じ


もうほとんど答えは出ているが、私たちはパラドックスポケモンから解き明かした新たな「進化」の法則を、「メガシンカ」にも適用できることを示さなければならない。


そのために続けて、トドロクツキとボーマンダ、そしてメガボーマンダを比較してみたい。


翼・尻尾などが類似
ただしメガボーマンダには翼の装飾がない
体重に関しては大きな開きがあるが、これについては飛行タイプゆえに(メガ)ボーマンダの方が軽量化されているのかもしれない。


登場当時からトドロクツキとメガボーマンダは似ている」と言われていたが、データを参照しても説得力を失わない。


トドロクツキとメガボーマンダは、現代のボーマンダよりも「大きく・羽が広く」なっており、形状もほとんど同じだ。要するに、両者は「かなり似ている」。


体重に関してはトドロクツキがメガボーマンダを大幅に上回っているが、それほど気に留める部分ではない。
これは次回以降の考察対象となるタイプ変遷論に関わるので割愛するが、悪タイプ→飛行タイプへと変化する際に「飛行能力を高めるためにより身軽にする」という「効率化」が行われた影響だと思われる。


もう一度私たちが新たに手にした「進化」の法則を確認しよう。
「進化」とは「効率化」、すなわち「より小さく、軽量化し、無駄を減らすこと」である。


トドロクツキ(古代)→ボーマンダ(現在)


においてこの法則は当てはまる。
体重は減り、翼の面積は減り、派手な装飾もなくなった。


さて、問題はメガボーマンダとボーマンダにおいてだ。

もしもメガボーマンダがボーマンダの未来形だとしたら、私たちの手にしている新たな法則を裏切ることになる。


図式化すると、もしもメガシンカが



ボーマンダ(現代)→メガボーマンダ(未来・あるいは時間的に後の姿)

を意味するならば、「進化とは効率化である」という法則が崩れてしまう。


だから、私たちはここで、マルクスが貨幣と商品の関係を逆転させた時にみせたあの跳躍を、つまりは物事を真逆の発想から見るコペルニクス的転換を求められている。
(さあ、ここがロードスだ、ここで跳べ!)


メガボーマンダ(過去)←ボーマンダ(現在)


メガボーマンダが示すのは他でもない、「メガシンカはゲンシカイキである」という当初の仮説である。


「Z(現代)→A(過去)」というタイトルに隠された意味がここに回収される。


結論:メガシンカは「不完全なゲンシカイキ」である




結論しよう。
メガシンカは「進化=さらなる未来への形態変化」ではなく、むしろ「原始回帰=過去の姿を現代において発現すること」なのだ。
現在という時点において「過去を呼び覚ますこと」、それがメガシンカの本質である。


だからこそレジェンズのタイトルはただ単に「ZA」ではなく、「Z-A」にならなければいけない(この理路についは前回の記事あるいは記事末の補足を参照)。

ボーマンダはメガシンカ(≒ゲンシカイキ)によってトドロクツキの時代に形態を変化させるのだが、何らかの阻害要因によって完全な再現を成し遂げることができず、不完全なトドロクツキ=メガボーマンダとして顕現することになる。
(不完全だから、メガボーマンの翼の装飾はトドロクツキよりも控えめになり、しかもタイプも異なる)


このことから、さらに結論を飛躍させよう。
メガシンカとは「不完全なゲンシカイキ」と読み替えて良いのではなかろうか?


グラードン・カイオーガだけが「完全なるゲンシカイキ」を成し遂げることができた、と考えると、メガシンカとゲンシカイキを引き起こす際の自然エネルギーと絆エネルギーの違いについても考察を深める手掛かりになるだろう。



※次の補足よりは、面倒だけども前回記事を読んだ方がわかりやすいです


補足:「Zの時点において、Z→Aという時間の動きを起こすこと。→それによってZ=擬似Aとなる」
すなわち「Z→A」と「Z=A」の意味を同時に象徴するために、「Z-A」の中のハイフン記号が必要である。

補足2:上記の説明はわかりにくいのでメガシンカを例にとる
「Z(現在)において」=今ここで・物語の舞台上で
「Z(現在)→A(過去)という時間の動き」=メガシンカ(ゲンシカイキ)・過去の再現
これは前回の記事において述べた「現代における神話の再現」と理論的には同じ現象である。


補足3
「ここがロードスだ、ここで跳べ!」について。

昔ギリシア(だったと思う)にある男がいた。

その男は友人に対して「俺さ、ロードス島に行ったらさ、幅跳びの大会で優勝しちゃったんだよね〜」と自慢した。

友人はいった。「すごいじゃないか!せっかくならここでその跳躍力を見せてくれよ」

男は答えた「ここじゃちょっとできないかなあ〜。だってさ、俺、ロードス島じゃないと本気が出ないんだよね」

友人はいった。「ここをロードス島だと思えば本気出るだろ? ほら、跳んでみろよ」

男「」


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