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レジェンズZ-Aを発売前から楽しもう!①タイトルの意味

まだ発売されていないポケモン最新作「レジェンズZ-A」を、今すぐに楽しむ方法がひとつだけある。しかもそれは、発売されてしまえば二度とはできない楽しみ方だ。
この瞬間を逃せば二度とできない楽しみ方、読者の皆様にはその方法をご紹介し、発売までの「待ち時間」を一緒に楽しみたいと思う。


まだプレイできないゲームを遊ぶ唯一の方法、それは「どんなゲームなのかを予想すること」だ。
遠足や旅行は行く前が一番楽しい理論と同じで、好きなタイトルの最新作がゲーム屋の店頭に並ぶまでの期間は、未知へのワクワク感やドキドキ感を募らせるための大切な時間だ。


ちなみに、休日をどれだけ楽しめるかは、旅行やイベントについて「事前にどれだけ綿密に予想や計画を立てたか」が重要だとされており、これはポケモン最新作に関しても同じことが言えるだろう。
楽しみにしている未来について思いを馳せることはそれ自体が楽しいだけでなく、実際にその日が訪れた時の満足度にも大きく影響するという研究がある。



何も計画せずに漫然と旅行会社の用意したパッケージに従う旅行は確かに楽だけど、移動時間はただの苦痛で名所を見ても「ふーん」としか思わない。
何より、他人の用意した企画が面白くなかった時には「お金と時間を返して」と後悔することになり、せっかくの旅行も台無しになってしまう。



一緒に行く仲間や友だちと「どこに行く?」「〇〇したいな!」と、あれしたい、これしたい、ああでもない、こうでもない、とワイワイガヤガヤしていると、飛行機や新幹線の時間、それから「思ってたのと全然違うじゃん!」とびっくりするようなハプニングさえ、心躍り思い出の時間となるのは、みなさまもご経験があるかと思う。


ポケモンデイなど、まさにそうだ。
2/27が近づくに連れて、ネット上では新作の発表に関する噂や、新しいポケモンの解禁でもちきりになる。
お祭りは始まる前から始まっているのだ。


ただ、「お祭りの前からお祭りを楽しもう」と思っていても、現実の生活に追われているうちについつい後回しになって、気がついたら当日を迎えてしまっている、ということは割によくある。
観光地について調べるのは意外と手間だし、交通網や料金について考えるのはもっと面倒くさくて、「現地に行けばなんとかなるだろう」と放り出してしまう。



結局は現地についてから観光案内所に赴いたり、運が良ければ旅行好きな同伴者の一人のプランに沿って動くことになる、という経験をしたことがある人は少なくないと思う。



ゲームの新作発売についても同じで、ぽつぽつと部分的な予想を語るのは難しくないけれど、いざ体系的に予想を練ろうと思うと、意外と時間と労力を必要としてしまうものだ。


そういうお忙しい方のために、筆者が代わりに予想を立てて提示することで、ポケモン好きを同じくする人々が「レジェンズZ-Aの」発売までの期待と希望に満ち溢れた時間を、より一層楽しむための手助けになればと思う。


皆様もご存知の通り、当ブログは「当たらない予想」をするのが大好きな人間によって運営されているので、今回の記事も「当たらない」ことを前提にご覧頂きたい。


読者の皆様は「当たらない予想」を叩き台にして、「それは違う」「これはこうじゃない?」「こんなのもあるんじゃない?」と、各自で想像を膨らませていただければと思う。
あるいはご自身のアイデアをコメント欄に書き込んで、他のポケモンファンと共有していただいても構わない(優れたアイデアがあれば次の記事の題材にさせて頂くかもしれない)。


ちなみに前回の当たらなかった予想は「新テラスタル(虹色テラスタル?)」に関するもので、その記事の軸は「相手の抜群をつけるタイプに変化する(レジェンズ・アルセウスの要素を踏襲)」というものだった。



結果としては「テラスタルをしている相手に対してテラバーストが抜群をつけるようになる」という要素によって辛うじてファール・チップした、といったところで、蓋を開けてみれば想像以上にややこしい仕様だったこともあり「それはさすがに予想できないわ」と思ったことを覚えている。


私の「当たらない予想」が読者の皆さまの「ポケモンの最新作をマックスに楽しむ」ことのお役に立てば幸いだ。





タイトル「Z-A」の意味


本作のタイトル「Z-A」をどのように解釈するかから始めよう。


筆者の考えでは、「Z→A」あるいは「Z=A」の両方の意味を含んでいる。


まず第一に、本作のカタカナでの呼称は「ゼットエー」であるが、タイトルロゴは「Z-A」という風に「-」ハイフン(あるいはマイナス)を挟んでいることから、何かしらの意味を含んでいると考えなければならないだろう(ゲームフリークが特段の理由もなく記号を付加するような真似をするとは考えにくい)。


元となる本編作品XYにはAZなる人物が登場するが、彼の名が示すのは「始まり(A)から終わり(Z)まで」という意味である。
AZは古代(3000年前)の王であるがポケモンたちから搾取したエネルギーで作った「最終兵器」の使用によって、現代まで生き延びてしまった悲しい男だ。


AZは「過去→未来」という意味、つまり時間の流れを意味していることが読み取れる。ここから、本作タイトルは逆走の意味で「Z→A」だと捉えて、現代から過去へ遡ることが物語の骨子になると考えることは容易である。


ただし、筆者は「Z-A」というタイトルには単に「現代から過去へ」という意味だけが与えられているとは思えない。
なぜならば、もしも時間の流れの向きを変えるためだけならば、わざわざ「-」をつけることに対して合理的な説明ができないからだ。


言い換えれば、この「-」から私たちは「製作陣の意図」を読み取れるはずだ、というのが今回の記事のテーマであり、これについてしばらく紙数を費やすことになる。


テーマは「現代から過去へ」&「現代と過去をつなぐこと」


さて、私たちは「Z」と「A」の間にある「-(ハイフン)」の意味を考察することとなった。


上述したように、本作タイトルは間違いなくXYの登場人物AZを踏まえて付けられている(と同時に”ジガルデ”というポケモンに関連していることも疑い得ないのだが、それについては次回以降)。
それゆえ、「Z→A(現代から過去へ)」という意味が含まれていることは誰もが読み取れるであろうし、特段否定すべき理由もない。


一方で「Z-A」の表記にはもう一つの理由があるのではないか、という話を展開する。
要するに、ただ単に「過去から未来へ」という時系列の逆走では説明のつかない記号「-」について考察する。


私たちが「-」の記号を使うのはどんな時だろうか? 卑近な例を挙げるなら、電話番号や郵便番号、キャッシュカードの番号といったところだろう。
それは数字と数字を繋いだり、あるいはわかりやすく区切るために使用される。



ただし、というかこれが案外重要な要素になるかもしれないのだけど、通常は繋がれるもの同士の間にある関係性を示すものではない(前後の数字で上下関係や優劣関係が生じることは余程のことがない限りないだろう)。



ここから推測するに、「Z-A」という表記は「Z(現代)」と「A(過去)」を結びつける役割を持っているのではないだろうか? しかも、ZとAの間には何らの上下関係はなく、2つの時間はあくまで等価のものとして扱われているのだ、と。


やや強引に図式化するなら、次のようにまとめられる。

Z-A = ①Z→A  (現代から過去への時間の流れ)
       ②Z=A(現代と過去は等しい、あるいは同一のもの)


ここからは②Z=Aに関して詳しく論じていくことになるだろうか。
なにしろ、現代と過去が等価であるというのは理解し難い部分かと思う。


ポケットモンスターシリーズの大転換点となった第2世代


Z-Aについて論じる前に、ポケットモンスターシリーズにとって大きな分岐点となった作品について語ろうと思う。
それは第2世代「金・銀(・クリスタル)」である、といえば、読者の皆様は混乱するかもしれない。「どこが?」と思われるだろうし、筆者自身もこんな考えが出てきてびっくりしている。


初代「赤・緑(・青)」と第2世代を決定的に分かち、もしもこれがなければその後のポケットモンスターシリーズが連綿と続くこともなかったかもしれない。


その要素の正体は「時間の登場」である。


時間の登場とはどういう意味か?



ひとつ目について簡単に言えば「朝の次には昼。昼の次には夜。夜の後にはまた朝が来る」というような、私たちが日常的に使用する時間が登場したことだ。
第2世代には初代にはなかった「朝・昼・夜」という概念がゲーム中に盛り込まれ、ホーホーやエーフィ・ブラッキーに代表されるように一部のポケモンは特定の時間にしか出現・進化しない。


だが、これはあくまで「時間の登場」の片割れでしかない。便宜的に「日常的な時間」と呼ぶことにするが、もう一つの重要な時間概念を導入しなければ、第2世代が後続の世代に対して持つ重要な意義を説明しきれない。


もう一つの時間概念、それは「伝承の再現」である。言い換えれば「現代における過去の再現」である。


お気づきかもしれないが、初代には伝承というものがほぼ存在していない。伝説のポケモンや幻のポケモン=ミュウは登場するものの、古代にまで遡るようなエピソードは開示されず、何よりストーリーそのものにはほとんど絡みがない。


考えてみればこのことは、ポケットモンスターシリーズにおいてはたった一度、初代においてのみ起きた事象であるという点で興味深い。
その後の第2世代以降のシリーズでは必ず、伝説のポケモンにまつわる伝承がストーリーに絡んでくる。


第2世代以後の伝説のポケモンについては、作中の人物たちによって過去の神話や歴史的な出来事が明らかにされ、ストーリーの終盤において「伝説」が再現される、というのがポケットモンスターシリーズの鉄板である。


「古代の神話・伝説・歴史的出来事を、現代において再現すること」
これこそがポケットモンスターシリーズを貫く鍵となる時間概念である。
このことから、現代と過去が等価であるということの意味のニュアンスが伝わるだろうか?


「ポケモンはあくまでフィクション(虚構≒物語)なのだから、主人公が伝説を甦らせることだってあるだろうけどさ」と思うだろうか?
あるいは「現実の世界では神話や伝説なんて、遠い昔の人間が考えた作り話さ」と考え、現代と過去はあくまで無関係であると思うだろうか?


そういう読者には、日本には天皇制(「古事記」という”日本国誕生を記した伝承”に基づく制度)や、欧米や中東においてに宗教をめぐる対立が絶えない事実を思い出して頂きたい。
つい80年ほど前の日本人は「天皇は神である」と信じて勝ち目のない戦争に身を窶し、ある経済大国は「偉大なる〇〇をもう一度!(Make 〇〇 great again!)」と叫んだ大統領を支持し、今も世界のどこかでは宗教的原理主義者たちは「聖戦」と称して武器を手に神ための戦いを繰り広げているではないか?


私たち人間は意識あるいは無意識のうちに「過去を現代に再現している」。
伝説を今ここに甦らせること、神話を現代において現実にすること、それを仮に「過去-現在 実現欲求」と呼ぶなら、その欲求は人間存在に深く深く根ざした欲求である。


ポケットモンスターシリーズ(あるいはゼルダの伝説なども他のタイトルを含めても良い)の物語が優れているのは、人間存在が根源的・実存的に備えている「現在に過去を再現したい」という欲求、いや「欲望」を軸に構成を組み立てていることにある。


第2世代がいかに大きな転換点だったかがお分かり頂けただろうか?
もしも第2世代が初代と同じように時間の概念を持たず、あるいは通俗的な「日常的な時間」しか持たなかったら、ポケットモンスターシリーズはあくまで子供のためのRPGにとどまり、成年層にとっても魅力的なストーリーを誇るゲームに育つことはなかったはずだ。


終わりに


Z-Aの話からどうしてこんなにややこしい時間の話になったかを言い訳させて頂くと、筆者はつい最近レヴィナスの『時間と他者』に関する書籍を読んで時間について深く考えるようになったからだ。


そして今回新作について語ろうとした時に、「だれも言わないけど、ポケットモンスターシリーズにおいて『時間』はものすごく重要な概念なのでは?」と思い立ち、第2世代において「時間」が導入されたと気がついたのだった。


「Z-A大予想企画」がどこに着地するのか、筆者にすらよくわかっていない。
けれども、思ったより「大変な連載になりそうなこと」だけはしっかりわかっている。
なにしろ、最新作を予想するために過去作を網羅的に解釈し直すという、面倒極まりない(そして楽しい)作業を積み重ねなければならないのだから。

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