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「強くならない」ポケモン対戦上達法


第4世代のダイヤモンド・パール・プラチナでポケモンを卒業して、10年以上の時を経て再びポケモンアカデミーに再入学した話までしたので、今回は僕が対戦沼には足を突っ込んだ話をする。対戦沼にはまったと言っても、僕は全然強くないので、本気でレートを上げることを目標にしている人にとってこの記事は1ミリも役に立たないと思う。僕の最高レートはせいぜい1700ちょっとで、瞬間最高順位こそレンタルパーティで500位台まで到達したことはあるが、シーズン終盤は環境の変化についていくことができなかった。また、1度負けが込むと戦意喪失してしまう心の弱さもあり、1か月を戦い切る力がないので、最終盤まで全力で戦いきった経験がない。1か月というのは、短いようで案外長いものである。

逆に言えば、高い最終順位を誇る人たちは、ポケモン対戦における基本3要素である「構築・選出・プレイング」の能力に秀でているのみならず、変化する環境を読み切り順応する対応力、シーズンを通して戦い切る計画性とモチベーションの維持能力、そして最後まで目標に向かって走り切る体力と精神力を有している。こうやって書いてみると、ポケモン対戦というのはスポーツに似ていなくもない。プロ野球界のレジェンドである落合博満氏は「心・技・体」のうち最初に身に着けるべきは技であり、それと同等に技を体現するための体、最後に技と体を支えるべく心を習得するべきであると説いているが、これはゲームにおいても真理であるように思う。


まずは「技」に当たる構築・選出・プレイングを磨くことが重要であり、次にシーズンを通して安定したパフォーマンスを維持するための「体」を身に着けなければならない。そして最後に最終盤の緊迫した場面で力を発揮する「心」がなければ、真の強者にはなれないのだ。こういわれると、たかがゲームと言えなくなるでしょう?まあ、結局はたかがゲームなんですけど、要するにどんな物事もやってみると奥が深く簡単ではないという話。


ここからが本題になるわけだけど、たしかに僕はお世辞にもポケモン対戦において強者とは言えない。むしろ弱い部類であることは自覚している。世の中には、強くなければ面白くないという価値観の人もいるし、たしかにそういう考え方は僕にもある程度理解はできる。僕だって曲りなりに強くなりたいと思ってプレイし続けている。しかし、僕は数字や実績という面ではそれほど大きな進歩を遂げているわけではないにも関わらず、かれこれ1年半、つまり約20シーズンも対戦を続けているし、それに始めたころよりは色々なことが理解できるようになっている。強くはなっていないけど、上手くはなっていると思う。たぶん。

野球にもプロ野球から独立リーグ、社会人野球、そして草野球まで様々なレベルが存在するように、ポケモン対戦だってプロ級の第1線で鎬を削る者もいれば、アマチュアの最下層で仕事終わりに楽しむことを目的とする者まで、さまざまなレベルのプレイヤーが存在して当然である。むしろアマチュアの競技人口の多さこそがその競技を下支えしているのだから、この層を邪険にしてはいけないと思う。僕は大学時代に水球という日本におけるマイナースポーツと、競泳という超メジャースポーツの両方をやっていたから、競技人口の多寡が競技力にいかに影響を与えるかを身をもって体感してきたつもりだ。競技人口というのは市場の大きさを意味しており、環境整備や様々な援助を得るための武器なのだ。

よく順位が4桁や5桁のプレイヤーに対して「構築記事を書くな」「最終日に潜るな」という声を浴びせる人がいるけれど、それはコンテンツにおける人口を減らしうる愚かな発言であり、自ら好きなゲームの寿命を縮め発展を阻害することに加担している事実を認識するべきである(俗に言う4桁・5桁論争として有名な「最終日に潜るな」発言について触れておく。たしかに上位層にとっては下位層とマッチングすることは得るものは少なく失うものばかりが多いので、双方が快適にプレイするためにこの問題は新作において解決してほしいと思っている。でもそれは格差マッチが起こってしまう現行の「システム」に問題があるのであって、5桁の人だって上位帯のプレイヤーと同じように1つでも良い順位を目指して勝ち筋を追っているのだから、プレイすること自体を否定される理由もなければ、ましてや人格を否定されるような謂れはもっとない。(その結果、再現性の低いヤンキープレイに頼らざるを得ないのが上位に上がれない理由なのはわかっているけどさあぶつぶつ))。


前置きがずいぶん長くなってしまったけど、一度は自分の意見を表明しておきたかった問題だったのでご容赦ください。


というわけでここからが本当の本題(ほんとかなあ?)で、草野球(草ポケモン)を続ける秘訣を話していく。これからポケモン対戦を始めようか迷っている人にとって、少しくらいは参考になればうれしい。

一般的に、てっとり早く強くなるための方法として、強い人のレンタルパーティを使って対戦することが上げられる。レンタルパーティにはだいたい構築について解説した記事が存在していて、構築の組み方から選出の仕方、立ち回りまで丁寧に解説してくれており、強者の思考を学ぶことができる。僕もレンタルパーティを使うことがあり、質問をすると快く返答をくれる方がほとんどなので、使ってみてわからなかったことは積極的に聞いてみると良い。要は模範解答が存在しているようなもので、構築記事や構築主の意見と照らし合わせて自分のプレイを客観的な視点から点検=答え合わせすることができるのが最大の利点であると思う。

もちろん僕も対戦を始める前にこのことは知っていたけど、実際にはレンタルパーティを使わなかった。そもそもなんとなく対戦をやってみようと思った程度だったし、天邪鬼的性格のせいで強いポケモンを使うことに抵抗があった。だからろくに厳選もせずにとりあえず自分の好きなポケモンを6匹並べてみて、ポケモン徹底攻略に載っている育成論に従って育成してみた。もちろんこんなものは構築と呼べる代物ではない。旅パならいいけど、対戦ではまず勝てない。実際に最初のシーズンはスーパーボール級(7)で終わった。


初めて対戦用に作ったPTは思い出深い
ボックスから好きなポケモンを6匹並べただけ


ではそれでつまらなくなってポケモン対戦をやめたかというと、そうはならなかった。むしろ仕事で疲れていても毎日夜になると5試合はやって、初心者のくせに月間で150試合も潜っていた。勝っても負けても、とにかくポケモン対戦が楽しくて仕方がなかった。負けが多かったからこそ、勝利の味はひと際最高だった。好きなポケモンがバトルで活躍する喜びを知ってしまった。勝てない時にも、決起集会と称してキャンプを開いてポケモンたちと戯れた。僕にとってポケモンたちは一緒に戦う仲間だったから。

そうは言っても、負けるというのは面白くないもので、何かしらの言い訳をしたくなるものだ。折しも僕が対戦に飛び込んだ時は禁止伝説が解禁されていたため、マイナーな一般ポケモン(ダグトリオ)を使っている逆張り初心者が簡単に勝てるわけがなかった。ポケモン対戦において数値は正義である(ザマゼンタの悪口を言った人は最寄りの交番まで)。だから僕はしょちゅう「種族値の暴力だ」とつぶやいていた。負けたのを数値のせいにしていた。


余談だけど僕は20シーズン中17シーズンは禁止伝説環境で戦っている。いわゆる縛りプレイというのが好きで、一般ポケモン統一やマイナーポケモン統一がほとんどで、禁止伝説を使用したのは17シーズンのうち3シーズンだけである。その時は嫁ポケのグレイシアをたくさん選出できるようにするという縛りを課して、シーズン中盤の20日くらいまではレート1700あたりの1000位台をキープしていたのだけど、3桁チャレンジを不甲斐ないプレイングミスで3回とも通せず心が挫けてしまった。満足な成績ではなかったけれど、自分なりにグレイシアを活躍させてあげられてやりたかったことはできたので納得はしている。


グレイシアと共に自己最高の成績を残せた構築
自分で0から構築を組むのはすごく難しいけど、それが他のゲームにはないポケモン独自の面白さである
ゼルネアスの相棒枠、グラードンは違ったかなあ


話を戻すと、よく負けたことを他のもののせいにするべきではないと言われるけど、僕はこれは必ずしも正しいとは思っていない。勝てないことを「自分が弱いからだ」と思って「自分はポケモンに向いていない」と自分を責めるよりは、「こちとら種族値が足らんで負けたんでい」と開き直って責任転嫁するくらいの気持ちでいたからこそ、未だにポケモン対戦を続けられているのだと思う。もちろんこんな考え方では強くはならないけど、本来ゲームというのは娯楽なのであって、ルールやマナーに反しない限りはどんな楽しみ方をしようが自由である。最も大切なことは、自分が納得してある程度楽しみながら続けられることである。


たとえば最終1位を獲る人はもちろん素晴らしいし、僕も尊敬している。でもそれと同じくらい「強くならないんですけど、ポケモンが好きでシーズン1からずっと潜り続けているんです」という人も素晴らしいと思いませんか?剣盾当初は100万人を超えた対戦人口も、今では20万人を下回っている。80%の人はポケモン対戦をやめてしまったのです。参入障壁の異常なまでに高いこのゲームをほとんどの人がやめていった中で、少なくとも未だに対戦を続けているというだけで20%のうちに入っているのだから、これは胸を張っていいことだとは思いませんか??


今シーズンは幻統一でマスターボール級を目指す
普段使えないポケモンを使うのはとても楽しい


えーっとなんだか要を得ない記事になってしまったけど、僕が言いたいことは、今でもポケモン対戦を続けているあなたは自分を誇って良いということです。1位だろうがスーパーボール級だろうが、あなたがポケモン対戦というコンテンツを支えている20万人のうちの1人なのだから、ルールと最低限のマナーを守って自分の好きなように続けてほしい、ということです。こうでなければならない、という決まりはない。全員がザシアンを使う必要はないのだ。


僕は負けたら数値のせいにして、運負けした時には「有効急所だろ!」「それは犯罪だ!」と叫びながらプレイしている。運負けツイートに否定的な人もいるけど、罪を憎んで人を憎まなければ決して悪いことではないと考えている(対戦相手の人格を否定するような発言はしないように気を付けてはいる)。悪いのは3連続麻痺という事象であって、相手のプレイヤーではないのだ。麻痺や急所にはとことんブチ切れていいし、そうしないとやってられないのがこのゲームである。つくづくポケモンというゲームは教育的である。


もう本当にとっ散らかってきたのでこれで終わりにする。どんな順位であっても自分なりの目標や目的をもって楽しむことが大切で、自分を責めるよりも適当に他のものに責任をなすりつけながらプレイすることも、精神的健康を保つためには必要だというのが、自分を精神的に追い込みすぎた挙句に精神疾患で無職になってしまった僕の結論である。好きなことを好きな時に好きなようにやることこそが人生の最重要課題であり、自由こそがこの世界で最も尊いもののひとつである。
というわけで、次はもう一度「GOCTHA!!」の話をしたいなあ。


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