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電子ピアノのタッチについて

電子ピアノのタッチについて、「この鍵盤を重い」とか「タッチは良い」とか言われているが、そのタッチとはなんだろうか?
実はその殆どは「人の錯覚」を利用したトリックである。
グランドピアノならは、テコの原理で鍵盤を押し下げるとハンマーと呼ばれる硬い木で出来た先っぽにフェルトのついたトンカチみたいものが、弦を下から叩いて音を出す。
鍵盤を話すと自重で戻る。
鍵盤の重量と速度によって弦に加わる力が、変わり音量と音色が変化する。正確に言えば慣性モーメントが重要であるが・・・
だから鍵盤はある程度長さがないと支点に近いほう(すなわち黒鍵の奥)が弾きづらくなるので、それを避けるためグランドピアノだと26センチくらいの長さになっている。
さて電子ピアノについて音量を決めているものは打鍵の速度である。
どうやって速度を測定しているかと言うとセンサーと呼ばれるもの、実際は2~3個の単なる接点スイッチが連続でついていて、鍵盤が下がるにしたがって順に押されていく。その時間差から速度を割り出して強弱なりを制御しているだけだ。
この接点の塊であるセンサーを古いものでは2つ、最近のものは、どこのメーカーも殆ど3つ入れて複数個所で打鍵速度の計測してプロセッサで計算させて強弱や音変化をさせている。
GH3鍵盤の3というはまさに3つのセンサーという意味なのだば、GH鍵盤やGHSはいまだに2センサーである。
これもGHSが最もグレードの低い鍵盤だと私が主張する理由の一つである。
余談ではあるが、このセンサーというか接点を一番多くもつ楽器をご存じであろうか?
それは昔のハモンドオルガンである。
ハモンドオルガンは多列接点といって9つの接点を持っている。
これは音源というか音を出す装置が9つあって、1つの鍵盤で9つの音源をON・OFFさせるためにそうしているのである。
さて、センサーの話に元を戻すと、電子ピアノはおおよそ打鍵の速度というか鍵盤が下がるスピードでしか測定していないにも拘わらず、殆どの電子ピアノで鍵盤の重さを一瞬で調整できるのである。
しかし、これは鍵盤が押されてから音を出すまでに微妙な遅延をさせたり、音量を大きくすることで錯覚を起こさせているに過ぎない。
簡単な話で例えば電子ピアノをBluetoothスピーカーにでも繋いで弾いてみればいい。一気に鍵盤が重く感じるはずだ。
この錯覚を利用した仕組み故に、電子ピアノでいくら練習したところで、構造の全く違うアコースティックピアノのタッチの練習にはならないのである。
余談ではあるが、電子ピアノの設定でハード(すなわち一番重い)にすると音量変化は一番乏しくなる。だから実は、ハード設定は害しかないのである。

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