ゲーム音楽史_cover

「ゲーム音楽史」を読んだ

作業中はずっとゲーム音楽流してるぐらいゲーム音楽が好きなので読んだ。

ゲームハードを軸に章立て、各章の中でゲームソフトに用いられた音楽を語る、歴史書の構成としては紀伝体に近い形。

「スーパーマリオブラザーズ」「ドラゴンクエスト」から「東方Project」「にゃんこ大戦争」までのビデオゲームの歴史の中で、新しく使われた音源とその使われ方、表現技法、ゲームとの関わり方等、ゲーム音楽らしい話題が中心。

逆にコード進行みたいな音楽理論的な話や、そこから生まれる情緒といったエモい記述は控えめ。

音源に関する話で言うと例えば、

ファミリーコンピュータ音源の標準的な使用例では、矩形波をメロディとサブメロディ、三角波をベースに使用していましたが、『ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…』の「おおぞらをとぶ」や「アレフガルドにて」などでは、矩形波をサブメロディとベース、三角波をメロディに使用しています。
(略)
三角波は「ポー」という音が鳴り、高音では笛、低音ではホルンのようにも聞こえますから、曲調によってはメロディとして使われたんです

(Kindle版位置: 359)

って風に具体的な曲の事例と一緒に解説されてて、これを知った上で改めて聴くと作曲者の創意まで深く味わえる。教養深い人が音楽や絵画を鑑賞してる時ってこういう気持ちを味わってるんだな~。

「矩形波」「三角波」って何?って基礎的な話もちゃんとこの前段で解説されているので、デジタル音楽について全然知らなくても読めるようにはなっている。

プレイステーション2の時代まで来ると制約はせいぜい読み込み速度や容量程度で、音源に関する制約は無くなる。ここで

ゲーム音楽におけるエレキ・ギターは、プレイステーション2の時代に完成します。

(Kindle版位置: 1665)

から展開される、「ファミコン時代から、ゲーム音楽作曲者がいかにエレキギターらしさを出そうと格闘してきたか」を女神転生シリーズを例に記述するくだりは、事実を淡々と並べてるだけなのにとてもエモく感じた。

今までずーっとずーっとやりたかった事が、テクノロジーの発展によってできるようになった、というカタルシス。
大げさに言えば、人類が始めて空を飛んだ瞬間と同じジャンルの感動がある。

この本で「知識を持って音楽聴くとより楽しい」という体験に味を占めたので、買ったまま積んでる「西洋音楽史」も読んでみようかな......。ゲーム音楽と違って脳みそがすぐストライキ起こしそうだけど。


読んだ本「ゲーム音楽史 スーパーマリオとドラクエを始点とするゲーム・ミュージックの歴史」岩崎 祐之助

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