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SexTranceとは何だったのか

※この記事は自分が以前書いたnoteの続きみたいな感じです。
↓これを読んでおくとこの記事も理解しやすくなると思います。

はじめに

お久しぶりです。GBMです。このジャンルについて書くのはほぼ1年ぶりでしょうか。最近は専らDubstepとかBreaksのDJをしていますが、この一年でこのジャンルがどのように変化していったのかが気になったので久々に書きました。

最近のVRCで使っている自分のアバター

また、前回と同じく個人での調査のため、一部事実と異なる内容が混じっている可能性があります。ご容赦ください。

目次

今回話すことは以下の4つです。

  • Sextranceの定義の変化

  • 主要アーティストの現状

  • Sextranceはもう単純にジャンルではまとめられないかもしれない

  • おわりに

3つ目が今までのすべてを台無しにしてるように見えますが、上から順番に説明していきます。

SecTranceの定義の変化

以前の記事で私はSextranceの定義を以下のようにまとめていました。

  • BPM170-190あたり

  • ビットクラッシュ

  • Trance、HardTrance、Nightcoreの要素が強い

この3つを挙げていました。しかし、ここ1年でこの枠組みから大きく外れる曲もSexTranceとして扱われてるようになりました。というか自分が一年前に記事を書いた時からこの動きは既に始まってました。

例えばこれとか

これとか

これもそうですね

このように以前あげて定義から外れる・抜けている曲もSexTranceとして表記されています。つまりどういうことかというと、
SexTranceの源流と言われているHex/Surge(ビットクラッシュ)の要素が薄れている曲が出始めているという事です。

ですが、その影響により本来のSexTranceの曲が出なくなったというわけではありません。結構出ています。大体割合的には、従来のスタイルと新しいスタイルが、6:4くらいだと個人的には感じます。
割と最近出てきた人達も従来のSexTranceを作ってたりするので、そんなに悪いことではないのかもしれません。

最近の曲

ここ数ヶ月はあんまりこのジャンルを追ってなかったので久々にDigったらいい曲がたくさんありました。
特にPixel Hoodはかなりいい感じだと思います。

というわけで今話したことをまとめると

  • 今までのSexTranceの定義から外れる曲もSexTranceとして扱われている

  • 新しいスタイルの曲が出ても従来のスタンスを維持した曲も両方同じくらいリリースされている

以上の2点です。
むしろ自分がこのジャンルに対する知識をアップデートする方がいいかもしれない。
それでは次に行きましょう。

主要アーティストの現状

さて、ここまではこのジャンルの新しい部分に目を向けてきましたが、昔からSexTranceを作っていた人達はどうなったのでしょうか?

自分が以前記事を書いた時の主流アーティストは
・Purity Filter
・Exodia
・c678924
・#ff85f7
・Sienna Sleep
・CTRLFR33K(Finneon)
が当時はかなり人気・知名度共にあったと思います。

Purity Filter

SexTranceというジャンルを作った張本人でもあるこの方ですが、現状ほとんどSexTranceを作成していません。 
2ヶ月程前に久々にビットクラッシュ/SexTrance寄りのEPを出しましたが、その前に出してた曲はTechnoやFreeform Hardcore、Hard Tranceがほとんどでした。
10ヶ月ほど前に、SexTrance3Dというイベントに出てから急速にSexTrance/HexDから離れた曲を作るようになったので、もしかしたらそのイベントを機に他のジャンルの曲をつくるようになったのかもしれません。
(Purity Filterについては自分が前書いた記事を見て下さい)

Exodia

今年の2月にSextrance Worldwide Compilation Vol. 2に二曲収録されてから一切曲を制作していません
Instagramを見ると今年の8月まではリアル出演の告知をしていましたが、それ以降の活動した記録が見つかりませんでした。
個人的にこの人の曲がめっちゃ好きなので悲しい。

c678924

4週間ほど前に新しいアルバムのdivine:analogueをリリースしました。
c678924は頻繁に曲をリリースをしませんが(大体1年で4-5曲くらい)、Twitter(X)の投稿が活発なので生存確認は簡単でした。最近はサンクラの自分の曲にangeltekkというタグをつけたりしています

#ff85f7

活動自体は活発におこなっていますが、路線変更をしたのか1年ほど前からsextranceの作曲をやめました。最近はCybertranceを主に制作しているみたいです。(でもそんなに曲の感じが変わってないのと思うのは自分だけでしょうか)

Sienna Sleep

現在も活動中ですが、ここ数ヶ月は作曲よりもDJとしての活動が多いです。
最後に曲を投稿したのは8か月前くらいでしょうか。Sienna SleepやExodiaが出てるイベントは電話して開催場所を聞く感じのやつが多い印象を受けました。

CTRLFR33K(Finneon)

現在も精力的に活動中です。楽曲のタグにもSextranceが入っているので、昔と変わったところは特にないと思います。半年前にGZ999からリリースしたアルバムもいい感じです。個人的に気になったのは、CTRLRF33Kは昔からfairytranceというタグをサンクラの曲につけています。このタグはCTRLFR33Kの曲のほとんどについているタグなので、何か本人が考えている自分の曲の定義なのかもしれません。
ちなみにCTRLFR33KとFinneonが同一人物なのは、この記事を作るときの調査で初めて知りました。なんで俺今まで知らなかったんだ。


以上がアーティスト達の現状でした。Purity FilterやExodiaがsextranceから離れる一方で、c678924やCTRLFR33Kのように積極的に楽曲をリリースする人、Sienna SleepみたいにDJに活動を入れる人等、1年でこんなに変わるとは思ってもいませんでした。しかし、この現状を調査する過程で気になったのは、「なぜPurity Filterはsextranceを作らないのか?」これが気になりました。sextranceというジャンルを作ったと言われている人が何故sextranceをリリースしないのかというのはかなり疑問に感じました。この疑問の調査がこの記事の最後の内容につながっていきます。


Sextranceは単純にジャンルではまとめられないかもしれない

最後の内容についてですが、これまでの自分が書いた事や1年前の記事がすべて無になりそうな感じがしてきました。とにかくこれを書く理由があるので今から話していきます。

先程、何故purity filterがsextranceを作らないのか疑問に思い調べたわけですが、Redditでこのような投稿を発見しました。

2023年5月頃に投稿されたと思われる

投稿者は…Purity Filter(carrie)本人です。
投稿を翻訳すると以下の通りです。(読みやすくするために一部翻訳文を変えています。また、DeepLでの翻訳のため誤った表現を使用している場合があります。)

翻訳文

やあ!私はただsextranceについて、そしてsextramceの未来がどうなっていくのかについて言いたいだけなんだ。
まず第一に、このコミュニティが発展し始めているのを見るのは本当にクールだし、そこからたくさんの素晴らしい音楽が生まれている。この活動のおかげで、たくさんの素晴らしい人たちと出会うことができた!

sextranceとは一体何なのか、その起源は何なのか、という質問を多くの人が目にするようになった。私はこの種のサウンドの発祥に関連することで、自分の手柄にしたいとは思っていない。ただ、去年のハロウィンにやったミックスで、冗談として偶然にとてもくだらない名前をつけただけだ。
また、sextranceとは何かと聞かれることが多いが、くだらない冗談のような答えをしてしまうのは、自分が本当にsextranceに何を求めているのかがわからなかったからだし、ジャンルの定義の責任はある程度自分にあると思う。
Spiral Tribeや90年代から00年代のフリーテクノ・シーンのリサーチを通じて、たくさんの新しい音楽を発見してきた。そして、sextranceがそれと同じような道をたどるのをぜひ見てみたい。
私は、sextranceを音楽ジャンルとして、またアートムーブメントとして確立させたいと思っている。友人たちとフリーパーティーを主催して、当時のようなサウンドシステム文化を作りたいんだ。私はまた、sextranceが「tranceのようだが、スピードアップしてHexDになっている」という定義やサウンドを超えていくのを見たい。私はそのような音楽をたくさん作っているし、その定義に当てはまるようなものをたくさん愛している。crystal distortion、micropoint、pimoussのようなアーティストたちは、クリエイティブなサウンドデザインや曲作りの面で、時代を先取りしている。そして、sextranceはフリーテクノ・ムーブメントの次の進化になり得るような気がする(少なくとも個人的にはそうあってほしい)。僕も含めて、昔のトランスやハードコアの曲のアイデアの焼き直しを超えて、音楽とイメージで全体としてもっとクリエイティブになれると思うんだ。
また、rainsdeaf,CTRLFR33K,verti_dx、そしてdj coldsteelは、僕がsextranceの方向性を見てみたいと思っていることを代弁してくれる、本当に素晴らしい先進的なアーティストだ。ありがとう<3

carrie

以上がredditの投稿の翻訳文となります。かなり色々なことが書かれていますが、重要そうな部分をピックアップしていきます。

sextranceとは一体何なのか、その起源は何なのか、という質問を多くの人が目にするようになった。私はこの種のサウンドの発祥に関連することで、自分の手柄にしたいとは思っていない。ただ、去年のハロウィンにやったミックスで、冗談として偶然にとてもくだらない名前をつけただけだ。
sextranceとは何かと聞かれることが多いが、くだらない冗談のような答えをしてしまうのは、自分が本当にsextranceに何を求めているのかがわからなかったからだし、ジャンルの定義の責任はある程度自分にあると思う。

ここがかなりヤバいところなんですが、sextranceの起源はPurity Filterのジョークだったという事です。つまり自分が書いたsextranceの定義は間違いだったという事になります。本人も自分の手柄にしたくないという事はわかっていますが、まさかこんなことでsextranceが生まれたのはかなり衝撃でした。そのジョークを本当だと思った人様々なsextranceを作られたと思うと中々面白いですね。

Spiral Tribeや90年代から00年代のフリーテクノ・シーンのリサーチを通じて、たくさんの新しい音楽を発見してきた。そして、sextranceがそれと同じような道をたどるのをぜひ見てみたい。
私は、sextramceを音楽ジャンルとして、またアートムーブメントとして確立させたいと思っている。友人たちとフリーパーティーを主催して、当時のようなサウンドシステム文化を作りたいんだ。

sextranceがSpiral Tribeやフリー・テクノのような道をたどりたいと思ってるのも中々の衝撃でした。しかし、Sienna SleepやExodia、CTRLFR33Kが出演しているイベントも電話で場所を聞く方式だったり、以前開催されたSEXTRANCE 3Dも同じような方法だったり、この部分はフリー・テクノの方式が受け継がれていると感じますね。そう考えるとこの説明は納得がいくと思います。
(Spiral Tribeとフリー・テクノについては以下の記事を読んでください)

sextranceが「tranceのようだが、スピードアップしてHexDになっている」という定義やサウンドを超えていくのを見たい。私はそのような音楽をたくさん作っているし、その定義に当てはまるようなものをたくさん愛している。

僕も含めて、昔のトランスやハードコアの曲のアイデアの焼き直しを超えて、音楽とイメージで全体としてもっとクリエイティブになれると思うんだ。

個人的にはこの部分がPurity Filterがsextranceを作るのを止める・定義付けを止めた理由なのではないかと思います。本人はsextranceを嫌いになったのではなく、その定義を超えていきたい、そしてただの音楽ジャンルという枠組みをこえて、アートムーブメント、そして、フリー・テクノのような従来のパーティー方式にとらわれないムーブメントとして進化していきたい。
それがPurity Filterのsextranceというものに込められた思いだったのではないでしょうか。

おわりに

Purity Filterの冗談から始まったsextranceは、今やその取り返しがつかないほど巨大で様々な曲が作られるジャンル・コミュニティとなっています。
今年の5月頃に投稿されたPurity FIlterのこの声明は自分の中でのこのジャンルに対する新しい知見を得ることができました。そして、今までよくわからなかったIRLでのイベントの参加方法、今までの方式にとらわれないsextrance、それらは一見何ら意味のない事のように思えましたが、この声明文と照らし合わせてみると、この現状はPurity Filterが望んでいる状態に近づいている証拠なのではないかと感じました。今後sextranceが死んでいくのか、それとも音楽ジャンルから進化して新しいムーブメントとして確立していくのかは不明瞭ですが、まだまだsextranceという定義は生まれたばかりです。この先数年でどう変化、そして進化していくのかが楽しみです。


おわり

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小告知

3月末東京でdjします
後々告知します


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