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週末チャート点検(2024/5/26)

1週間お疲れ様でした。週末となりましたので、チャートを1つ1つ眺めていきます。必ずチェックしておくべきであるデータ、見ておいた方が良いデータ、興味を引くデータ、あわせて73個のチャートを用意しました。今「自分がどこにいるのか」(どんなマーケット環境におかれているのか)を押さえておく事は、投資家にとって最重要です。長期投資家にとっても、短期投資家にとっても重要です。
 
投資にあたり必ず押さえておく最重要ポイントを、「毎週」の投資戦略会議のディスカッションの中から「Investment Outlook」としてまとめています。今マーケット/投資家自身がどこにいるのかの「Big Picture」を俯瞰し、実践者/実践経験者がグローバルマネーの視点で分かり易く解説します。株式投資でうまくやって行くための情報をドンドン書いていきます。マーケットやメディアで表面的に語られている内容はこうだけど、「本当はこういう話ですので、こう考えるべきです」という話をたくさん盛り込んでいきます。多少言い難いけど「本質的にはこうです」という話にもできる限り触れていきます。
 
 
新しく投資を始める方へ(既に御覧の方は、本編へお進み下さい)
 
※このパラグラフはInvestment Outlook創刊号(2023/12/29発刊)からのもので、創刊号の6%の分量です
※導入の説明として必要と考え再掲したもので、御了承頂ければ幸いです
※Investment Outlook創刊号を既にお読みの方は、直ぐ下に続く「投資戦略会議サマリー」へお進み下さいませ
 
投資を始めるにあたり、重要な3つのステップは以下の通りです。
①     正しい投資の基礎を学ぶ(同時並行で過去の成功/失敗ケース実例をドンドン学んでいくと、学びが最も速く効果的)
②     幾つかの個別企業の株式銘柄を候補としてリストアップし調査分析を開始する(時間は十分ある、今飛びつき買いをしない)
③     今マーケットがどこにいるかをよく知っておく(株式や投信など金融商品を買うのに適した好機を判断するために最も重要なので、マクロ環境について常に情報をアップデートしておく)
 
株価を形成する要素として、マクロ要因、ミクロ要因、その他の要因があります。そして、それらのウエイトはおおまかに、マクロ要因=6割、ミクロ要因=3割、その他=1割くらいであると覚えておけば良いでしょう。マクロ要因には、(金融政策を含む)金利や流動性など、そしてそれらの水準/規模と方向性などが含まれます。ミクロ要因には、企業業績の将来的な見通しをはじめ競争優位性を含む企業が内包する力などが含まれます。その他の要因では、株式や債券などの需給や地政学的要素などを考慮しています。
 
このうちウエイトで6割ほどを占めるマクロ要因は重要なのですが、各人がゼロから独自で研究するとなれば、途方もない時間がかかりますし、ちゃんとした理解に辿り着ける様になるのかも不明です。このたび創刊する「Investment Outlook」は、毎週末に開催される投資戦略会議から重要な部分を分かり易くサマリーとしてお伝えしていくものです。主要な視点は「グローバルマネーはマーケットをどう見ているか」となります(加えて、その時々の興味を引く業界や個別企業についても触れていきます)。これにより上述の「③今マーケットがどこにいるかを知っておく」にかかる(投資をはじめる方にとって大きな負担となる)時間と労力を大幅に低減できる事を目指します。マーケットの未来を予想してそれにベットする(賭ける)よりも、ハワードマークスがたびたび言及する様に、「今マーケットがどこにいるかをよくよく知ってから」「貴方が今どういう環境にいるか」を理解してから投資の判断に進む方が何倍も重要です。この投資レターは、主に中長期目線で投資する方を想定していますが、その時々のマーケット/マクロ環境を熟知しておく事は、実際は短期目線のトレーダーにもかなり重要であると思っています。
 
「取り敢えずは投資してみて勉強はそれからです」とか、「最初は誰でも損はするものですし、損をすると必死に勉強するものです」とかの声が聞こえてくるケースがありますが、お金と時価の無駄です。精神衛生上も宜しくありませんし、投資の最初に大損を経験し、「株式投資なんてもう嫌」になってしまうのは人生の大損です。素晴らしい会社(銘柄)を見つける事はもちろん重要ですが、それと同等に重要な「投資で成功する要件」は買い値に拘る事(割安な株価で買う)です。従って、足元は素晴らしい会社の株価は(極一部を除いて)どれもだいたいは割高なのは明らかですので、新NISAを契機に投資を始めようという方にとり非常にラッキーな事に、実際に投資に踏み切る前にお勉強する時間は十分に有ります。
 
ここから「本編」です→ =================================
 
週末チャート点検
まずは、最も重要な「S&P 500」のチャートです。今週(終わった週)は、1週間では0.03%上昇しました。

資料:Gold River

S&P 500をより短い期間(2023/10~)で見ておきます。今週(5/24に終わった週)は「オールタイムハイ更新」週でした。

資料:Stock Charts

陰のつつみ線が形成されました。高値圏で大陰線ができて、その前日の日足をつつんでいます。株価上昇から「下落への転換」示唆の可能性を考慮に入れておきたい所です。直近では4/4にありました。

資料:Gold River

昨年の夏にもありました。2023/7/27に「陰のつつみ線」が形成されていました。

資料:Gold River

VIXは4/19(金)に大陰線をつけた(以下の黒)後は、5週間に渡り「つるべ落とし」的に下落しました。5/23(木)の安値は、11.5までありました。

資料:Stock Charts

こちらはVIX「週足」ですが、コロナ後で12以下をつけたのは、今回と2023/12のみです。

資料:Stock Charts

エヌビデア「日足」です。5/22の好決算と「株式分割発表」を経て、飛びました。

資料:Stock Charts

エヌビデアは「週足」も見ておきます。

資料:Stock Charts

アップル「日足」です。自社株買い1100億㌦(史上最大)を発表した後の経過を見ておきます。

資料:Stock Charts

大型テックETF指数「MAGS(Roundhill Magnificent Seven ETF)」日足です。5/23にオールタイムハイです。

資料:Stock Charts

原油価格(WTI)日足です。4/12の長い上髭から下落継続でしたが、5/8、5/15、5/24に「下髭付き陽線」が出ました。

資料:Stock Charts

原油価格を長期(2000年~)で見ておきます。

資料:Gold River

銅「日足」です。5/20に「5.20㌦」のオールタイムハイをつけ、5/24は4.75㌦で週を終えました。

資料:Stock Charts

銅「週足」を見ると、随分と長い陰線となりました。

資料:Stock Charts

銅価格を2000年から見ます。「5.20㌦」のオールタイムハイをつけました。

資料:Gold River

銅については、以前から新規の鉱山(や鉱脈)の発見が乏しい事が指摘されていました。生産キャパシティを機敏に拡大するのは簡単ではない状況であるとの認識です。(再掲)

資料:S&P Market Intelligence、Gold River「X」

NASDAQ 100「日足」です。

資料:Stock Charts

NASDAQ 100「週足」です。5週連続の陽線となりました。

資料:Stock Charts

NASDAQ 100(青)は2021/11に一旦のピーク、2022/10に底をつけ、2024/5にオールタイムハイとなりました。

資料:Gold River

SOX(半導体株価指数)日足を見ます。3/8高値の5,217.83に対し、5/23高値で5,255.64をつけ高値を更新し、オールタイムハイとしました。エヌビデアの「決算と株式分割発表」を好感しました。

資料:Stock Charts

SOX「週足」です。4/19週の「陰線」の大きさは、2022年初めに付けた「陰線」を上回りました。それに対抗しての戻り5週間で、オールタイムハイです。

資料:Stock Charts

ラッセル2000と「日経平均ドル建て」の相関を見ておきます。

資料:Gold River

ここで「米国債利回り」(青線)を見ておきます。10年債利回りは4/25に4.702%で一旦のピークをつけ、5/24は4.467%で週を終えました。赤線は、債券ボラ(MOVE)です。

資料:Gold River

10年債利回りと2年債利回りのスプレッドです。同スプレッド(緑)は、2023年にはマイナス1%超えまで大きく「逆イールド」が進みました。その後マイナスが縮小して、4/24にはマイナス0.285%までつけました。5/24はマイナス0.481%でした。

資料:Gold River

実質金利とS&P 500です。ここでは「10年債利回り」から「BEI(Break Even Inflation、市場が予想する期待インフレ率)」を差し引いたものを「実質金利」(青線)としています。実質金利は4/25に2.28%をつけ、5/24は2.15%で終えています。実質金利は、4/10にCPIが発表されて以降は一貫して2.00%より上を維持しています。

資料:Gold River

ドル円の日足です。160円をつけてから介入で152円まで下落し、157円まで戻りました。

資料:minkab

日本の為替介入に関して、イエレン財務長官が以下の様に仰っている模様です。

資料:Bloomberg

ここで「円相場」です。主要通貨に対して、円安が進行しました。世界の資源価格が上昇し円が安くなれば、円建ての原材料価格は上昇します。賃金上昇の好循環がもたらす物価上昇基調とは違ったコストプッシュ型物価上昇になる可能性があります。足元の為替介入はその懸念の表れかと見ています。

資料:Gold River

S&P 500に戻ります。冒頭のシンプルな「S&P 500」チャートに、200日線からの乖離率を加えたものです。5/24の乖離率は11.46%です。直近で乖離率が最大になったのは3/21(FOMCの翌日)で、乖離率は14.04%でした。

資料:Gold River

S&P 500とSKEWの関係を見ておきます。青いタテ線は、SKEWが当面の高値をつけた時です。そのしばらく後に、S&P 500が高値をつけるケースが見られました。

資料:Gold River

SKEWが150以上でピークをつけた後、S&P 500がピークをつけた事例を以下にまとめました。以下の事例の範囲では、28~49営業日で株価がピークをつけて、大きめの調整に至る傾向がある様に見えます。

資料:Gold River

VIX先物について、「Non-Commercial」資金のネットポジションの推移を赤線(左軸)で示しました。青線はVIX現物(右軸)です。シカゴボードオプション取引所 (CBOE)子会社のCBOE先物取引所のデータを基にしています。毎週火曜日付けで出てくるので、最新データは5/21のものです。5/21のVIX先物の差引のショートポジション(赤線)は「-51392枚」でした。赤線が上に行くほど、ボラが高まり易くなる可能性があると見ています。

資料:Gold River

S&P 500に加えて、ナスダック100、ダウ工業株、ラッセル2000をプロットし、合計4本の株価を並べました。2021年秋冬の高値を100として指数化してあります。ラッセル2000(赤線)には、儲けを出していない会社が4割ほど有るとの事で、特に留意しています。

資料:Gold River

S&P 500、ダウ工業株、ドイツDAX、日経平均、日経平均ドル建て、の5チャートを2021年末=100として指数化しました。赤点線の「日経平均ドル建て」を見ると、ダウ工業株(青点線)やS&P 500(青実線)の戻りに追いつけず、ギャップが開いたままになっています。足元の円安は、日本株にマイナスとなっている可能性があります。

資料:Gold River

ダウ工業株、ドイツDAX、日経平均の1985年からの長期株価です。各月の月末終値データを掲載しています。「日足チャートのみ」を見ていると気が付かない事が見えて来ます。様々な好条件が重なって、株価の大きな上昇が起きた後である点に留意して下さい。「ここから買って」または「保有継続」で、本当に儲かるのか要検討です。

資料:Gold River

A4換算で42頁中の19頁まで、全73チャート中35チャートまで来ました。これ以降さらに重要かつ有効な情報が、チャートと共に続きます。知恵(投資についての正しいロジック)と経験値(正しい基礎をベースにした実践とその検証の経験の累積)を持つ人間が集まって、時間と労力をかけて作成しています。これより先を有料とさせて頂きますが、御理解頂ければ幸いです。宜しくお願いします。

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