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必要十分な答案を作成するには?Part2(同値変形)

 皆さんこんにちは!前回は必要十分性について雑談的に話したが、今回はさらに答案作成の質の向上に向けて同値変形について話していきたいと思う。

同値変形

 同値変形とは、⇔で表される式変形のことで、記号通り、右方向、左方向、両方の式変形が成立する。

例えば、x²-1=0 (x-1)(x+1)=0 x=1,-1 のように、x²-1=0  (x-1)(x+1)=0 が成立するし、(x-1)(x+1)=0 ⇒ x²-1=0 が成立するので、両矢印 "" で表せる。

具体例

まずは、次の方程式の解法について見てみよう。(pは実数)

同値変形1

これは正しいか?間違っているならどこがマズいか?


結論から言うと間違っている。既に第1行から見落としている。

第1行で(右辺)>0 であることから、2(1-p)>0 でなくてはならないからだ。従って、p<1の条件が、2行以降書き忘れている。

正しい書き方は以下の通り(同値記号込みで、”,” は ”かつ” という意味を表す)

同値変形2


注意すべき同値変形

(”かつ” で表わされる条件が、おまけのように見えて、実は非常に重要である。)

同値変形3

これらを知らなければ、平気で先ほどのような間違いをしてしまう。しかし、本人が合っていると思っても、自分で解けたはずが院試(学部入試も同様に)の採点側では『解けていない』ということになる。

他にも有名な同値変形は多数あるが、この4つに関しては、知らないと話にならない上に、いい加減な答案になりかねない。だから、院試で数学を受ける人でこの記事を見た人は確実に抑えよう。

ちなみに、自分が数学科に入学したときに、周りを見る限りこのことをしっかり意識しているどころかできていないがざらにいたのだ!

院試でも複雑で重たい式変形が登場することもあり(東大、京大、東工大は間違いないなく出る可能性がある)、このことを知っているかで差がつくことがある。(学部入試であれば、特に軌跡、領域、存在範囲の問題ならなおさら言うまでもない。)


次回は続きとして『同値変形による式や条件の処理の仕方』について扱う
それでは!by リッター

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