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殺人狂時代【1966年東宝、岡本喜八監督作品】何と自由か!

なかなか映画公開されず、日活から東宝に版権が移り、ひっそりと公開されたらしい。
マッドサイエンティストの溝呂木博士は、先鋭的な病棟に、精神病患者を収容している。そこへ、ナチスで同朋だったブルッケンマイヤー博士が訪ねてくる。溝呂木が組織する人口減少を目的とした大日本人口調節審議会に仕事依頼を検討しているという。試しに、ブルッケンハイマーは、電話帳から無作為に拾った男女3名の死体を3日内にさらすよう求める。初めの二人は、すぐに死体があがるが、三人目は、期限を過ぎても、死体があがらない。
三人目は、大学の犯罪心理学の講師、桔梗(仲代達矢)。水虫に悩む冴えない中年だが、自宅に上がり込んでいた刺客を、偶然にも返り討ちにする。
死体を届けに行った交番で、週刊ミステリの記者鶴巻(団令子)と知り合い、車泥棒の大友ビルと審議会の刺客と渡り合っていく。家に帰るが、刺客の死体はかき消えている。その中で、鶴巻が囚われ、二人は救出に向かう。
一方、ブルッケンマイヤーの言動に不審を感じた溝呂木は、ブルッケンマイヤーを拷問し、桔梗の体に埋め込まれているダイヤモンド、クレオパトラの涙を回収することが目的と聞き出す。

鶴巻が囚われているのは、富士山麓の自衛隊の演習地にあるトーチカの中で、その日の演習で砲撃されると聞き出す。二人は、幾多の危険をかいくぐってトーチカの中に入るが、そこには、人形が置かれ、溝呂木が、無線で無駄足だった旨を告げる。それでも、生還した二人は、溝呂木と対峙する。鶴巻は、精神病院の病棟に収容されていた。銃を持つ刺客を倒し、溝呂木は、スペイン式のナイフでの決闘による決着を提案する。桔梗は、溝呂木をねじ伏せるが、溝呂木の左手がすっぽり抜けて、マシンガンを仕込んだ左手が現れる。しかし、収容患者の抵抗で、溝呂木は、改めてねじ伏せられる。
車の中で、鶴巻と話し込む桔梗。鶴巻の口から、溝呂木との関係を打ち明けられ、桔梗の左肩に縫い込まれているダイヤモンドを狙っていると伝えられるが、造花に仕込んだ麻酔剤でやり過ごす。
後日、大友ビルの前に、桔梗が現れ、先日の大立ち回りは、実の弟が演じたものと伝える。こんどは、本当のダイヤモンドを探すと書き置きして、旅立ったという。

舞台も演出も、大掛かりで、ウルトラマンシリーズのようだが、今も色褪せない娯楽作品である。いいものを見せていただいた。

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