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一人勝手に回顧シリーズ#フランシス・F.コッポラ編(13)#ジャック/大人びた同級生

【映画のプロット】
▶︎ハロウィンの夜
ハロウィンの夜。仮装して、パーティーに、より集まった人は、踊りまくる。キャッツの仮装の女2人連れ。
"あのお腹。"
"過食症ね。"
"太ったのよ。"
"急に消えるなよ。"
ブリキ男が、魔女に言う。魔女は、大きなお腹を、さする。
"甲状腺の病気?"
"太っただけよ。"
魔女は、ダンスフロアを出て、腹の痛みを堪える。
"どうした?Honey. "
"早過ぎるわ。"
"手を貸してくれ。"
車で、病院に向かう。
"大丈夫。Take it easy. "
病院に着く。
"妊娠したばかりなのに。"
"頼む。救急患者だ。"
"先生を。"
"ベンファンティ先生は?"
ブリキ男は、金属探知ゲートで、引っかかる。
" Honey, その衣装よ。"
ブリキ男は、腕の覆いを取る。まだ、ブザーが鳴るが、無理矢理通る。
" No smoking. " 
"明日から、禁煙する。"
タバコの箱男は、ゲートに引っかかる。
"横を向いて、通って。"
"予定日は?"
"7か月も先だ。"
タバコの箱男は、つまづいて倒れながらも、前を追う。カレン・パウエル(ダイアン・レイン)は、手術台に乗る。
"ラマーズ法は?"
"これから、習おうかと。まだ2か月よ。"
"麻酔で、錯乱している。"
"打ってないわ。"
"どういう事? Soon. 変よ。"
"先生だ。"
"心配ないよ。落ち着いて。大丈夫。まだ、産まれやせんよ。"
"手を握って。"
"先日の診察では、まだ先だから、楽しみにまちなさいと。" 
"こんなの楽しくないわ。"
"超音波では、臨月です。"
"そんな馬鹿な。" 
"産道が、開いている。"
"いきんで。"
" Too soon. "
"いきんで。その調子。"
" Too soon. "
"もう一度、深呼吸。"
"息を吸って。"
"ご覧。立派な男の子だ。"
カレンは、赤ん坊を抱く。
"涙で、錆びるわよ。名前は、ジャックよ。"
"パウエル 男児"
ドクターの部屋。 
"入念に検査しました。とんでもなく、早産でしたからね。こちらは、リン先生。専門は、幼児の障害だ。" 
"お子さんの健康には、何ら問題はありません。外見は、いたって正常で、活発で、明るい坊やです。ただ、細胞が、通常の4倍の速さで、成長している。妊娠後、たった10週間なのに、子宮を出る用意が出来ていた。"
"生物の体内には、一生のリズムを刻む時計がある。でも、お子さんの体内にある時計は、普通よりも、早く進んでいるようだ。"
"健康なのね?"
"Absolutely. "
" I'm sorry. I don't understand. "
"初めて聞いた。"
"我々も、初めて知った。似た病気は、あります。"
"例えば、早老症とか。"
"ジャックの細胞分裂は、恐ろしく早い。"
"今後も、その速度で?"
"まだ、推論に過ぎませんが、坊やは、1年たつと、4歳の体格になるでしょう。恐らく、ジャックが、10歳になった時には。"
"もう、立派な大人だ。40歳の成人男性に見えるだろう。" 
" It's serious? "
▶︎10年後 
10年後。
"この家だ。こんな近所なのに、知らなかった。"
"信じられない。嘘だろ。"
"いる訳ないさ。" 
"10歳で、見た目は40歳だよ。"
子どもたちが、木に登り、ジャックの家を覗く。
"毛むくじゃらで、怪物みたいだ。映画に出て来るような奴。"
" Whitch movie? "
"ホラー映画だ。"
"あれね。僕も見た。"
"ママが見せないだろう?"
"なぜ、出て来ない?"
"オモチャとか、何でも持っているんだって。"
"同い年なら、なぜ、学校に来ない?"
" Because dangerous. 生徒が、怪我すると、困る。だから、出さない。"
"我々、トモダチ。"
"見えた?"
"何も。"
"毎日、家庭教師が来ている。"
ジャックの家。家庭教師。
"ジャック。勉強だよ。"
"我々、怖クナイ。"
 "最初は、ここの家のおじさんかと思った。"
"巨人だよ。髭も剃っているしさ。"
"巨人なんかいないよ。"
4人の子どもたちは、門の前に立つ。 
"突然変異?"
"おばさんが、薬を飲んで、5つ子が、できたけど、一つに固まって、出て来たのかも。"
"馬鹿。"
"あの部屋だよ。怪物だから、隠しているんだ。"
"学校にも、来れない。"
"きっと、食事の時以外は、鎖でつながれている。裏庭に、骨が、山積みとかね。"
"何も見えない。"
" Look. "
窓が、動く。手が出て、何かを投げつける。
子どもたちは、逃げる。
1人残った子は、目玉のボールを拾い上げる。
"ルイ。早く逃げろ。"
窓の隙間から、ジャック(ロビン・ウィリアムズ)は、一部始終を見ている。ジャックは、急に走り出し、こける。
"大丈夫か?怪我は?"
" Knee. "
"血は、出ていない。治してやろうな。噛めば治る。"
"やだよ。バイ菌が、入るよ。"
"じゃ、足を切るしかないぞ。鋸を。"
" No, no. "
引っ張ったズボンが、破ける。
"見えちゃった。 Sorry. " 
膝に、耳を当てる。
"どうだ?"
" Nothing. "
" OK. つま先は?"
"大丈夫。"
"これは?"
"くすぐったい。治った。"
"靴紐は、ちゃんと結べ。"
" Yeah. "
" OK? "
"忘れていた。 Sorry. "
勉強に戻る。
"何だっけな?"
" Histry. "
" Histry. OK.  So. アレキサンダー大王は、18歳までに、ギリシアの都市の大部分を制服していた。彼に、学問を教えたのは、アリストテレスだった。ジャック。聞いていたか?" 
"アリストテレス。"
" Where dose he live? "
" Book. "
"ジャックは?"
" Outside. "

家庭教師と両親。
"お宅の教育環境は、物質的には、万全です。"
"ええ。でも、あの子を学校にやるなんて、it's crazy. "
"ジャックが、人と違うからといって、社会から切り離しては。校長先生に、相談してみましょう。"
"でも、あの子は、大人の体よ。なじめないわ。たとえ親の私が頼んでも。"
"大変でしょう。だが、ハンディのある子どもは、皆、防衛本能が働くようになる。"
"ウッドラフ先生。ご厚意は、ありがたいけど、私も、主人も、散々辛い思いをしてきたの。あの子には、そんな思いをさせたくないわ。"
"ご覧なさい。あれは、子どもの目だ。ほかの子を見るあの目。"
ジャックの目の前で、蝶が羽化する。
"彼の人生は、我々より、短い。その人生を、十分に、楽しませて、あげないと。可哀想だ。"

家の中を、懐中電灯片手に、捜索するカレン。
"マルコ。"
"ポーロ。"
"見つけたぞ。"
扉を開けると、Tシャツを頭から被ったジャックが、驚かす。
" Touch me. "
2人は、きゃっきゃっ言いながら、家の中を走り回る。
"静かにしなさい。静かにしなさい。"
寝室のドアを開けると、ベッドの下に、足が見える。
"マルコ。"
"ポーロ。" 
カレンは、ベッドの下を覗く。
" Catch up. 鬼よ。"
ジャックは、起き上がろうとして、ベッドで額を打つ。
" Are you OK? "
" OK. "
"何でも、ママに話してね。先生が、心配していたわ。何なの?ママに話して。Tell me. "
"僕は、巨人なの?"
" No. Ofcourse not. どこで、そんな言葉を。" 
"だから、学校にも行けない。"
"違うわ。それには、別の理由があるの。"
"理由って?"
"後で、話すわ。"
" When? "
"もう寝る時間よ。歯磨きして、オシッコして。"
"おやすみ。"
カレンとブライアン。ベッドの中。
"ウッドラフは、分かっていないわ。"
"だったら、なぜ、家庭教師にしている?"
"学校に行きたがるだなんて、あの人のせいよ。" 
"家庭教師が、子どもに、学校へ行けという訳か。驚きだね。" 
"急に、学校なんか行かせたら、どうなると思う?子どもって残酷よ。眼鏡をかけてるだけで、からかわれるのに。180センチで、すね毛があるのに。"
ジャックが、寝室にやって来る。
" Mama, Dad. "
"ジャック、どうかしたの?大丈夫?"
"眠れない。怖い夢を見たの。一緒に、寝ていい?"
"いいよ。おいで。"
"スティンビー(ぬいぐるみ)も?"
" Sure. "
ジャックは、2人の間に入り、毛布を巻き取る。
"おやすみ。ジャック。"
"これで、学校へ?"
"適応するさ。心配なのは、世間の方だ。"
▶︎学校へ
朝。 
"ベイ・ブリッジ上りの車線は、スムーズですが、陸軍基地周辺から、渋滞。マリン郡では、霧が出ていますが、運転に支障は、ありません。Hey, リックのトークで、爽やかなお目覚めを。ベイ・エリアの朝、皆んな元気かな?5時の地震は、凄かった。マグニチュード3.2。僕のビックリ度は、10。"
ジャックは、ベッドから飛び起き、タンスの中を探す。タンスから、両手が見えるが、構わず閉める。
"僕は、元気。皆んな、今朝の予定は?"
"学校へ行く。"
"じゃあ、起きて。"
"起きた。"
"1日の始まりだ。"
"始まっている。" 
"急げ。"
"急いでいる。うるさいな。"
ラジオを消す。
父親が、髭を剃る。
"自分でやる。"
" Take easy. Take easy. ゆっくり。"
"パパ。"
顎を少し、切る。
"これを。"
" OK.OK. 後は、平気だ。"
"下で、待っているよ。Harry up. "
カレンは、お菓子を詰める。
3人で、家を出る。 
"どうだ?" 
"ばっちり。"
"子どもが、一杯だ。"
"嫌になったら、すぐに帰ってきて、いいよ。"
"分かった。"
"ナサニエル・ホーソーン小学校" 
"これ、取って。OK. Here we go. "
3人は、校舎に入る。
校長が、出迎える。
" Wellcome. Wellcome. Wellcome. Thank you. Mr&Mrs パウエル、ジャック君。よろしく。校長のマギーだ。君の事は、聞いている。"
"マグー先生。"
"マギー。君の教室を、見たいだろう?Yes? "
" Yes. "
"元気よく。"
" Yes. " 
"大きな声で。"
" Yes. "
" Follow me. "
"耳が、遠いの?"
"ジャック、学校は、どうかね?"
" It's cool. "
"そうだろ。素晴らしい所だ。楽しい所でも、ある。いい思い出を、作りたまえ。Wonderful teacheres. Wonderful people. 君も、その仲間入りだ。 Right here. 先生は、マルケス先生。"
"ボタン留めて。"
"きつい?"
"頑張って。" 
"やだ、恥ずかしいよ。"
"意地悪されたら、言いなさいね。ママが、やっつけてあげる。"
両親は、去る。
" Now, are you ready, ジャック?"
" Yes. " 
校長が、ドアをノックする。
"マルケス先生。 Excuse me. 新入生のパウエル君だ。5年生の担任のマルケス先生だよ。Come in, please. Don't be shy. Come here. Come in. "
ジャックは、おずおず教室に入る。靴紐が解けている。
" Oh, no way. "
"パパみたいだ。"
"ずっと毛深い。"
マルケス先生(ジェニファー・ロペス)が呼ぶ。
"さあ、いらっしゃい。皆に、紹介するわ。"
"ここは、楽しい所だよ。"
"  Everybody, ジャック・パウエル君よ。挨拶は?"
"よろしく、ジャック。"
"新しいお友達の事、色々知りたいわね。ジャックに、質問してみましょう。構わない?"
" I don't mind. "
"何か聞けよ。"
"やだよ。"
"ルイ。Anybody? 急に、大人しくなって。先生が、質問するわ。誕生日は、いつ?"
"9月12日。" 
"1902年のね。"
"静かに。Let me see. What kind of food just you hate? "
"ブロッコリー。おならが出る。"
"ブロッコリー嫌いな人、手を挙げて。"
半分くらいが、手を挙げる。"
"皆んなと、変わらないわね。一番、後ろの席へ。授業を始めましょう。"
"皆さん、それでは、巨人の。地理の本を。78ページ。カリフォルニアの地名の由来は、習ったわね。静かにして。最初は、メキシコの名前でした。征服者コルテスが、命名し、1542年、ある探検家の日記に、その名前が載っています。"
生徒は、ジャックを見ようと、振り返る。
"ヴィクター、前を見て。静かに。"
ジャックが、鞄を取ろうと手を伸ばし、横転しそうになる。机ごと、倒れる。"
"ジャック。Are you OK? 怪我はない?一人で立てる?"

カレンは、ジャックのアルバムを見返す。

" Are you OK, ジャック?"
" I'm OK. "
今度は、椅子が壊れて、尻もちをつく。生徒は、笑う。
ジャックは、間仕切りの狭い板の上を歩く。ほかの子が、ジャックを見る。 
"危ない。"
犬の鳴き真似で、小さい子を散らす。
"怖がりめ。"
ジャックの家を覗いていた子どもたち。
"あいつ、見てるよ。家を覗いていた事を、知っているんだ。"
一人が、目玉のボールを取り出す。ジャックが微笑む。
他クラスの生徒が、バスケットボールを投げ付ける。
"ボールを返せよ。"
"何だよ。下手くそめ。"
" You heard me. お前なんか、そっくり病のくせに。"
" What's that? "
"お前の口は、ケツそっくりの臭いだ。"
"何だと?"
"おかしくないね。"
"『は』と言えよ。"  
"は。"
"馬鹿。" 
"勝負しよう。"
"ぶちのめしてやる。"
"覚悟しろ。"
"何で、俺まで、やらされるんだ?"
女の子が、木の枝で、ジャックを突く。
" No. "  
"あなた、freak? ''
" No. "
"そう聞いたわ。"
"私が言ったの。毛深くて、眉毛もゲジゲジ。
"髪の毛も、薄い。"
" Oh no. Not freak. "
女の子が、また枝で、突く。
"言いつけるぞ。"
"10歳には、見えないわ。腕だって、毛深いし。"
"指にも毛が。"
"おじさんみたい。"
"髭、剃っていない?"
"ああ。そうだから。"
"10才の子が、髭剃らないもん。" 
"10歳の訳がないわ。こんなに毛深くて、大きくて。"
"デカいだけだ。"
"髪の毛、ないじゃない。"
"こんなにあるもの。"
"ここなんか、薄い。"
"君だって、目が沢山だ。"
"私たちと、二つしか、違わないんだって。"
"2年で、こうなる訳?信じられない。何さ。" 
また、木の枝で突こうとする。"
"よせ、言いつけるぞ。"
バスケットボールの試合は、クラスメイトのチームが、劣勢。コートを飛び出したボールが、ジャックの足元に転がる。
"投げてよ。"
"早く。"
" Throw over. "
ジャックは、ボールを拾う。
"もうそのボールに触らない。うつるから。"
"俺も、嫌だ。"
"バスケ、やめよう。"
"バイ菌だぞ。"
ベルが鳴り、皆、校舎に引き返す。

"ジャック。チリを作った話。"
ジャックは、2階から、段ボール箱に入って、階段を降りる。
"欲しくない。"
"美味しいわよ。食べてみて。"
"要らない。"
"じゃ、デザートは?"
"何?" 
"当ててみて。匂う?" 
"箱の中だから。"
"チョコレートプディング。Your favorite. "
"もう違う。"  
"ほかほかよ。まだ湯気が立っている。"
"要らない。"
ブライアンが、戻って来る。 
"深刻よ。"
"どうした?"
"友達に、陰口叩かれて、後ろ指指されて。初めての経験よ。"
"カレン。" 
"ジャック。"
ジャックは、庭で、自転車にまたがっている。
"ママがチリを。"
"ママは、嫌いだろ。"
"そうだな。大人は、自分が嫌いでも、子どもを慰めるために作る。"
"話してご覧。"
自転車は、道に出る。
"初めて、自転車に乗った時のこと、覚えている?"
" Oh yeah. "
"何度も落ちたのに、人にぶつかったり、乗りこなすのに、何日もかかっただろう。今では、立派に乗っている。学校も同じだ。別に、邪魔する気はない。用があったら、呼べよ。"
"バスケのリング、付けられる?"
" Yeah. "

学校の昼休み。ジャックは、遊具の狭い管の中に、入り込む。
"すぐ、戻るわ。"
"ジャック。How are you doing? "
"マルケス先生。"
"熊のグミ?赤いのくれない?"
ジャックは、袋の口を、マルケス先生に向ける。
"学校は、どう?"
"♪先生とジャックが木の上で キスしている"
" Girls. " 
"ジャック。何かあったら、先生に言ってね。ご馳走様。"
"フィービー&ジェーン。いらっしゃい。早く。担任の先生の所へ。"
"ジェーンが。" 
"駄目よ。"
他クラスの5人組。 
"やっつけよう。"
"勝負しよう。10点取った方が勝ち。"
"俺は、やめとくよ。"
"あいつを誘おう。"
"よせよ。"
"馬鹿、駄目だよ。"
"俺の勝手だ。負けるのが、怖いのか?"
"好きにしろ。負けやしないさ。" 
"そうだよ。We never lose. "
"おい、そこのデカいの。バスケは?"
" Me? "
"後ろの40男だよ。" 
"バスケ、できるか?"
" Yeah. パパとやってる。"
"マジかよ。" 
"デカい方がいい。"
ジャックは、試合に加わる。 
"始めよう。" 
"そっちのボールだ。前に、負けたから。"
"お菓子くれよ。" 
"楽しみだな。" 
"そっちに寄れよ。"
"放課後、デートしない?"
"リングの下に立ってろ。パスするから。"
"始めよう。"
"ゴール下で、手を上げて。"
"ありゃ、ゴジラだな。ブロックしろ。"
いきなり、ボールを奪われ、ジャックの頭越しに、シュートを決められる。
"足を動かす。"
また脇から、シュートを決められる。
"役立たず。"
"止めろよ。"
"ブロックしろ。"
ジャックは、相手のシュートを奪い、ゴールに投げ入れる。
"いいぞ。"
"ドジめ。"
"マリオ、奴に付け。"  
"よこせ。"
"攻めて来いよ。"
"ディフェンス、ディフェンス。"
攻めて来る相手を押し倒し、ボールを奪い、ゴールに投げ込む。
"ずるいぞ。"
"よこせよ。マークしろ。"
"楽勝だ。"
"攻めて来い。"
ジャックは、ゴール下を離れ、前に出て、ボールを奪い、シュートを放つ。
マルケス先生も、喜ぶ。
"負け犬。"
ゴール前のもみ合いから、ボールを奪い、一旦、パスを回して、最後は自分で決める。コートに、ボールを叩きつけて、そのままゴールへ。ジャックは、歓喜のダンスを踊る。
"ざまあみろ。"
団子になって、ボールを奪い合い、最後は、シュートを決める。

"ノートを出して。宿題よ。真面目な課題ですからね。作文を書いてほしいの。大人になったら、何になりたいか。必ず理由を付けてね。文法やスペルに、注意してね。締め切りは、学期の最後。日付を書いてね。ジョージも。"
"婦人科の医者になる。" 
"ちゃんと、理由も書いて。"
"先生のためです。"
"よく考えてね。成績に影響するわ。"
"黒板の職業を参考にしてみたら。"
"大人になったら、何になりたい?"
ジャックは、ノートに書きつける。
"バスケ、上手だったわ。ナイス・シュート。"
"一夜漬けは駄目よ。早めに、取り掛かって。"
放課後。
" Tree house の新しい設計図が出来た。"
"やっと、金曜だ。" 
"面接の相手は?" 
"ルイのお母さん。"
" Play Boy は、ないよ。"
"ジョージが、新しいgirl friendと。"
"後で、tree houseで。"
"遅いな。ここで、これ以上、待っていても。中で、待っていよう。"
ルイが、ジャックに、礼を言う。
"さっきは、助かったよ。"
"楽しかったよ。"
"頼みがあるんだ。"
"何だ?"
" Follow me. 今日、ママが、校長先生に会いに来る。校長先生に化けて。"
" What? "
"本物に会わせると、ちょっとまずいんだ。" 
"どうして?"
"3年から、宿題出していない。"
"犬に食われた?"
"まあね。ママだ。You got do it. "
"できない。嫌だ。年が違うよ。"
少し、派手めの母親が、車を降りて、やって来る。
"お店の休憩が、10分しかないの。すぐ、戻らなきゃ。Hello. 校長先生は?"
"パウエル校長先生だ。新しく赴任してきた。話してある。"
"どうも、よろしく。"
ジャックと握手する。
" My name is ドロレス。DDと呼んで。マギー先生は、どうしたの?"
"知らない。ご存知ですか?"
"下痢です。"
"下痢?"
"吐いちゃって。お腹が、ピーピーになった。"
"何だか、ひどそうね。"
"盲腸で、入院しちゃった。"
"盲腸?お気の毒に。ムース、くすねてきたわ。Honey, 先生と話があるから、あっちで食べてて。"
"ここにいる。"
"ママを困らせないの。早く行って。ご覧のとおり、聞き分けのない子なんです。子どもは、皆んな、そうかしら?"
" What did you say? "
"子どもは、聞き分けがない。"
"そうですね。" 
"でしょう?言ってみれば、男もそうだけど。お宅の奥様も、嘆いていない?ご結婚は?"
"結婚?していない。"
"私は、離婚したの。あの子、父親がいないせいか、いつもピリピリして。"
"唐辛子?"  
"女の子に、興味を持つ年頃でしょう?ベッドの下に、ポルノ雑誌が。一体、どうしたらいいかしら?" 
" Tough age. 僕も、よく分かる。というか、よく覚えている。Tough age. "
"それで、あの子は?去年は、成績が下がって。"
"ルイは、よくやっている。勉強の方も。"
" Really? "
" Really.  Really. とても。ルイは、この学校で、一番頭のいい子だ。僕が会った中で、一番だ。"
" Oh my God. そんな事、言われたの初めて。嬉しいわ。信じられないくらい。きっと、この学校で、楽しくやっているのね。ここに移って来て、よかったわ。よければ、今度、お昼でも一緒に。あの子の事とか、色々話したいわ。どう?"
タバコをくわえ、ジャックに、タバコを勧める。
ジャックは、くわえたタバコを取り、二つに折る。
"禁煙派?" 
"体に悪い。" 
"悪い事しちゃ、いけない?"
"また始まった。"
ルイが、嫌な顔をする。
"それで、お昼の話は、どうなったの?" 
"お昼は、ママが作ってくれるから。"
"早く、乳離れしないと、駄目よ。"
ルイが、やって来る。
"あんたは、いい子だって。"
" I told you. "
"直接聞くまで、信じられなくて。先生に、勤務先の電話番号を。ルイがどうしているか、教えてくださいね。いつでも電話を。" 
"ママが、マッチに触るなって。"
"お母様と同居?"
"夜は。"
"そうなの。兎に角、電話してね。話し合いましょう。メモリーズって店、よく行くのよ。勤務先にいなければ、そこに。私たちみたいな大人の行く店。お酒を飲んで、くつろぐ場所よ。戻らなきゃ、クビだわ。失礼します。力が強いのね。男らしいわ。鍵持っている?じゃ、後で。"
母親は、車で去る。
"助かった。"
"ほんと?"
"上手かったよ。"
" Yeah. " 
" I owe you.  Sorry うちのママ、すぐ口説くんだ。" 
"いいさ。"
"週末に会おう。上げる。"
半分食べたムースを差し出す。 
ジャックは、サッカー場を横切り、走って家に帰る。
"ママ。ただ今。" 
"ジャック、どこ?"
ブライアンは、野外で、巨大なニンジンのオブジェにブロンド娘たちを配して、写真を撮っている。
" Phone. "  
" OK. Yeah. "
"ジャックと代わるわ。"
" Dad, 今日ね、皆んなとバスケした。デカいからじゃない。上手いから。1,000点取った。嘘だよ。100点。本当は、14点だけど。こをな風にさ。"
軽くジャンプして、ゴールに叩き込む。
"友達ができた。ルイだ。その子のママが、マッチくれた。"
" OK. Slow down. "
"ポルノ持っているって、何のこと?校長先生の振りもした。great homework が、出たんだよ。先生が、グミ食べて、nice と言った。グミじゃない。シュートの事だ。バスケが上手って。先生に褒められちゃった。What are you doing? "
"広告用の写真を撮っている。ニンジン協会に頼まれたやつでね。"
'' That's really boring. もう切るよ。オシッコだ。パパ、抱っこはやめてね。友達がいると、恥ずかしい。OK.  See you. ウンチが出たら、マッチで火を。"
"ママを。"
"ブライアン。コードが絡まって。"
" You OK? 大丈夫?"
ジャックが、台所で、興奮して、歩き回り、ものを叩いて落とす。 
"興奮しているの。"
ルイが、家の呼び鈴を押す。
"ジャックのお母さん。ジャック。" 
ジャックの叫び声が、聞こえる。ヒーローの仮面を被り、コスチュームをまとったカレンが現れる。
"お母さんですか?ジャックは?"
" I'm Mrs. パウエル。あなたは?" 
"ルイ・デュランティ。"
片手を差し出す。
" Nice to meet you. 学校の友達です。僕らの所に、泊まりに来ないかと思って。駄目ですか?"
"そうね。もう予定があるから。ジャック。"
"行って来る。" 
ジャックは、慌てて出掛ける。 
"気をつけてね。夜更かしは、駄目よ。"
"分かってる。"
遠く、自転車を漕ぎながら、ジャックが答える。
ルイとジャック。
" So, how fast you glow? "
"君らの4倍。"
"猫みたいに?"
"まあね。20歳で、おじいさんだ。"
"20歳までが、最高なんだよ。それからは、下り坂だって。"
" Like this? "
"そうさ。"
Tree house.
"自分たちで、作ったの?"
" Yeah. "
"時間かかったろ?"
"紹介するからね。"
" Is it safe? "
"安全だよ。"
" Really?"
"心配ないよ。言うとおりにして。"
"嫌われないかな?"
"友達だから、平気だよ。"
上の居住スペースで、クラスメイトらが、くつろぐ。
"ルイ。" 
"ジャックも誘った。"
皆の顔が、強ばる。
"あのfreak を。"
" freak と違うよ。"
"そう言ったくせに。"
"間違いだ。いい奴だよ。バスケもできる。あいつには、借りもあるし、見ろよ。これ、買って来た。"
PENTHOUSEを見せる。 
"あいつが?No way. "
"店に入って、平気な顔で、買って来たぜ。"
"頼れる奴だ。"
"凄いな。"
" freak になりたいよ。"
"そのfreak ってのよせよ。ジャックを仲間にしよう。追い返したら、こいつも消えちゃうぜ。あばよ。"
"分かったよ。だけど、変な事したら、追い出すぞ。"
"待って。この家、70キロをオーバーすると、壊れる。"
" PENT HOUSEのためだ。"
"呼ぶよ。"
ジャックが、上り口から、顔を出す。
"ジャックだ。" 
"潰される。"
" Sorry. " 
" TVが。"
"壊すなよ。"
ジャックは、壁に立てかけた物に、触れ、部屋を散らかす。動く度に、部屋が散らかる。
"座れよ。"
ジャックは、勢いを付けて、座り込む。ハウスが揺れる。
"この家、まだ、壊してほしくないんだ。"
"あの雑誌、買って来たの?"
" Yes. Buy more times. "
" HOSTLERも買える?" 
"ああ。"
"スワンクは?"
"何だって買える。大人しか読めないような雑誌をね。"
"凄いや。IDカードを見せろって言われない?"
"髭剃らなきゃ、50歳に見えるもん。"
"これ、見てもいい?"
"勿論。"
" You shave, ジャック?"
"4歳の時から。" 
"羨ましいな。僕にも、生えてる?髭みたいな奴。"
"ここには、ある。これ、髭だよ。"
"山羊みたいなあご髭が、いい。"
"山羊髭。"
"すげえ。"
"すげぇだろ。"  
"エディ、見ろよ。"
皆で、PENT HOUSEを見る。 
"ママもこうかな?"
"まさか、モデルだけだ。"
" Special. " 
"特別な場所から来る。" 
"ここ、どこ?" 
" Great. これから何するの?"
"好きな事を。"
"ジャック、勃起は?You know? erect だ。"
"クリスマスに欲しい。"
皆、笑う。
"男らしいのを、1発かませよ。"
"待って。今のは、咳払いだ。Down below. "
ジャックが、おならをする。歓声が上がる。
"パンツが裂けそうだ。"
"もう1発。"
"缶に。ロケット砲だ。"
"悪霊よ、出て来い。デカかった。"
"地球も揺れている。屁度7.5だ。"
"屁王だ。"
"嗅げよ。強烈だろ?"
"毒ガスみたいに、強烈だ。"
"ガス発射。"
"着火する。"
"電気を消して。"
"開けて。"
爆音が上がる。 
ブライアンが、空のジャックの部屋を覗く。
"ジャック。"
" It's me. "
カレンが、ダンボール箱の中に、入っている。
"支度は、まだか?"
"笑わないで。"
ブライアンも、ダンボールの中に入る。
"よく、この中でお話するの。"
"10歳の小僧どもに、嫉妬しているのかい?僕がいるだろ。子育てとは、こんなものだ。産んで、服を着せ、食べさせ、でも、teenager になると、話もしてくれなくなる。"
" I know. 外泊させるのは、初めてよ。" 
"僕らが、2人きりになるのも、初めてだ。ベッドの下のドタ靴も、僕のだけだな。"
キスする。
"あの子が、心配よ。"
"もう1発行くぞ。"
"もっと入れろ。蛆虫も。"
鍋に、色々突っ込む。
"オナラ・ジュース。"
"何だ、それ。sardine. "
"うまいぜ。"  
" I can't do it. そんなの入れるな。"
"食え、食え、食え。"
"虫なんて食えないよ。No, no, no. こんなもの。"
ジャックは、鍋の中身を、手掴みで、口に入れる。
"吐くぞ。"
"やばい。"
ジャックは、飲み下す。
"美味かった。"
クラス写真を撮影。
女の子が、tree houseの外から呼ぶ。
"ジャック。ルイ。上がっていい?中見せて。"
"片付けるから、待ってよ。"
"いいって。"
"見せないわよ。"
"今の聞いたでしょ?"
"片付けるなんて、嘘に決まっている。"
"今に分かるわよ。"
少年たちが、現れ、水の入った風船を投げる。
"女は、立ち入り禁止だ。"
ハロウィンの夜。
ジャックは、スーパーマンの格好し、友達と、外を歩く。 
"エディは、殺人ドクター?"
" Yeah. "
ジャックは、店で、お菓子を買う。
"ペパーミント、ポンポン、パワー・バー、ペッツ、ピーナッツ。PENT HOUSE。"
" OK. PENT HOUSEが、1冊。"
友達は、店の外から、見ている。
"獲物を手に入れた。"
トランシーバーで、報告する。
" Hope の写真は?Pが、付く。"
tree house. 
"友達を連れて来た。OK? "
口笛を吹く。
"ウッドラフ先生。"
"君も、10歳?"
"女房は、そう言うよ。違う。私は、ただの頑固親父だ。"
"この家の設計は。"
" What? "
"あんまり重くなると。"
床がきしむ。
"進んでるね。君らは、葉巻を吸っているのか?違ったな。"
"いいtuter なの?" 
"吹聴する訳じゃないが。"
"どうぞ、遠慮なく。逆噴射を。" 
" What? "
"オナラだよ。"
"やめた方がいい。私のは、凄いんだ。"
"オナラのtuterでしょ?" 
"家族が、皆んな逃げるよ。" 
"ジャックより、凄い?"
"先生だからね。"
子どもたちは、また鍋に、無茶苦茶に、食べ物を入れ、混ぜる。
"もういい。"
"駄目だ。"
"タバスコも。"
"チキンみたいだよ。" 
"君も、これを?"
ジャックは、うなずく。
"儀式だ。"
"本当に食った?"
"食え、食え、食え。"
"友よ。さらば。"
ウッドラフは、鍋の中身を、口に入れる。食べ切る。 
"入会だ。"
" Thank you, so mutch. "
"♪捕まっちゃうよ。" 
"ダサい歌。"
"そんな事ない。"
ウッドラフは、歌い続ける。
"やっぱり、ダサい。"
"皆んなで。"
"♪講堂で タバコ吸ってるの チャーリー・ブラウン?
 馬鹿みたい チャーリー・ブラウン
 捕まっちゃうよ 見ててご覧
 どうして 皆んな 僕をいじめるの?
 落書きしたのは 誰?
 廊下にたむろしているのは?
 紙クズ投げるのは?
 誰だ 僕 そう君 "
"危ない。重量ぎりぎりなんだよ。"
ハウスが軋み始める。  
"じっとして。動くな。"
ハウスは、下が支えきれなくなり、上の居住スペースが、崩落する。ロープが、切れて、更に落下して、ばらばらになる。
"じっとして。"
"だから、言ったろ。"
"死ぬとこだ。"
"どうして、皆んな、僕に乗っかるの?"

ジャックの家。
ジャックは、髪にブラシをかける。抜け毛が、ごっそりブラシに付く。
"ジャック。もう8時15分よ。急いで。"
髪の毛を気にする。
クラスでは、課題の作文を、生徒が読み上げる。
"私は、28になったら、結婚します。それより早い結婚は、離婚率が高いからです。28歳まで待って、同い年の男性と結婚すれば、幸せになれると思います。" 
ジャックは、ノートに、28を4倍し、答えの112yearsを、丸く囲む。
"大人になったら、何になりたい?Alive. "
ベルが鳴る。
"ジャック。どうかした?"
" Nothing. "
" Let's go. " 
"先生に質問がある。"
"待とうか?"
"階段の下でね。"
" Good luck. "
"色男。"
マルケス先生。
" See you tomorrow. "
"ジャック。まだいたの?ジャック。You feel OK?
 Everything all right? "
先生に、グミの袋を渡す。
"お好きでしょ?赤いのだけ、取っといた。時間がかかったけど。"
"どうもありがとう。Thank you. "
"僕って、nice guy? "
"ええ。とても親切だわ。"
"先生。考えたんだけど、maybe 今度、僕とダンスに行きませんか?It's really really fun. "
"ジャッキー。"
"ママが、送ってくれる。"
"私は、ずっと年上なのよ。"
"だから、デートしたい。同い年の女の子と一緒だと、老けてみえる。先生なら、平気だ。"
ジャックは、キスする。
"ジャッキー。あなたはね、ここが若いの。確かに、私は、クラスの女の子より、見た目は近いけど。"
"何時に、迎えに行く?"
"あなたは、私の生徒なのよ。私は、先生。一緒に、ダンスには行けないわ。Can you understand? "
" Please. "
" No. I'm sorry, honey. 駄目なのよ。Do you understand? 泣かないで。"
"もういい。"
"ジャック。Wait. ジャック、Come back. Talk. "
"嫌だ。"
"誤解しないで。"
ジャックは、胸が締まり、階段を転げ落ちる。
ルイが、駆け寄る。
"ジャック。" 
"痛いよ。" 
"誰か来て。助けて。"
"どこか、変だ。"
" Somebody. Help. 大変だ。先生、ジャックが、怪我した。"
カレン夫妻が、病院に駆けつける。
"集中治療室は?"
"左の階段を上がって。"
"精神的なストレスから、来たものです。"
"心臓発作では?"
" Not exactly. 一種の動脈硬化や狭心症ですが、ジャックのstuation はuniqueです。"
"心臓よ。"
"大丈夫?"
"ご両親が、いらしたわ。待っててね。"
"ご褒美は?"
"余命が尽きつつある。年を取る速度が、加速しているのです。体がもたない。我々には、些細なことも、彼には堪えるのです。"
月が昇る。蝶が、窓辺で羽ばたく。ジャックは、蝶を手に取る。 
"どうした。"
蝶は、動かなくなった。
▶︎再び元の生活に
カレンが、声を掛ける。
"気分はどう?ジャッキー。"
"いいよ。"
"ルイが、心配して、電話して来たの。明日、連絡してね。You need a rest. "
"寝たくない。平気だよ。"
"あなたに。"
"プレゼント?"
ジャグリング用のボールが出て来る。
" Honey. また倒れたら、困るわ。"
"僕も。"
"学校に行く前の生活に、戻りましょう。"
"嫌だ。"
"楽しかったでしょ。"
" No. No. 楽しくなかった。"
"でも、それしかないの。"
"友達は?ルイやジョージやジョン・ジョンは? "
"遊びに来てくれるわ。先生も。"
"僕、友達と遊びたい。外で。" 
"駄目よ。"
"お願い。"
"困らせないで。"
" Com'on. "
" Remember, 風が吹く時は、コートのボタンを締めて。気をつけてね。You belong to me. "
" No, I don't. Dad. "
ジャックは、叫びながら、部屋を飛び出す。
" Dad. "
庭で憩う父親のそばに行く。
"家に閉じ込めないで。学校に行かせて。お願いだから。寂しいよ。お願い。行かせて。"
" OK, OK. "
" Please. Please. "
"ジャッキー。My boy. "
ジャックをハグし、肩を叩く。
" Please. "
"あの子が、転んだり、怪我をするのを、怖がってばかりはいられない。出産もだ。子どもを産むのを、怖がっては駄目だ。"
"産めないわ。"
"そんな事は、ない。"
ジャックは、ルイの母親から貰ったマッチ箱を見つめる。
"だって、次の子も。"
"それは、誰にも、予測がつかないよ。10年前、ジャックが産まれた時は、何人も子どもを作る筈だった。"
"その話、今はやめましょ。"
"いつか、話さなきゃならない。"
雨の夜。"メモリーズ"。
"いい自転車だな。"
男が、えづく。
"飲めば、治るさ。"
"自転車、見ててやろう。"
ジャックは、店に入る。客とぶつかる。
"気をつけやがれ。"
"馬鹿。"
"そしたら、彼が、世界で1番短いジョークを。こういうやつさ。トントン。"
"それだけか?" 
"笑えるか?"
水槽に、人魚姿のルイのママが見える。ジャックは、マスタードの小袋を鷲掴みする。人のつまみも、こっそりくすねる。
"男が、綿棒をくれと言って、入って来た。ないと言うと、男は、カンカン。"
ジャックは、カウンターに、つまみを広げる。
"ドラッグストアじゃない。"
"いいね。"
バーテンが、顎をしゃくる。ジャックは、愛想を打つ。
" What, what do you want? "
"シャーリー・テンプルとマルシアーノ・チェリー。"
"マラスキーノ。"
"そう言ったよ。"
"マドンナにしろよ。"
隣の客が、口を挟む。
"もうチェリー(処女)じゃないが。彼にも、これを。俺は、ポーリーだ。"
" My name is ジャック。"
"乾杯。飲めよ。君の瞳に乾杯だ。キッド。"
" No kid. "
" All right. "
ジャックは、酒を噴き出す。
"鼻の穴の掃除ができたな。"
"彼女が、お仕置きよと、言うんだ。お仕置きだとさ。"
"悪い子なんだね。"
"そうとも。いけない子だ。"
"何をしたの?"
"次から次に。結局、しぼんでしまってね。"
"風船が?"
"生まれた日のまんまの格好で、ただ、寝てるだけ。"
" Your birthday? "
"もう悔しくて、情けなくってさ。経験あるか?"
"何度も。"
"そうか。そいつは、気の毒だな。慰めようもない。結婚は?"
ジャックは、首を振る。
" Yeah. 幸せだな。独身で、通せよ。俺なんか、浮気がばれて、家を追い出された。戻ってなんか、やるもんか。変化ってもんが、必要だ。それが、人生だからな。ほんと、神様ってのは残酷だ。まず、髪の毛が減る。その毛が、背中に生えて来る。鼻毛が伸びる。"
"耳の毛も。"
"なぜだろうな。眉毛もふさふさ。"
"頭に毛のないゴリラだ。まるで、怪物だ。"
ルイの母親が、現れ、ゆっくりジャックに、近づく。
"やがて、死んで、土に埋もれる。"
ポーリーは、ドロレスを見つめる。
"悲劇のヒロインだ。"
"知ってる。"
"旦那が、逃げちまってよ。子どもと一緒に、置き去りだ。締まった尻をしているのに。"
ドロレスは、客に、愛想を振りまく。ジャックが、近寄る。肩を叩く。
"パウエル校長先生。驚いたわ。ここで、お会いできるなんて、感激よ。信じられない。"
"知っている人に、会えて、嬉しい。"
"まあ、優しい事。お元気?本当に、驚きね。"
" Me too. "
"よく、ああやって、マッチを人に渡すのよ。楽しそうね。踊らない?"
ジャックは、ドロレスの手を取り、ダンスホールに歩く。
"男らしいのね。"
2人は、踊る。 
" I like you. 私の知っている男たちとは、違うわ。うちのルイも、あなたが、好き。人を見る目があるの。誰に、似たのかしら。私のこれまでの男たちは、失格だったわ。男っぽいタイプは。"
ジャックは、ほかのカップルを見て、尻に手を伸ばす。
"あら。あなたって、とても素敵。"
キスする。
バーテンもポーリーも、意外そうに見ている。
またキスするが、ジャックは、身を離す。
"どうかした?"
"帰らなきゃ。"
" Why? "
"ルイのママだ。"
"そこが、いいのよ。私は、ルイのママ。あなたは、ルイの校長先生。"
ジャックは、また後ずさって、テーブルにぶつかる。グラスが、落ちて割れる。
"何しやがる?貴様。"
"これで、2度目だぞ。"
ジャックは、かわす。
"おい、逃げるな。ちゃんと謝れ。その程度で、済むと思うか?"
" Sorry. 謝っただろ。そっちこそ神経過敏だ。"
"利口ぶって。"
"勉強は、よくできるんだ。"
"こいつを勉強しな。My face. "
ドロレスが、割って入る。
"手を出さないでよ。行きましょう。"
"女に、かばってもらうのか?"
"あんたは、そっくり病だ。"
" What's that? "
"その口、ケツそっくりの臭いだ。"
"ルイの口癖じゃない。"
"負け犬め。"
"『は』と言えよ。" 
" What? "
" Loser. 負け犬だ。"
"何言ってるの。よしなさい。"
"貴様は、son of the bitch. "
"使っちゃいけないんだぞ。そんな言葉。怒られても、知らないぞ。"
"笑わせるな。"
ジャックを殴りつける。ポーリーが、助け、ほかで乱闘が始まる。ポーリーのカツラがめくれて、目の前に垂れる。
"ポーリー。"
"分かってる。毎度の事さ。"
ジャックは、警察で、写真を撮られる。
"床の印の所に立って。カメラを見て、プレートを上に。右を向いて。"
留置場に入る。
"ジャック・パウエル。保釈だ。Com'on. 所持品を返す。図書館のカード、ポケットナイフ、スパイダーマンの時計、お菓子。"
"ポグは?メンコ。"  
警官が、ポケットから取り出す。
"ママは?"
ドロレスが、様子を見に来る。
"先生、大丈夫ですか?"
"あばよ。覚えてろよ。"
相手は、まだ留置されている。
"校長先生を逮捕するなんて、馬鹿よ。"
ドロレスは、ジャックを車で、送る。
"今夜の事。"
" That's OK. ルイと同じ目をして。若々しいわ。目だけ、不思議ね。どんな化粧品使ってるの?少し、くれない?長い夜だったわ。もう、馬車から出て。おやすみ。"
" Thank you for taking me to home. "
ドロレスは、ジャックにキスする。ジャックは、雨の中、家まで、とぼとぼ歩く。

ウッドラフが、ジャックの家にやって来る。家の前に、仲間がたむろしている。
" Tree houseは?"
"ぐっちゃぐちゃだ。"
"ジャックと遊びたくて。"
カレンが、出て来る。
"まだ疲れて、眠っているの。来た事を、伝えるわ。"
"ほら、タッチ。ジャックに届ける。"
"じゃあね。"
" Thank you coming. "
"もう2週間半も、部屋に篭りきり。悩んでるの。生命のはかなさを知って。"
" You know. 私が行っても、解決には、ならん。学校に行かせては?"
"駄目よ。悩みの元は、学校ですもの。また倒れたら、大変。" 
"ジャック。先生よ。"
ドアをノックする。
"ウッドラフ先生が、見えたわ。"
ドアを開ける。ジャックは、ベッドにぽつねんと、腰掛けている。髭は伸び放題。
"勉強したくないんだね?"
"僕には、役に立たない。"
"そうじゃない。勉強は、人生を楽しくするためのものだ。"
"どうでもいい。"
給食の時間。
" He is sick? "
"違うと思うけど。"
"じゃ、何だよ?"
"何だよ?年を取っている。"
" Is he back? 会いたいな。"
" 俺も。"" So do I. ""僕らもだ。"
ウッドラフとジャック。
" What are you doing? "
" Go home. "
"また来る?" 
"これは、君に。"
"辞めないで。"
"私が辞めるんじゃない。生徒を失ったんだ。なぜ、子どもに教えていると、思う?大人である事に、縛られずに済むからだ。人生には、ほかにも大事なものがある事を、思い出せるからな。自転車に乗ったり、木の上で、遊んだり、綺麗な靴で、水溜りに入ったり、中でも、君は、特別な生徒だった。最近まで、君は、理想の生徒だった。ひときわ、美しい光を放つ流れ星だった。 Shooting starを見た事は?"
ジャックは、首を振る。 
"素晴らしいよ。すぐに、消えてしまうが。空にある間は、輝いている。あれほど、美しいものはない。あまりの美しさに、他の星は、立ち止まって、and watch. なかなか見られない。"
"なぜ?"
"滅多にないからだ。I saw one. この目で。"
"僕は、regular starになりたい。"
"ジャック。君は、regular starになれない。君は、輝いている。"
ウッドラフは、出て行く。 
"先生。"
ルイは、ジャックの部屋を見上げる。
ルイは、机に向かう。クラスの写真を手に取る。
"閃いた。"
ルイが、カレンを呼ぶ。 
" Mrs.パウエル。Hey, Mrs.パウエル。ジャックmother. ジャックmother. Mrs.パウエル。"
やっと、カレンが起きて来る。
"ジャックいる?"
"ごめんなさい。遊べないの。Try again. A couple of days. "
ジャックは、部屋から見ている。
ほかの子がやって来る。
"ジャックのお母さん。""おばさん。"
"ジャックは?"
"駄目なの。"
悔しそうに、帰って行く。
"早くよくなって"
女の子2人連れが、やって来る。
"ジャックのmother. ジャックと遊べる?"
"遊びたくないって。"
"顔が見たいの。He is alive? ほらね。"
"何が、ほらねよ。" 
"入れてくれなかった。"
"言ったでしょ。無理だって。"
"それを言ったのは、私。"
カレンは、疲れて、床に寝そべる。
"ジャックのママ。""ジャックいる?""いるの?"
"引き下がらないのね。作戦は、分かっているわ。"
"ジャック、出て来い。""おいでよ。"
"皆んな、I'm sorry. 今日は、遊びたくないって。また来てね。" 
"ジャック、遊ぼうよ。""ジャック、出て来いよ。"
家の前に、トランポリンを置かれ、追い払う。ジャックは、クッションで頭を押さえ、椅子で丸まる。家の前が、ホッケーコートになる。
"ジャック、遊ぼうよ。"
翌朝。 
ジャックは、鏡に、自分の姿を映す。
"Mama, Dad. I'm going to school. "
髭を剃ったジャックが、立っている。
" Mama, you say  OK. "
" Hurry up. You'll be late. "
"サンドイッチ。宿題ださなきゃ。"
エディの作文。
"大人になたら、100キロのデブになって、ヘヴィDみたいなラッパーになる。ヘヴィD。中国で、ミュージックビデオを撮影する。キック・ボクサーにもなりたい。"
ルイは、空っぽのジャックの席を見る。
"誰かの尻を蹴り上げる。"
"ルイ。"
ジャックは、学校へ走る。
ルイが、作文を読む。
"僕の親友みたいになりたい。彼は、10歳で、見た目は大人。理想の大人だ。なぜかと言うと、心が、子どもだから。彼は、新しい物事や新しい人との出会いを、怖がらない。大人とは、違う。"
ジャックが、廊下を走る。
"何でも、初めてのように見る。本当に初めてだから。そこが、違うんだ。大抵の大人は、働いて、金を稼いでは、自慢する事しか知らない。"
ジャックの足が止まる。小窓から、教室を覗く。
"でも、彼は、本当の友達とは、何かを知っている。"
"ジャックだ。""ジャック。"
"ジャック、戻って来たのね。"
" I'm late. "
"いいのよ。席に着いて。"
"ルイが、発表していたの。"
ジャックは、友達とタッチしながら、席に着く。
"続けて。"
"でも、彼は、本当の友達とは、何かを知っている。大人に見える誰よりもだ。大人になって、何になるか。今は、分からない。でも、僕はなりたい。あの巨人みたいに。A Big guy. Best friends.  ジャックみたいに。Thank you. "
皆、拍手する。
"良かったわ。"
"素敵。"
"かっこいい。"
"それじゃ、授業を始めましょう。教科書を広げて。"
ジャックが、机をひっくり返し、反動で後ろに倒れる。
" Are you  OK, ジャック?皆んな、静かにして。"
▶︎卒業
7年後。卒業式。
"ルイ。写真を撮るから、来て。こっちに来て、笑って。歯の矯正の成果を。"
"撮って。"
"ほら。カメラの方を見て。"
後ろから来た生徒が転ぶ。
"エディ。"
"大丈夫だよ。"
"ジョージ。""卒業式だよ。""皆んなの所へ。"
"今日も、彼の隣?"
"やめてよ。"
"そっちこそ。"
"信じられない。何さ。"
"この子を。"
ジャックも、卒業生として、紫の制服をまとう。
" Ladies & gentlemen, 今年の総代を紹介します。ジャック・パウエル。"
ジャックが、演壇に立つ。
"どうも。失礼。"
眼鏡を取り出す。
"ジョージ。ぶちかませ。"
"かますとも。エリック。I'm cool. スピーチだ。"
"短く言おう。僕の人生のように、時間がない。人生の節目を迎えると、悪い事は忘れて、いい事ばかりを思い出そうとする。そして、将来を考える。何になろうか。そう考えて、不安になる。10年後の自分は、どうか?でも、僕は、君らに言いたい。Look at me. だから、悩むのはやめろ。どうせ、人の命には、限りがあるのだから。人生は、はかない。もし、悩んだら、夏の空を見上げてほしい。星のまたたく夜空を。もし、星が流れて、夜が昼のように、明るくなったら、make a wish. Think of me. Make your life specula. I did. やったよ、ママ。I'm grow up. Thank you."
皆、スタンディングオベイションを贈る。カレンは、ジャックの妹を抱き上げる。
"ジャック、行こうぜ。"
友達が、オープンカーに誘う。
"ママ。行って来る。"
" Not too late. "
"火曜に帰って来る。"
"最高の気分だよ。ママ。"
ジャックは、車に乗り込む。
"♪大きくなたら 何になりたい?
 死が迫った時 何をしたい?
 道は長く 曲がりくねっている
 まばゆい光 でもそこに行き着ける
 あきらめないで 振り返らないで 
 どこかに必ず希望があるから 
 皆んな答えが欲しい 友達も欲しい
 僕らには輝く星が必要だ
 だから 今夜は星に願いを
 人生にはこんな時もあるさ 
 10代の真っ只中で 望みが叶わなくても
"ジアのために。君が、流れ星を見たら。"
"♪がっかりしないで 焦っては駄目
 今は手に入らなくても
 努力すれば かなうかも知れないよ
 誰だって勝ちたい みんなに夢がある
 うまく行かない時には 輝く星が欲しいもの
 だから 今夜は星に願いを
 
 誰だって欲しいよ 親切や救いは 
 うまく行かなかったら 幸運の星が欲しい
 だから 今夜は星に願いを "
【感想】
人の4倍の速さで、年を取る少年の10歳の時のクラスメイトと過ごす楽しい日々。隠れ家(tree house)でのお泊まりの夜、ぐちゃぐちゃ料理を飲み込む入会の儀式、ポルノ雑誌の回し読みといったありそうなエピソードが、微笑ましい。クラスメイトにも、お調子者、リーダー、付和雷同する者など、個性を発揮する。転機となったのは、"大きくなったら、何になる?"という課題。ジャックは、残された時間があまりないことを悟り、クラスメイトは、将来の自分に、ジャックを重ね、憧れる。最後も、ジャックは、クラスメイトに向けて、苦しい時は、僕を思い出せと、メッセージを送る。

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