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一人勝手に回顧シリーズ#アルフレッド・ヒッチコック編(24)#間違えられた男/信仰心とは

【映画のプロット】
▶︎ヒッチコック口上
今まで、多くのサスペンス映画を撮ってきたが、本作は事実に基づくフィクションよりも奇怪な物語である。
▶︎誤認逮捕
マニー(ヘンリー・フォンダ)は、高級クラブのベーシスト、38歳の妻子持ちである。
今日も、仕事を終え、カフェで朝食をとり、帰宅する。二人の息子は寝ている。妻のローズ(ヴェラ・マイルズ)は、目を覚まして、親知らず🦷が、痛むので、治療に300ドルかかると嘆く。一家は、貧しくとも、幸せだ。マニーは、治療費の工面に、妻の保険証書を担保にカネを借りよう、今日、保険会社の事務所に行ってみると言う。
マニーの実家から電話がかかる。父の具合が悪いという。マニーは、短時間だが、見舞うと約束する。
マニーは、保険会社の事務所に行く。妻の保険証書を取り出し、受付の女に、要件を伝える。
カウンターの中の女性事務員は、窓口の女と、何かひそひそ。仕事をするフリをしながら、前に強盗を働いた男だと断定する。カネの受け取りには、本人が手続きをする必要があると、マニーを帰して、事務所内部では、所長に報告が上がり、警察に通報される。
マニーは、その足で、実家を見舞った後、5時半ごろに帰宅する。すると、家の前で待ち構える刑事らに、警察への同道を求められる。
警察では、マニーは、容疑を否認するが、淡々と取り調べが進められる。強盗が残したメモを、刑事が読み上げ、書き取らせる筆跡鑑定が行われ、マニーは、犯人と同じスペルミスを犯し、疑いが強まる。
マニーは、その晩、留置される。
翌朝、マニーは、ほかの収監者とともに、護送車で、裁判所に行き、簡単な認否等が行われる。マニーは、保釈金は7,500ドルと定められる。
帰りの護送車の中、マニーの視線は、下をさまよい、刑事や収監者の靴ばかり目に入る。警察に戻ったマニーに、保釈が伝えられる。親戚が保釈金を工面してくれた。
▶︎マニーらの戦い
家に戻ったマニーは、しばらく横になる。
ローズは、夫の弁護をオコナー弁護士に依頼する。
翌日、二人は弁護士事務所を訪れ、改めて事情を話し、刑事は専門ではないが、オコナー弁護士が受任することになった。犯人が、2回、保険会社事務所を襲ったうちの一日は、家族で旅行していたことを思い出し、二人は、現地を訪ねることとする。
宿を運営する夫婦は、いささか頼りないが、マニー一家が泊まったことは、思い出す。マニーは、宿泊中、一日雨に降り込められ、客の男3人と、カードゲームをしていたことを思い出す。宿帳も出て来て、3人の名前が知れる。
マニーとローズは、カード遊びをした男二人の住居を訪ねる。しかし、二人とも亡くなっていた。ローズが、"アリバイって"笑い崩れる。どうも精神状態が、優れないようだ。
二人は、オコナー弁護士に顛末を報告する。ところが、やはりローズが、心ここにない状態で、オコナーも医者にかかってはと、勧める。
ある朝、マニーが帰って来ると、ローズは、一睡もしていない様子で、私が悪いと、落ち込んでいる。かと思うと、マニーが本当は犯人でないかと疑い、ヘアブラシで、マニーの額を傷付け、姿見が割れる。マニーの顔が、割れた鏡に映る。
精神科を受診したローズについて、ドクターは、転地療養が必要と答える。
マニーは、ローズを施設に入院させる。
マニーの公判が始まる。マニーの反証は不十分で、検察側の証人は、保険会社事務所の女性職員ら。マニーを犯人と断ずる。オコナー弁護士は、陪審員も再選しての審理のやり直しを提案し、受理される。
▶︎真犯人逮捕
マニーは、子らの世話のため、母を呼び寄せるが、どうしても疑いを晴らせない、有罪となった方が楽だとこぼす。母は、祈りなさいと答える。マニーは、ロサリオを持ち歩いている。
壁に掛けたキリスト像に祈ると、そこに映じたマニーの顔が、真犯人の顔に変わる。
コートをまとい、帽子を被った男は、雑貨店に入り、ハムを注文する。レジの老女が外した後、男はレジに入り込み、銃を持っていると脅す。老女は、肉切りナイフを掲げて、二度足踏みする。主人が地下から現れて、男を組み敷く。老女は、警察に通報する。
マニーは、釈放される。オコナーと警察で手続をしていると、真犯人が連行されてくる。マニーは、"お前のせいで、妻が"と声を掛ける。保険会社の職員もまた、面通しを終え、決まり悪そうに、マニーの横を通っていく。
マニーは、新聞を持って、ローズを見舞う。しかし、反応は鈍い。時間が必要なようだ。
映画は終わり、2年後にローズは、全快し、一家は、マイアミで幸せに暮らすと、クレジットが流れる。
【感想】
とても陰鬱な物語が、マニーの視点で、淡々と語られていく。マニーは、じっと耐えたが、ようやく母にこぼしたり、真犯人の男に、声を掛けた。
静謐な信仰心を問う物語である。

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