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一人勝手に回顧シリーズ#マーティン・スコセッシ編(8)#ケープ・フィアー/撮らされた映画か

【映画のプロット】
▶︎出所
"私の思い出。あんなに美しい場所に、なぜ、『恐怖岬』という名が?私にとって、あそこでの唯一の恐怖は、素晴らしい夏が、終わってしまう事だった。"
スターリンなどの写真が貼られた壁。マックス(ロバート・デ・ニーロ)は、刺青の背中を見せて、上腕部を鍛える。
"ケイディ。出所だぞ。"
"ケイディ。出迎えは?"  
"本は?" 
"全部読んだ。"

メイドが、主人の屋敷に到着する。娘が迎える。
" Ola. "
" How are you? まあ、お嬢様。"
" コモ・エスタス?"
"リンピア?"
" No. No. リンピアは、清潔よ。これは、汚れ物。"

"緊張をほぐして。動きを表す図柄が欲しいのよ。旅行代理店のポスターに、何か新鮮な味を。"
娘が、母親の仕事を見つめる。
"矢はどう。Maybe. "
"矢ね。悪くないわ。でも、stability もなきゃ。信頼できる代理店。そういうイメージで、人目を引くポスターを。"
" OK. Movement, Stability and Arrow. ね。OK. 何か考えるわ。"
"扱いにくい娘だわ。"

弁護士のサム(ニック・ノルティ)。
"それで?"
"慰謝料の審問会は、21日間、延期させたよ。"
" Great. あの馬鹿婿が、どこに金を隠したか、突き止めてやる。君のお陰だ。"

扉に開いた穴から、顔を出す。
" Dady. 息子なんか要らんぞ。Adios. "
男は、窓からおもちゃ箱を、放り出す。追ん出してやる。"
人の影が、大きく映り、映画の映像と知れる。
"サヨナラ。お前は、頭がいい。"
座席のマックスは、葉巻に火を点ける。
"あいつ。こんな親父を愛していたのか。"
画面に、マックスの頭が映り、葉巻の煙を、天井に向け、吐く。サム一家も映画を観ている。サムは、咳き込む。
"煙たいな。"
" Excuse me. "
マックスの肩に触れるが、マックスは、気が付かない。
"席を移ろう。"
マックスは、映画を見て、大笑いする。
サムの娘が、注文のアイスを受け取る。
"あんな失礼な奴、1発、パンチを喰らわすのよ。"
"パンチを喰らわす?"
"元ボクシング部でしょ?突き飛ばして1発。"
"お前と1ラウンドだ。"
娘の首を締める。
"顔に蹴りも。"
"法廷では、汚いファイトを。" 
"言ったな。"
"幾らだ?"
"頂きました。"
"払った?Who? "
赤いオープンカーのマックスを示す。
"ここは、よせ。中で食おう。"
テラス席の母娘を、中に誘う。振り返ると、赤い車は、ない。

スカッシュを楽しむカップル。
"負けたわ。"
"バックハンドは、スナップを利かせて。"
"ダンスでも踊るの?"
"交代してくれ。"
"ローリー。俺たちは、当分、中休みって事に。"
"中休みって、何の事?まだ何も。なぜ。奥さんに見つかったの?"
"女房は、幸い、君の存在も知らないよ。"
"幸い?"
"結婚の経験がない君には分からんだろう。"
"騙し合いなのね。"
"そうじゃないよ。ただ、2人の人間が、結婚して、長い間、暮らしていると。"
"私は、楽しいから、付き合っているのよ。話が面白くて、法廷のゴシップに詳しい。あの判事は呆けているとか、銃を隠しているとか。"
"時と場所さえ違っていたら、君とも。"
ローリーは、車に乗る。
"明日も?今日は、2対1で、俺の勝ちだ。"
"私が、勝たせてあげたのよ。"
"言ったな。"
サムも車に乗り込む。マックスが、キーを抜き取る。
"鳥のように自由に。相手構わずか。気を付けないと、やばいぜ。"
"キーを返せ。"
"俺を忘れたか?"
"映画館にいた男だろ?"
"失望したぜ。傷付いた。"
"キーを返せ。"
"マックス・ケイディだ。あんたは、6、7キロ太ったかな。中年になると、誰でも。" 
キーを奪おうとするが、失敗に終わる。
" Com'on. "
"俺は、反対に、ムショで痩せちまったがね。" 
"アトランタ1977年。"
"そう、ご名答。キーを持つのは、14年振りだ。"
キーを返す。
"元気そうじゃないか。"
"ムショで、健康を保つのは、大変さ。分からんだろうな。他の連中は、一日、のらりくらり。俺のたった一つの悪習は、葉巻。自分も人間だって思い出せる。"
"この町で、何を?"
"南部の空気。俺も、このニュー・エセックスに越そうかな。"
"つけてたのか?"
"狭い町だ。嫌でも、出会う。" 
"じゃ、元気で。"
" You, too. "
サムは、車をバックさせる。
"失ったものを取り返す。"
" What? "
車を止めるが、マックスは、去って行く。
▶︎嫌がらせ
サムの家。
"パパ。Could you? "
"宿題か?"
"作文よ。『天使よ 故郷を見よ』。あの作品のように、何かを回顧して、作文を。" 
"お前は、何の思い出を?" 
"ハウス・ボート。"
"ハウス・ボートか。"
夜空に花火が上がる。
"独立祭は、先なのに。" 
"2週間、休みを取って、またハウス・ボートへ。"
"この前は、『今年の夏は忙しい』と。私も忙しいし、ダニーは、サマー・スクールよ。"
"2週間ぐらい、休ませてもいいだろ?"
"でも、大学寸前なのよ。演劇部に、大学の先生が来ると、楽しみに。"
"そいつに熱を上げるぞ。たかが、マリファナぐらいで、酷い学校だ。マリファナなら、俺たちだって、吸ったろ?儀式に用いる文化もあるのに、この国では、禁止。"
"近親相姦も、禁じられている。死姦も獣姦も。偶像崇拝、人肉嗜好。"
"もう一度。"
" Why? "
"今の格好を。"
2人は、ベッドで抱き合う。2人の映像が、ネガに変わる。
リーは、1人目覚め、鏡台に向かう。口紅を引く。ブラインドの隙間から、外を眺めると、マックスが、塀の上に、腰掛けている。頭上で、花火が広がる。
"サム。表に誰かいるわ。明かりは、点けないで。"
"花火の光で、見えたの。"
"あいつだ。しつこい奴だ。"
" You know him? "
サムは、外に出る。
"何している。出て行け。"
2人は、マックスを探す。
" He's gone. "
"あいつ、失ったものを取り返すと。いや、取り戻すだったかな。"
" It's poetic. 何者なの?"
"貧しい田舎出の男だよ。犬を下ろせ。君に懐いて、俺を無視している。テーブルから下ろせ。食い物の中に、犬の毛が。"
"田舎から?"
"それも、貧しい山奥さ。"
"なぜ、懲役に?"
"確か、暴行罪だ。" 
"誰に暴行を?男を殴ったの?それとも女?"
"忘れたよ。14年前の事件なんだぜ。覚えていない。"
"なぜ、あなたを?“
"人につきまとって、嫌がらせをしたいのさ。弁護士に、恨みを持っているのかも。"
"迷惑な依頼人ね。"
" Yeah. "
朝。
"パパ。You are tired. "
"よく言ってくれるよ。ダニーを、1人で、表に出すな。あの男の件は、bossに相談して、手を打つ。"
"犬と一緒なら?"
"あんな犬。何の役にも立たんよ。"
"ダニーに、何て言うの?"
"変態男だと、言っとけ。姿を見たら、連絡しろ。"
"じゃ、銃を。万一の用心のためよ。"
"リー。本気か?本物の銃を?"
"夫婦で撃合いを。"
"ダニーが、喜ぶ。心配するな。手を出せば、ムショに逆戻りだ。"

"リー・ヘラーを。変わり者だが、ピカ一の刑事弁護士だ。"
電話をする。
"リー・ヘラーを。" 
"君は、そいつを弁護した訳だ。嫌がらせを?"
"車を出そうとしたら、そばに寄って来て、『失ったものを取り返す』と、捨て台詞を。"
"それでは、脅迫とは言えん。"
"トム。君も弁護士だ。分かるだろ?なぜか、俺を恨んでいて、ゆうべは、うちの裏庭へ。"
"不法侵入だ。" 
"そこまでいかん。敷地の境界にある塀の上に。座っていた。"
"不法侵入には、ならんな。拘束令を申請しろよ。" 
"手続をしたよ。審理は、10日後だ。"
" Good. 何か手伝う事が?"
"14年前の事件だ。実は、被害者に関する報告書が。"  
" Rape case. "
" That's right. Rape&sexual violence. 被害者の女に、男が大勢いたという報告書を、俺は、葬った。"
"知る者は?"
" No. No. 依頼人にも、検察側にも見せなかった。あいつは、その女に、酷い事を。"
"弁護士は、依頼人を弁護するのが、務めなんだぞ。"
"知っているよ。官選弁護人を辞めたのも、そのためだ。その務めを、全うしたかった。"
"その事件では?" 
"あいつは、その女に、あまりにも酷い事を。"
"証拠隠滅だ。"
"もし、君の娘なら?"
"だが、証拠隠滅だ。Jesus. "
サムは、腰を下ろし、ため息をつく。 
"なぜ、あいつにバレた。第一、字が読めなくて、書類は、俺が、全部、読んでやったんだぜ。そいつが、どうやって?"
 
サムの家。
"ダニー。今日は、静かで、いいお天気よ。ここで、本を読んだら。"
" Why? " 
"静かだからよ。"
"露出魔だか、覗き魔が、うろついているから?" 
"露出魔だなんて。"
"私が知らないと、思うの?"
"失礼。そういう経験がおありとは。嫌ならいいのよ。あなたのお好きに。Don't go outside. "

サムを、車のマックスが呼び止める。
" Afternoon 弁護士先生。"
"何の用だ?ケイディ。"
ケイディは、女学生の一団を指差す。
"若い娘は、いいな。人生これから。俺の娘は、俺が生きている事も知らないよ。父親は、死んだと思っている。半分は、正しいがね。" 
"君が辛い目に遭った事は分かる。恨む気持ちは分かるが、なぜ俺を?君を弁護した lawyer だぞ。いやがらせなら、検事を。俺でなく、検事や判事を。"
"連中は、務めを果たした。"
"俺は、果たさなかったとでも?強姦罪を暴行罪に、引き下げてやっただろ?"
"似たようなもんさ。仮出所までに7年目。"
"強姦は、重罪だ。終身刑か死刑の宣告を、受けていたかも。"
"ムショで、字を勉強した。First ,『わんちゃん、農場へ行く。』やがて法律書を。あれから、何度か上訴して、自分で自分を弁護したんだぜ。"
"初耳だな。" 
"2人の弁護士が、ここで法を論じているって訳さ。"
"幾ら欲しいんだね?ケイディ。"
"何の話だ?" 
" How much money do you want? " 
" Money? 金に困っているように見えるか?"
"ある程度の金なら、相談を。"
"女になった事は?"
" What? "
" Woman. 毛むくじゃらの男に、抱かれる女だ。"
"君の辛い経験は、分かる。"
"口で、そう言うのは、簡単さ。『ガラテア人への手紙』第3章。『君は、無益な苦しみを受けたか?』。俺は、ムショで、俺にも女の部分がある事を発見したよ。"
"金が欲しいんだろ?喜んで相談に乗るよ。"
"4人の白人の男に押さえ込まれ、カマを掘られた代償は?相手が黒人だったら?金額は、同じかい?金額を、どう弾き出すんだね?"
"1万ドル払おう。"
"1万?計算しよう。"
"ただ、思いついた額だよ。" 
"2万と仮定して、計算しよう。3万でもいい。5万と仮定しよう。14年間に対して5万。1年365日だから、14年間って事は、約5,000日だ。5万ドルを割ると、1日当たりたった10ドル。最低賃金にもならん。その上、家族を失い、信用を失った。あんたは、全然、分かっていないんだよ。14年間だぜ。"
マックスの時計のアラームが鳴る。
"行かなきゃ。別の約束がある。"
2人は別れる。

"馬鹿婿の銀行口座を突き止めた。相手の弁護士に、そう言おう。"
"奥様から、お電話です。" 
"後にしてくれ。"
"弁護士に電話を?"
"何か急用のようです。"
サムは、電話を取る。
" Yeah. "

サムは、家へ急ぐ。 
"苦しさに、悶えるような吠え声。ダニーも飛び出して来て、獣医に電話を。見てられなかった。みるみる弱って、古い時計のぜんまいが緩むように。それも、突然、止まって。目を、目を大きく見開いて。驚いたように。そして、死んだの。獣医が駆けつける前に、息を引き取った。"
"獣医は何と?"
"毒殺だって。" 
"毒殺?何の毒を?" 
" I don't know what kind of poison. " 
"外へ出すからだよ。"
"私は、出していないわ。"
サムにつかみかかる。出してないわよ。"
ダニーが、席を立つ。 

エルガード警部(ロバート・ミッチャム)
"私も、犬を飼っているから、分かるよ。だが、法律では、ただの罰金刑だ。そいつが失業中なら、身体検査にかけて、放浪罪で、しょっ引いてやる。任せとけ。"
マックスが、身柄を押さえられる。
"そういう奴を締め上げる法律は、事欠かん。じき、尻尾を巻いて、退散するよ。"
"手を突いて、脚を広げろ。"
"あいつか?大丈夫。マジック・ミラーだ。"
"奴だ。"
"シャツを脱げ。"
"早くしろ。" 
"彼に渡せ。ぐずぐずするな。靴を脱げ。彼に渡せ。腕を広げろ。"
腕に、"復讐は、我にあり"の刺青。反対の腕に、"時は目前に"。
"神は復讐なり"、"正念場はこれから"、"真実"、"正義"
"見るより、読む体だな。"
"復讐者''、"ロレッタ"
刑事が報告する。
"アパートを捜索しました。銃はなく、車の登録も正規。これが。"
"預金通帳だ。3万ドルも?" 
"服役中に母親が死亡。農場を売った金です。"
"金は、持っている訳だ。" 
"じゃ、後は、犬だな。外に出した犬をさらった?"
" No. 犬は、外へ出していない。" 
"家に入って来たなら、不法侵入だ。"
"家に入って来た訳でもない。警官じゃないから、方法は分からんが、あいつが犯人だ。"
"それじゃ、駄目だ。弁護士がそんな事を?"
"ズボンを脱げ。"

"警部も言っていたが、奴は、必ず尻尾を出す。その時は、とっちめてやる。"
"殺してやるわ。"

独立記念日のパレード。英雄たちの山車が、通る。サムの一家は、沿道で見る。
"なぜ参加しなかったの?タップを踊れるのに。考えたんだけど。"
マックスも、反対側の歩道で、パレードを見ている。
" A son of the bitch. "
" What? "
"君を見ている。"
サムは、通りを横切る。
"何をしている?"
"イカすかみさんだな。あんたは、ついている。"
マックスを殴り倒す。
"パパは?"
2人は、引き離される。
"イカれている。何もしていないのに、突然、暴力を。"
サムは、また殴りかかろうとして、周囲に押さえられる。
"どうかしているぜ。Sue you. "
" How are you doing? Who's that? "
取り残されたダニーが、つふやく。
" Mam. "

"ミネラルウォーターなの?"
マックスは、ローリーと食事をとる。
"いっそ金魚を泳がせたら?"
"ご機嫌だな。"
"名人なの。"
"床に、ずり落ちる名人かい?"
"自暴自棄ってやつよ。自暴自棄。四字熟語よ。"
"馬鹿にして。"
"赤くなったわ。そのシャツと同じように Scaret. 私も馬鹿ね。妻子ある男なんかと。"
"馬鹿だよ。"
"でしょ?認めるわ。本当に馬鹿だったわ。あんな男と寝たりして。ふしだらな女じゃないのよ。"
"信じられんな。"
"本当に好きになった男は、彼が最初よ。"
"判事に言えよ。"
"今日も、すっぽかされたの。" 
" Really 酷いな。"
"あなたは、どこから?"
"聞きたいか?"
" Yes. "
"俺は、州立刑務所から。"
ローリーは、口を開けて笑う。
"本当だぜ。出所したてだ。"
" Oh my God. 本当についている日だわ。ジョークを思い出したわ。聞きたい?"
"聞きたいね。"
"ある独身の女が、男に出会うの。"
"ちゃんと話せよ。"
" Shut up. 男が、『俺は、ムショから、出て来たばかりだ。』、『一体、何をしたの?"she asks. 
『女房を52個の肉片に。』。女は言う。『あんたは、シングル?』"
" Funny. "
" Thank you. あなたは、何をしたの?"
"女房を、52個の肉片に、切り刻んだのさ。" 
"言うと思ったわ。私は、小柄だから。"
"精々、40個の肉片だな。"
"マジに何を?"
" No. マジに君は、何を?原子力発電所建設の抗議デモに、参加したのさ。女性を小突いた保安官がいて、そいつを殴ったら、逮捕されて、懲役を食らった。"
"随分、飲んだけど、払える?"
"酔っ払うと、ヤバいぜ。俺は、アニマルだから、何をするか。"
" Yeah. 楽しみだわ。"
マックスは、ローリーを、ベッドに連れ込む。
"ロレッタって?"
"俺の死んだ恋人さ。"
"お気の毒。"
"52個の肉片に、切り刻んだ。不倫の相手も、こういう事を?"
"しないわよ。"
"じゃ、これは?痛いか?"
女を後ろ向きにさせる。
"乱暴ね。"
手錠をかける。
" Oh my God. 逮捕するの?"
"そうじゃない。"
"お巡りさん。お願い。勘弁して。"
"その男はどうした?俺には、酷い事を。"
首を捻り、顔に噛み付き、肉片を吐く。
" Bitch. "
何度も、殴りつける。

サムは、ピアノの鍵盤を叩く。
"音が出ないぞ。"
" I don't know. "
"ワイヤがない。"
"誰か、ピアノをいじったのか?"
" What? "
電話をが鳴る。
" Ynah. "
"ボーデン君?"
警部から。
"いいニュースだぞ。"
"分かった。30分で、そっちへ。All fine thank you. "
"奴が、またレイプを。"
" Rape? 暴行では?"
"俺が、暴行に下げた。"
"敏腕弁護士ですものね。"
"君らが、不安がると思って。"
"若い子を?"
"16歳の女だ。"
"16。What? じき16歳の誕生日よ。"

"隣人が、悲鳴を聞いて、立ち去る犯人の車のナンバーを。だが、one very problem. 女が、奴を怖がり、『階段から落ちた』と。"
病室に入る。
顔を絆創膏で覆ったローリーが、こっちを見る。
"サム。"
" Oh my God. "
"知り合いか?" 
" Ah, 同じ職場に。"
" I'll be outside. "
"馬鹿だったわ。あなたは、デートをすっぽかし、電話もくれない。昨夜、色々考えていたら、やけになって。だって酷いわ。『奥さんは、私の存在さえ知らない』なんて。あなたに、思い知らせてやろうと。それで、こんな馬鹿な事を。思い知らせてやろうと。"
"いいか。あのケイディって男は、前にも似たような事をしている。君が、法廷に立って証言しないと、奴は、きっと同じ事を繰り返す。"
"嫌よ。私は、裁判所に勤めていて、こういう事件を見ているのよ。被害者が、何を聞かれるか、『なぜ、女1人で、バーへ行ったのか?』、『何杯のんで、どんな服を着ていたか"、それも同じ事務所の弁護士とか、顔馴染みの検事に聞かれるのよ。根掘り葉掘り聞かれて、笑い者にされる。それに、あなたとの事も。"
"その事は、気にしないでいい。"
"私は、聞かれたくないわ。あなただって、困るでしょ。"
"こんな事になって、悪かったよ。"

警部。
"君と彼女の間の事なら。"
"違うよ。警部。分かったよ。何を言いたい?"
"君らの個人的な事なら、警察は手を引くぜ。"
"女房がレイプされるかって時に?"
"レイプもされていないのに、逮捕できんだろ?どうする?"
"拘束措置は、申請したよ。"
"虎は、まず薮から、誘い出す事だよ。山羊をおとりにして、君は、背後に隠れる。"
"女房と娘をおとりにしろと?あいつが2人を襲った後、自殺する事を祈っているのか?"
"俺は、警官だ。市民に『銃を取って、制裁を加えろ』と言えるか?解釈を間違えるなよ。"
"そう聞こえたぜ。"
"そりゃ、悪かったな。"

サムは、家を戸締まりして回る。

サムは、探偵に相談する。
"嫌がらせが、巧妙なんだよ。法に触れないんだ。それに、方法は分からないが、誰にも気付かれずに、俺の家に、忍び込んでいる。"
"壁の透視は?"
"壁を透視しろとは、言っていない。"
"何か手を打てる筈だ。警察か裁判所が。"
"サム。落ち着いて、話を聞けよ。法は、強盗とか、窃盗とか、犯罪を単純化しがちだ。動機の曖昧な事に対しては、すぐに手を下そうとしない。その男との関係は?"
"奴の官選弁護人だった。"
"恨みを買う事を?"
"奴は、そう思っている。"
"それは、どうでもいい。奴は、何を?"
"16歳の娘を犯した。"
"あんたにも、16歳の娘が?"
"15歳だ。"
"そいつの背景調べて、1週間、尾けてみよう。"
" Good. 奴の住所は、警察が。"
"もう聞いたよ。後は、任せてくれ。"

リー。
"ダニー。もう安心よ。パパが、私立探偵を雇ってくだすったんですもの。サム・スペードっぽい人?ミッキー・スピレーン?ピーター・ガン?ダーティー・ハリー?ペリー・メイスン?"
" No. No. ペリー・メイスンは、弁護士だ。そのカーゼックは、見るからに信頼できるプロだ。こういう事件を扱い慣れていて、朝飯前の。''
電話が鳴る。
" Yes. "
"俺だ。奴が収容されていた刑務所の所長と話を。奴は、調理場で働いていて、そこで、ある囚人と、何度も争いを。葉巻の匂いが原因で、そいつは、首を折られ、舌を引き抜かれた。"
" Jesus. "
鉄アレイで鍛えるマックス。
"犯人がケイディだという証拠は上がらなかったが。仮出所の審査委員会は、懲役7年を追加。奴が動き出すぞ。"
" Who's that? "
"探偵だ。"
"落ち着いてよ。"
サムは、電話をかける。
"郡立病院です。"
"すまんが、5036号室を頼む。" 
" A minute please. "
"ローリー。俺だ。こんな事に巻き込んでしまって、本当に申し訳ない。こうなると、分かっていたら、警告したのに。"
" I know. "
"それは、俺も同じ気持ちだ。本当に、コネティカットに戻るのかい?"
"この際、そうするのが一番だと思うわ。また大学へでも。寂しくなるけど。"
妻が立ち聞きしている。
''そうだな。それが、一番だよ。また近いうちに電話するよ。Bye. "
"私を騙せると思うの?わざとらしい声。くだらない女との浮気。Who's that? あの男に殴られた彼女?"
"話しただろ?彼女は、裁判所で働いているんだ。"
"彼女と寝たのね。"
サムは、ため息をつく。
"私たちの寝室から電話するなんて。"
"俺が、女に電話すると、君は、すぐ俺が浮気していると勘繰る。"
"浮気の相手だから、犠牲に。"
"馬鹿言うな。俺は、何もしていないぞ。"
いきなり、妻は、サムを殴る。
"酷い人。よくも裏切ったわね。"
"よせ、ダニーがいるんだぞ。"
" Honey 何でもないよ。" 
"でしょうね。"
"アトランタで、もう浮気はしないと。"
ダニーは、部屋に篭り、大音響で音楽をかける。
"分析医の前で、恥をしのんで、全部、吐き出した筈よ。"
"そう、洗いざらいね。"
"無駄だった。あの思いは、無駄だった訳ね。結婚を救うために、引越しまでして。全部、無駄だったわ。"
"君も、そうしたいと言っただろ?どうしろと?"
"酷い人。皆、あなたのせいよ。"
ダニーは、電話をかける。
"ナディーン。ダニーよ。頭が変になりそう。"
"私が嫌なら、出て行ったら?"
"今みたいなヒステリーを起こすならな。"
"原因は、あなたよ。私は何も。"
"何もしていない?忘れたのか?3か月、仕事もせず、食事も作らず。"
"ここは、法廷なの?" 
"朝から夜まで、毎日、めそめそ泣き通しだった。"
"怖かったのね。どう思ったの?私が、kill myself と?あなたのために?"
"そうだ。"
"自惚れて。"
"君は、寝室に閉じこもりっきり。"
"独りぼっちでね。"
"先生が言ったろ?過去をほじくり返すなと。問題は、今だ。俺は、浮気などしていない。ローリーなんて、ただの娘っ子だぜ。"
"お好みでしょ。"
"子どもだよ。同じ世界の男に、憧れを。"
"女好きのくせに。"
"俺は弁護士、彼女は職員。勝手に、俺に惚れたんだよ。"
"リー。俺は、怖い。今度のこの事が。恐ろしい獣が、俺たちを狙っている。俺たちを、傷つけようと。俺は、死ぬほど怖い。" 
"本当に怖がっているのね。怖いもの知らずの人が。" 
"奴が、ローリーを選んで、暴行し、レイプしたのは、彼女が証言を拒む事を読んでいたからだ。彼女は、法の世界を見ていて、訴えたらどうなるか、知っている。彼女が訴えないと、君は浮気だと疑う。奴は、そこまで嫌がらせを考えているのさ。先の先まで、読んでいる。この話をして、良かった。これで、俺たちは、チームとして奴と戦える。"
サムは、ソファに横になる。
"まったくついていない。"

カフェ。クロードが、朝食を摂る。
" Here we go. "
"これは?"
"あの方からです。代金済みよ。あの方よ。"
マックスは、カフェを出て行く。クロードは、ため息を吐く。
" Hey ケイディ、待て。待て。"
"最近、何だかイラついてね。君が原因らしい。"
" No. "
"消えてくれ。"
マックスは苦笑いする。
"この町とこの州からな。君の姿も、声も、匂いも我慢できん。"
"俺の友達かい?" 
"違うね。"
"君が友達なら、意見を尊重してもいいが、友達でなければ、無礼もいいとこだ。自分を何様だと思っているんだ?"
"気を悪くしたのなら、謝るよ。白人のカス野郎。"
"酷い事言うじゃねえか。頭に来ちまうぜ。言葉に気をつけた方がいい。俺を怒らすと、後が怖いぜ。正当防衛って事で、何をしでかすか。"
"面白い。やってみろよ。"
" Afraid  me? " 
"察しが早い。"
"俺は自由に、好きな所にいる権利がある。"
"貴様の権利など、クソ食らえだ。警告したぞ。"
"逮捕かい?デカかい?元デカ?汚職で追い出されたデカらしいな。朝飯の途中だろ?"

マックスは、サムの家に乗りつける。リーに声を掛ける。
"お宅ので?"
犬の首輪を差し出す。
" Can I help you? "
"向こうに落ちていた。お宅のだろ?犬には、鑑札を付けておかないと。保健所に連れて行かれちまうぜ。"
"うちの犬は、この間、死んでしまって。" 
"可哀想に。犬は、忠実なのにな。目を閉じると、姿が見えるよ。毛がふさふさ、人懐こく、足元で寝ている。あんたが絵を描いているのを、大人しく見ている。"
"マックス・ケイディね。早く消えて、警察に電話するわよ。"
"公共の道路で、犬の首輪を返しただけだぜ。"
"なぜここへ。Look around. Go ahead, ケイディ。"
" Nice house. "
" Nice house. それでもう、ご満足?もっとほかに、何か?何なの?満足が行くまで、また何か企むんでしょ?"
"リー。あんたは満足しているのか?"
"知った口きかないで。"
"知っているさ。"
" Yeah. どんな顔している男かと思っていたけど、実際に見ると、胸がむかつくわ。"
"あんたのタイプじゃないか。ムショでやつれ、刺青も入れ過ぎた。ムショは退屈で、ほかに気晴らしがなくてね。あんたも俺も、旦那に裏切られて、散々だな。お互い、違う人生を、幸せに送れたのに。"
"ママ。電話よ。" 
"ダニー。家へ入って。"
マックスは、ダニーを一瞥して、車をだす。

サムは、車に乗り込もうとする。
"サム。待ってくれ。ちょうど良かった。あいつにやられたよ。尾けているのを見破られた。なかなか頭のいい奴だ。今日の行き先は、図書館。ニーチェを読んでいた。ドイツの哲学者だ。神は、死んだと。尾行を続けてもいいが、費用が嵩むぜ。"
"昼間はとにかく、夜は目を離すな。"
"本当に、片をつけたいのか?"
"もちろん。"
"じゃ、提案するよ。男を数人、手配するよ。奴を病院行きへ。"
"何の話だ?"
"鉄パイプとチェーンさ。"
サムは、話を切り上げ、車に乗る。
"脅し上げりゃ、奴は消えるよ。"
"お互い法の僕だぜ。石打ちが許された2,000年前とは違う。俺は、法で食っている弁護士だ。"

"帰ったぞ。皆、どこだ?"
サムが帰宅する。
"ただ今。チキンか。変わりはないか?"
"あいつが来たわ。"
リーは、サムに耳打ちする。

ダニーが、電話を取る。
" Hello. "
"ダニエル?Miss ダニエル・ボーデン?"
" Yeah. "
"君の教師だ。"
" English? Drama? "
" Drama. 話しても?"
"サマースクールの生徒名簿を見ていた。沈んだ声だな。"
" No. うちで、色々嫌な事があって。"
"力になろうか?"
"無理よ。Tシャツにも、『この世は最低』と。"
" Yeah. 嫌な事は、プラスに生かす事が大事だ。"
" What do you mean? "
"教師には、生徒の気持ちが分かる。君が感じている事は、すべて正しいんだよ。いやらしい男に、声を掛けられた時の恥ずかしさ。毎月1度、あの時に感じるイライラ。女に成長している君を理解しない両親への怒り。そういう感情は、殺さず、前向きに生かすんだよ。"
" OK. 分かるわ。ゆっくり考えてみるわ。明日の授業は、110号教室でしょ?"
マックスは、足で、逆さ吊りになり、腹筋を鍛えながら、応答する。
"講堂に変更になった。演劇には、舞台が必要だ。"
" Yeah. "
"心の不安を逆に利用して、自分を広げ、学ぶんだ。この曲を?
♪女たちよ 正しい事をしたいかい?
 正しい事をするしかない
 そうでしょ?皆で正しい事を
俺を信じろ。正しい道を選べる。OK? OK?お休み。"
" OK. Good night. "
ダニーは、車で学校へ。
"中まで送るわ。"
" No. 大丈夫よ。大勢、人がいるもの。"
"4時に迎えに来るわ。" 
" OK. Bye. "
"こんなにサマー・スクールへ?"
"今日は、コーラス部の会合なのよ。"
"じゃ、私は演劇クラスへ。OK. Bye. "
ダニーは、講堂へ、人気のない通路を歩く。講堂に、誰もいない。
" Hello. "
舞台のセットに、人影が見える。
"ナディーン?"
セットの小屋の入口に、マックスが座り、タバコに火を点ける。
"演劇クラスに来たんですけど。Hi. "
"まずったな。逮捕を?"
" No. 学校で、マリファナなんか。"
"教師の特権さ。緊張がほぐれる。講義を?"
" Yeah. あなたが、演劇の先生?"
"そうだよ。君は、セシールかい?"
" No. 私は、ダニエル・ボーデンよ。"
"電話で話したダニエルか?"
" Yeah. "
"君も、どう?吸えよ。"
" ... "
"俺たちは、2人切り。"
ダニーは、タバコを受け取り、吸う。
" Thanks. "
"君にやるよ。訓練したのさ。''
"夕べ、電話で話した事だけど、すごく納得できて、色々考えたわ。"
"あれが、人間の生き方さ。それを、ここで学ぶ。そのトーマス・ウルフも、テーマは、『自己発見』と『内なる旅』。"
"最後のユジーンの旅の部分が、大好き。神秘的。何と言うか、巡礼の旅のよう。"
"絶望が感じられる。それが、ウルフの人生だ。『実話小説』と呼ばれるジャンルだ。知っている?家を出ても、悩みは消えないよ。ヘンリー・ミラーは、外国で、自由を得たがね。3部作の『プレクサス』、『ネクサス』、『サクセス』を?"
" No. "
"知らない?"
" No. "
"読むといい。"
"でも、彼の『北回帰線』は、読んだわよ。両親の本棚から盗み出して、拾い読みだけど。でも、凄い描写で、驚いたわ。"
"勃起したペニスを、『翼の生えた鉛のかたまり』と。" 
"そこは、読んでいない。"
"親は、読ませない。君を大人にしたくないのさ。当の自分たちが、誘惑に弱い大人だからね。罪悪感と怒りを、子どもにぶつけ、たかがマリファナで大騒ぎ。"
"ちょっと待って。Where are you from? "
" Where I'm from? "
" Yeah. "
"君はどう思う?"
" I don't know. "
"言ったら怒るかな?"
"黒い森から来たのさ。"
"ふざけないで。あなた、先生じゃないのね?"
"悪い狼かも。" 
"うちの周りをうろついていて、ママの犬を殺した?"
"犬が殺された?俺は、知らないぜ。酷いな。可哀想に。どんな犬?"
"種類は知らないわ。毛がふさふさしていて。"
"毛が?"
"あなたでは?" 
"勿論、違うさ。"
" OK. "
"違うよ。"
" So what are you doing here? "
"君と話がしたかったのさ。"
"どうして?"
"君が、どんな娘か、知りたかった。君が、いい娘か、どうか。"
"私には、何もしない?"
"何もしないさ。そんな心配は、要らない。俺たちの間に怒りはない。本音で話している。マリファナ吸ってる俺を許せず、裁くか?"
" No. "
"君の親は、怒って、君を裁いたろ?"
" Yeah. "
"自分たちの罪を、君に。2人は、何を?"
"パパは、大声で怒鳴り散らして、ママは涙を。もう車を運転させないって。"
"自分らが罪を犯した癖に、君を罰しているのさ。アドバイスをしよう。彼らは、何も分かっていない。裁かずに許すのだ。"
"なぜ、パパを恨んでいるの?"
"恨んでなど。I pray for you. 彼を助けたい。誰にも過ちはある。君も、俺もね。だが、それを自覚している。"
" Yeah. "
"パパは、違う。人間は、皆、光の輪のように頭の周囲に地獄が。地獄を通って、初めて天国に到達できる。天国を知っているか?"
" No. "
"救いの地だ。パパも、ママも幸せじゃない。それに、君も幸せじゃない。そうだろ?"
"そのとおりよ。"
"夕べ、俺の事を?"
" Yes I did. " 
" I know. 真実の友を見つけた気がするよ。光を目指し、一緒に歩く友を。君を抱いても、いいかい。"
"..."
" It's OK. "
"抱いてもいいわ。"
マックスは、ダニーに近づき、顔を撫でる。親指を吸わせる。2人は、キスする。マックスは、息を荒げながら、身を離す。ダニーは、講堂から、走って出る。

"カーゼック。何をしている?奴が、学校へ。"
"夜だけ見張っていろと。"
"女房が、娘の本の間に、マリファナを。ケイディだと思うが、娘は脅えて、何も言わん。もう勘弁できん。"
"警察へ?"  
"『警察は、手をくださない』と、君自身言っただろ?"
"ほっといてやれ。"
"いいか、カーゼック。例の男たちを雇うよ。病院行きの話だ。"
"よし。早い方がいい。3人雇って1,000ドル。金はかかるが、3人雇えば、確実だ。"
"金は、明朝、渡す。"
"それじゃ、決行は、明日の夜だ。これで、片付く。"
"分かった。"

ダイナーのマックスに、サムが近寄る。
"若い連中を見ろ。幸せそうな顔は、ない。仕事と野心はあるが、心の拠り所がない。"
"ケイディ、shut up. 出て行け。俺の家族につきまとうのは、よせ。足腰が、立たんほど痛めつけるぞ。"
"もう一度。" 
"町を出ていかなきゃ、足腰が立たんほど痛めつけてやる。"
" Afraid? "
" Yeah. これは、脅しだ。"
"親切な人間のいる土地へ越すか、西海岸で、『地震対策セミナー』を開いてもいい。だが、俺は、この町が好きでね。昔なじみのご同業にも会える。"
"俺たちは、ご同業じゃないぞ。"
"腕は、上か?"
"そんな問題じゃない。話を聞け。"
"腕が同じなら、俺も期待できる。"
"何を?"
"女房と娘だよ。人間には、務めがある。俺には、14年間、独房に繋がれるという務め。今度は、お前が務めを果たす番だ。力になろう。"
" Fun. "
"聖書の『エステル記』と『詩篇』の間を読みな。"

"ダニー。"
サムが話し掛ける。
" You are all right?  Everything all right? "
" Yeah. こんな事、やっても無駄よ。"
" What? "
"世間を避け、閉じ籠っている。"
"オーバーだな。"
"学校へも行けない。"
"明日は行けるよ。何か着ろ。子どもみたいに。"
"なぜ、明日は行けるの?何かやったの?"
"お前は、関係ない。"
" Dad, 彼は、乱暴しなかったわよ。パパは、そう思いたいでしょうけど。彼は、ただ私と心を通わせたかっただけなのよ。"
"ダニー。パパの言葉を聞け。それは違う。あいつは、お前と通い合う部分など、何もない。いいな。"
"触られたのか?何がおかしい?笑うな。あいつに触られたのか?ニヤつくな。あいつに触られたのか?悪かった、ご免よ。I'm sorry. "
" Get out. Get out here. "

夜。マックスが車から降りる。
"マックス。"
3人組が、マックスを襲う。ナイフが、マックスの背中を切る。サムが、物陰から見ている。うずくまるマックスを、3人は叩き続ける。
マックスが、隙を見て、1人の男に頭突きする。もう1人を棒で殴る。3人目もひるませる。
サムが動いて、音が立つ。
"先生?弁護士先生、あんたかい?"
"先生。隠れている所から、出て来なよ。"
"白人のカスは、俺じゃねえ、お前らだ。俺は、学問がある。本も読んでいる。頭も鍛えたし、哲学だって、論じられるぜ。体力だって負けねえ。2、3度ひっぱたかれて、参ると思うのか?このぐらいで、俺に勝てねえぜ。先生。俺は、神で、神は、俺と同格だ。俺は、神のように大きく、神は、俺のように小さい。神は、俺の上になく、俺は、神の下ではない。17世紀のシレジウスの言葉だ。Character. Character. そこにいるんだろ?そこにいるんだろ。"
口笛を吹く。
" Character. そこにいるんだろ?"
"くだらん。どうでもいい。クソッ。"

"カーゼックさんが。"
"顔色が悪いぞ。"
"今、話すよ。電話が先だ。"
"済まん。今度は、核爆弾の用意を。"
電話を保留する。
"俺の計算違いで、しっぺ返しを食らった。"
"まずい手を使って、俺の娘はどうなる?"
"あれは偽証だ。ちゃんと説明するよ。"
"部屋へ来い。"
"刑事弁護士の名は?"
"リー・ヘラーか。後でな。"
電話に戻る。
"困ったよ。新しい人間を雇えるかどうか。"
"もう、君には頼まん。"
電話を切る。別の電話をかける。
"ヘラーさん。サム・ボーデンです。刑事事件では、ピカ一と伺って、是非、お力を。"
"朝鮮戦争の仲間のためなら。"
"拘束令を申請中なんですが、ちょっと面倒が。何とか早い発令を。マックス・ケイディという男が、嫌がらせを。"
"済まんが、その件は話せない。"
"時間を改めて?"
"利害の衝突があるんだよ。昨日、ケイディの弁護を引き受けた。"
" What? "
"これから彼に会って、事情を聞く予定なのだ。"
"あいつは、異常者ですよ。"
"君とは、審問会で会える訳だ。"

審問会。テープの再生。
"もう一度。"
"この町を出て行け。俺の家族に、つきまとうのは、よせ。足腰が立たんほど痛めつけてやる。"
"脅しか?"
"そうとも。これは、脅しだ。"
"私の依頼人を見れば、一目瞭然です。ボーデン氏は、この卑劣で、非道な脅しを、実行したのです。神が、弱き者を助けたように、裁判長閣下も、依頼人に慈悲あるお裁きを。"
" Your honor. ケイディは、私の忍耐の限界を見たから、録音を。"
裁判長。
"当法廷は、いがみ合いや復讐、自警行為を許容するものではない。偉大な黒人教育者ブッカー・ワシントンの言葉を。『たとえ争っても、相手には憎しみを抱くほど、自分を貶めたくはない。当法廷は、拘束令を与えるが、それは、争いの容認ではなく、調和の精神からだ。キリスト教徒のね。"
"君は、500m以内に近付いてはならん。マキシミリアン・キャディ氏にな。当法廷が、解除するまで、その拘束令を守るのだ。"
"ソロモン王にも勝る賢明なご裁決です。閣下。それに反し、ペリシテ人にも劣るのは、ボーデン氏。弁護士連盟に訴え、浅劣な倫理観を根拠に、弁護士資格の剥奪を。では、依頼人は、退廷させていただきます。病院へ戻って。膨大なレントゲン検査の結果を聞かねば。"

"カーゼック。銃をくれ。銃が必要だ。I need gun."
"扱いは?" 
" No. 銃は嫌いで、持った事も。"
"落ち着けよ。種類は?"
"すぐ扱える簡単なやつを。"
"45口径かな。手を。"
"38口径の短銃身を。"
"言っとくぞ。相手を撃ち殺す武器だと、考えてはいかん。手の延長と考えて、相手を殴る。森で、射撃練習を。"
" Good. 教えてくれ。どうした?"
"ケイディを始末する気なんだろ?相手は木でなく、人間だ。必ず怯んで、奴に銃を奪われる。"
"奪われたりするもんか。それより撃ち方を。"
"うまく殺せたと仮定しよう。懲役15年から終身刑だぞ。"
"こんな馬鹿な話があるか?奴じゃなく、俺が危険人物扱いだ。あのクソ弁護士は、連盟へご注進しやがった。あの暴行事件の審問を、行うとさ。"
"なぜ、バレた?"
"仏心で、ケイディに警告を与えに行ったら、あいつ、隠しマイクで録音を。"
"マズい事を。"
"審問会は、重要なのか?"
"当たり前だ。資格剥奪の瀬戸際なんだぜ。"
"ケイディも?"
"出席しないさ。奴は、無実の被害者だ。"
"君は、召喚された。期日は?"
"木曜の午前9時から2日間。ローリー市でね。"
"前夜の飛行機で?"
'' Yeah."
"君は留守。ケイディが、その機会を見逃す筈はない。彼が、家に忍び込んだところを殺す。不法侵入者だ。君は、発ったと思わせるのだ。"

サムの一家が、車で出掛ける。マックスも、空港方面に、車を走らせる。旅立つサムを、飲み物を飲みながら、眺める。サムは、搭乗口で、家族とハグする。
"気を付けて。"
"電話してね。"
マックスが、窓口の女性に尋ねる。
"ローリー行きは?"
"離陸しました。次の便に、空席が。"
"ボーデン氏に渡す書類が。彼は、乗ったかね。"
"それは、お教えできません。"
"弱ったな。宅配急行便で送っても、行き違いの恐れが。実は、女房と交通事故に遭って、弁護士の彼に、至急、連絡を。娘のダニエルは、事故で死んだ。そのうえ、裁判に負けたら。せめて、帰る日でも分かれば。" 
"お帰りは、明後日です。"
"ありがとう。"
リーとダニーが帰宅する。サムも、後部座席に潜んでいる。
"早く入れ。"
"かがんで。"
3人は、家に入る。
"リー。タバコを。"
"吸い過ぎよ。禁煙していたのに。"
"吸った分は、返すよ。"
カーゼックは、窓を打ち付ける。
"空港は?"
"芝居はしたが、彼がいたのかどうか。"  
"罠は、仕掛けた。" 
"馬鹿みたい。"
"ダニー。"
" What? 犬も本当に彼が?"
サムが立ち上がる。
"気を付けろ。"
"立つと、見つかるわよ。"
ダニーは、部屋に引き上げる。
"反抗期か?"
"部屋に虫がいると、表へ逃してやる娘よ。虫も殺せないの。"
"2mの虫でも?"
カーゼックは、部屋に糸を渡す。
" What's that? "
"サムの釣り道具にあった。テグスさ。窓とドアに張り巡らし、このぬいぐるみに。誰かが忍び込めば、こいつが動く。"
カーゼックは、拳銃を持ち、居間に控える。
サムとリーは、ベッドに。
"何を読んでいるの?"
バイブルと書かれた表紙を見せる。
"遂に神頼み?" 
"違うよ。ケイディの野郎が。"
"神から答えを?Me too. 私たちが、どのくらい強いのか、あるいは弱いのか。これに耐えたら、その答えが分かる訳だわ。"
"ケイディが、聖書のここを読めと。"
"どこを?"
"ヨブ記さ。ヨブは、神を信じる善良な男だった。神は、彼を試すため、彼からすべてを奪った。子どもまで。"
ダニーは、急に目覚める。 
朝になり、カーゼックは、テグスを外す。
"こんな恐ろしい事、どうかしてるわ。私のパパじゃないみたい。"
"ご両親の言葉に従うのよ。ほかに道が?" 
"ハウス・ボートで、迷路に似た水路に逃げるのよ。"
ダニーは、玄関脇に置かれたヘンリー・ミラーのセクサスを見つける。
"ダニー。早く家に入るのよ。"
ダニーは、上着の下に、セクサスを忍ばせる。
"やはり抵抗がある。人を殺すなんて。人の命を奪うのか?きっと自分を許せない。"
"仕方ない。計画も立て。"
"分かっているよ。計画的に、人を殺す訳だ。俺は、共犯者だ。教唆罪にも、過剰暴力のとがにも。"
"そう。奴のはらわたを引き裂いて、食えばな。過剰だよ。"
"混ぜっ返すな。" 
"君は恐れている。いい経験だよ。その恐怖を忘れるな。この南部には、インディアンの恐怖、奴隷の恐怖、北軍の恐怖。南部の歴史は、恐怖の歴史さ。"
空が曇る。
居間に集まる。
"ほっとけ。"
"神経がもたないわ。"
"サムが留守する時、彼女は?"
"泊まるわ。"
"じゃ、今夜も。"
また夜になる。ぬいぐるみが、小刻みに動く。カーゼックは、銃を握り締める。
窓枠が、風でかたかたいっている。カーゼックは、窓を締め直す。
サムは、寝室の窓際に、マックスを見る。目を擦ると、消えた。リーを起こす。
"あいつだ。"
"夢よ。"
"感じるんだ。奴は、もう家の中にいる。"
カーゼックは、窓を見て回る。
"あんたも、眠れないのかい?"
"暑くて。"
メイドが答える。
"湿気のせいだよ。すぐ、喉が渇く。Excuse me. 親父も警官でね、20年勤続。張り込みの時は、これ(バーボンの果汁割り)を。"
メイドが振り返ると、マックスが。マックスは、カーゼックの首を、ワイヤで締める。カーゼックの拳銃は、自らを撃つ。
サムとリーは、銃声に驚く。
"ムショで覚えた手さ。ざま見ろ。白人のカスめ。"
サムとリー。
"来るな。"
"カーゼック。カーゼック。"
ダニーも起きて来る。
"ダニー。Go back room, lock the door. "
"カーゼック。"
"行かないで。"
リーは、窓越しに、庭を横切る男を見る。
"サム。"
2人は、カーゼックの死体を見る。ダニーもやって来て、悲鳴を上げる。メイドも殺されている。
"グラシェラが。"
"ダニー、見るな。"
サムは、カーゼックを殺した凶器を手に取る。
"ピアノ線だ。"
サムは、カーゼックの血糊に足を取られる。拳銃を拾う。
" Son of the bitch. "
サムは、リーの制止を振り切って、庭に出る。拳銃を無闇に撃つ。
夜が明け、3人は、車で行く。
"君は、永遠をどこで過ごす?"と書かれた十字架。
リーは、市場で野菜を買い込む。
"カーゼックの銃は、ここだ。ピアノ線は、現場にある。俺が、彼を殺して、逃げたような状況さ。警部、法律には『不可抗力』という言葉がある。予期せぬ事態で、約束や義務が果たせない事だ。これも、不可抗力の事態だ。奴が、逮捕されたら、そっちへ戻る。"
電話を切る。
" What did he say? "
"俺は、『逃亡犯』だ。確かに逃げている。"
3人は、車に乗り込む。車の床に、マックスがしがみ付いている。
▶︎ケープ・フィアー
ケープ・フィアー。
"犬は、どうしたんだね?"
サム一家は、海辺のプレハブ小屋に入る。マックスが、車の下から、這い出る。洗面室で、髪を黒く染める。
サム一家は、クルーザーに乗船。サムが、船を操る。船は、ジャングルの岸辺に、投錨する。
"魚を釣ろう。"
"食料なら、たっぷり1週間分あるわ。"
"いいわ。魚を。"
"雨になったな。"
船が、大きく傾く。
"何なの?" 
"突風だよ。錨を。"
"行かないで。"
"もう、何も心配する事はない。"
"水の上よ。"
"ただの風さ。"
サムは、錨のロープを、しっから結ぶ。
"グラシェラには、弟さんが。弟さんが、1人いるのよ。ダニーは、泣く。
"すぐ連絡するわ。サム。お茶をいれるわ。サム。"
" Dad. "
"風で聞こえない。"
上から伸びて来た腕に、首を絞められ、サムは、宙吊りになる。マックスが、サムを締め上げる。気を失ったサムを、デッキに寝かせ、錨を切り離す。
"動いているわ。サム。"
マックスが、船室に入って来る。
"今晩は。"
"主人は、銃を。"
" This gun. これかい?"
"主人は?"
"疲れて、休んでいるよ。『家を逃げても、悩みは消えない』と言ったろ?"
" I did'nt. 両親が、私をここへ。"
" Ofcourse. 『セクサス』は?" 
"家にあるわ。"
"一緒に読もうと思ったのに。"
"あなたのために、暗記したわ。"
"そうか。嬉しいね。Which part? "
"その。分かるでしょ?"
"嘘なんだろ?"
"本当よ。"
"どの部分だ?いい場面か?"
"そうよ。"
"真面目に?"
" I was. あなたが現れると思って。"
"よく知っているな。もっと深く知り合おう。"
ダニーは、マックスに湯を浴びせる。
"ホットな歓迎だな。はっきりさせておこう。俺は、14年間、人間以下の奴らと。"
筒状の発火剤を発火させる。
"狭いオリに、閉じ込められていた。だが、俺は、人間以上の人間だ。じい様は蛇使い、婆様は、ストリキニーネを飲んだ。そういう血が流れている。"
発火剤を投げ付け、窓を割る。
"君を許そう。ダニエル。さっきのは、本当の君じゃない。船倉で待っていろ。ダニエル、ダニエル。下で待て。"
マックスは、ダニーを戸棚に押し込み、鍵をかける。
"生まれ変わりたいか?俺と、数分過ごせば、天国の気分だぜ。"
抵抗するリーの、服を脱がす。ダニーは、マッチを擦る。
マックスは、リーの体に吸い付き、押し倒す。ダニーは、燃料を見つけ、腰に挟む。リーは、マックスのポケットの銃を探る。
"奥さん、気を悪くすると困るが、俺の計画を教えると、あんたを抱くだけじゃないんだよ。それだけじゃ、面白くも何ともない。"
リーを、手錠で、船室と結ぶ。
"今夜は、願ってもないチャンスだ。"
窓を開け、サムの顔を船室に向ける。
"こんなドラマチックな場面は、滅多に見られないぞ。"
後ろ手に縛ったサムを、引きずり込む。
" Oh no. "
"母性愛の大きさと深さを、見せて貰おう。出ておいで、ベイビー。"
ダニーをテーブルの上に乗せる。
"俺たちの争いだ。2人は関係ない。"
"俺の夜だ。お前は、引っ込んでいろ。"
サムを足蹴にする。
" Stop. "
"何だね?"
"お願いだから、言わせて。マックス。今度の事が始まってから、あなたの事を考えたのよ。長い歳月、刑務所に。どんなに辛かったろうかと。色々、想像したわ。犯行の瞬間は、どんな気持ちだったかと。私にも、何かを失う悲しみは、よく分かるわ。時間を失い、歳月を失っていく気持ち。刑務所の中とは、比べ物にならないけれど、あなたの気持ちは、私にも、よく分かるの。何を計画したにせよ、お願い、相手は、私だけにして。娘は許して。あなたと心の通じる私を。"
"聞いたか?"
サムを蹴る。
"雄弁だな。"
手錠を外す。
"勇気もある。感動的な話を聞かせて貰った。楽しみが増えたぜ。"
マックスが、葉巻に火を点ける。ダニーが、発火剤をマックスの顔に浴びせ、マックスは炎上する。マックスは、海に飛び込む。
船は、荒波に揉まれる。マックスは、ロープをつかむ。甲板に出たサムに、銃を向ける。
"被告席に着け、サム・ボーデン。"
"真実のみを語ると誓うか?"
"船が流されていくぞ。"
ダニーが、腰を浮かす。
"座っていろ。君は陪審員なんだぞ。"
"違うよ。何を話せと言うんだ?"
"俺の事件で、異性関係の調査を?俺の事件で、異性関係の調査を?"
返答ないので、拳銃の尻で殴る。
ダニーが、悲鳴を上げる。
" I'm sorry 裁判長。"
"本件の被害者の異性関係を調べたろ?"
"敵意ある証人なので、誘導尋問を。その調査報告を述べて貰おう。"
"14年も前の事だ。忘れたよ。"
サムを殴る。 
"そんな乱暴は、やめて。"
"『忘れた』などと証人の偽証です。"
"彼女は、男好きで、1か月に3人も男を変えていた。"
"少なくとも3人だ。検事に報告したか?"
" No. "
"服役6年目に、自分の調書を見たら、その報告書が。お前は、それを弁護に使わなかった。なぜだ。答えろ。なぜだ。"
"女を犯し、酷い暴行を。"
"俺に話せ。"
"淫乱な女なら、暴行して構わないと?その上、レイプは初めてじゃないと。"
" You are my lawyer. You are my lawyer. お陰で、俺は、14年食らった。"
"分かっている。"
"何て弁護士だ。いいか、俺は、地獄の案内人だ。ここは、地獄の9丁目だ。裏切り者を裁く。祖国と隣人を裏切った者ども。神を裏切った者。貴様は、その全部の精神を裏切った。米国弁護士連盟の規約第7条を言って貰おう。"
"弁護士は、依頼人を弁護し。"
"違うね。全力を尽くして弁護するだ。貴様は、それを怠った。隣人を裏切り、国を裏切った挙句、法への誓いを破り、俺を裁いて、売り渡した。よって、神から与えられた権限により、貴様を第9の地獄に、突き落としてやる。失ったものを考えるがいい。自由を失い、人間性を失った。これで、貴様は、俺と同格になった。"
"2人とも、そこにひざまずいて、服を脱げ。"
リーとダニーを、拳銃で脅す。早く、ひざまずいて、服を脱げ。"
泣き叫ぶダニーの髪を引っ張る。
"服を脱げ。さっさと脱ぐんだ。リー。さっさと脱ぐんだ。お前らを動物にして、動物のように殺してやる。"
"手を出せ。"
サムを、手錠で繋ごうとする。船が、大きく傾き、マックスは、宙を飛ぶ。
船が、回転する。サム一家は、寄り添い、甲板に出る。
"飛び込むのよ。"
サムの足を、マックスがつかむ。2人はもみ合う。船が回転する。マックスは、拳銃をつかむ。しかし、サムが見えない。サムは、マックスの足を手錠で繋ぐ。マックスは、銃を撃つが、拳銃は、海に放り投げられる。
船は、岩礁に乗り上げ、大破する。サムは、岸辺に投げ出される。マックスも、足が繋がれたまま、投げ出される。サムが、石を握り、マックスを殴る。
"俺の500m以内に近付いていいのか?『2人の弁護士が闘う』というが、この事かな。"
2人は、殴り合う。
"殺してやる。" 
"とっくに俺を、いけにえにしたろ?"
サムは、大きな石を、マックスの頭めがけて、振りおろす。石は、マックスをとらえないが、船の残骸に足を繋がれたマックスは、沖に流されていく。
"嵐渦巻くヨルダンの岸辺に立って、我は、約束の地を目指す。我は、約束の地を目指す。"
マックスは、海に沈む。
リーとダニーも、岸に上がる。
"この話は、家族の間で、2度と口にしなかった。彼の事を忘れず、恐怖に怯え続ける限り、彼は、夢の中に現れる。私は、最近、やっと彼の夢を見なくなった。だが、あれ以来、すべてが変わってしまった。だが、過去を引きずる事は、毎日、少しずつ死んでいく事だ。私は、それよりも生きていきたい。The end. "
【感想】
旧作"恐怖の岬"のリメイクにして、プロデューサーの持ち込んだ企画だと言う。旧作は見ていないが、その予告編を見る限り、サムのキーを取り上げるシーンは忠実に再現。マックスの全身タトゥーなどは、新たに作り上げたようだ。復讐鬼マックスは、執拗に、サムとその家族を付け回し、様々なトラップもかいくぐり、船の中に、サムを追い詰める。マックスの作り込み、様々なエピソードを、うまく現代風に改変している。旧作のマックス(ロバート・ミッチャム)、サム(グレゴリー・ペック)も出演。

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